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周年イベントの目的とは?
企業の社内イベントには、入社式・キックオフ・忘年会など、様々なものがありますが、中でも多くの人が関係し、力を入れて催される一大イベントに「周年イベント」があります。
周年イベントとは、企業の創立5周年や10周年などの節目を祝うイベントのことで、ホテルのホールを貸し切って豪華なパーティーをしたり、全員で旅行に行ったりなど、内容は企業によって様々です。また、周年を祝う周期に関しても、3年・7年など、その企業独自の場合もあり、周年イベントへの取り組み全体が、その企業の「らしさ」や文化・価値観を表していると見ることもできます。
周年イベントを行う目的は、関係者への感謝を伝えるため、自社の歩みを振り返り改めて理念を浸透させるため、歴史ある企業という実績を広く世の中にアピールするため、など様々ですが、イベントによって影響を及ぼしたいターゲットごとに考えると、わかりやすく整理できます。
周年イベントのターゲットごとの分類は、大きく3つあると考えられます。
- インナーブランディング(社員向け)
- カスタマーブランディング(お得意様を含めたお客様向け)
- プロモーション(見込み客を含めたお客様向け)
この記事では、目的に合わせた周年イベントとはどのようなものなのか、多くの人に喜んでもらえる周年イベントを企画するポイントや成功の秘訣を、事例と共にご紹介していきます。
周年イベント、周年プロジェクトの担当になっている方などは、ぜひ参考にして頂けますと幸いです。
インナーブランディング(社員向け)
最もメジャーな周年イベントの開催目的は、インナーブランディングです。
周年という節目に会社の歴史を振り返り、創業のストーリーに触れたり、経営陣が社員のこれまでの頑張りを労ったり、これからの展望を改めてメッセージしたりすることで、社員の帰属意識の向上やモチベーションアップなどの効果が期待できます。
周年というのは、会社にとって貴重な節目です。この機会に、これまでの年月、会社がどのように歩んできたのか、どんな価値観を大切にして意思決定をしてきたのかなどを伝えることは、今掲げている理念や戦略を改めて浸透させる上でも非常に有効です。
日々の業務に集中してしまうと、どうしても「HOW(どうやるのか)」「WHAT(何をやるのか)」の議論が中心になってしまいがちですが、こういった機会に会社の原点を語ることで「WHY(なぜやるのか)」を再確認でき、社員一人ひとりが会社の理念を自分ごとにできるのです。
また、これまでの歴史の中で、どれだけのお客様を幸せにしてきたか、世の中にどんな価値を提供してきたかを確認できることは、社員が自分の仕事に誇りを持つきっかけにもなります。これまでの歴史は社員の努力があってこその結果なので、周年という特別なイベントだからこそ、社員を鼓舞するだけでなく、労うことも大切にしましょう。
さらに、社員の家族まで招待可能なイベントにすることで、家族が働いている企業の魅力に触れ、「いい会社だね」とファンになってもらえると、そこで働くことをもっと応援してくれるようになるなど、社員にとってポジティブな効果をさらに高めることが期待できます。
カスタマーブランディング(お得意様を含めたお客様向け)
2つ目の開催目的は、カスタマーブランディングです。企業によっては、広告などを通じたコミュニケーションだけでは伝えられない魅力や社内の雰囲気を感じてもらうために、お客様を社内イベントに呼ぶことを検討される場合もあると思います。
キックオフや表彰などの社内イベントは、業績の報告や今後の戦略発表など社外秘の情報を含むため、お客様を招待しての開催は難しいことが多いですが、周年イベントであれば、これまでのご愛顧に感謝を込めてという意味で、お客様をご招待する良い機会になります。
お客様が普段は触れ合うことの少ない経営陣や他の社員と触れ合い、また社員同士のコミュニケーションの様子を直接見聞きすることで、「この会社は発信している理念を本当に徹底している」「社員全員がサービスを愛し、良いものを作ろうとしている」「誰と話しても本当に良い人ばかりだ」など、より多くの情報からイメージを受け取ってもらえるようになります。
こうして、企業のファンになってもらうことは、新たなお客様の紹介や良い口コミの発信が見込めるなど、様々なメリットをもたらします。特に、既に購買頻度が高いようなロイヤルカスタマーに向けては、参加者限定イベントの開催や、限定ノベルティのプレゼントなど、よりブランドとの信頼関係を深める施策を用意することも効果的です。
プロモーション(見込み客を含めたお客様向け)
3つ目の開催目的は、プロモーションです。周年を理由にせずとも、プロモーションのためのイベントを実施している企業は多いと思いますが、周年イベントをプロモーションに活用する上では、特別感を感じるコンテンツやゲストの招待の仕方を工夫することがポイントです。
コンテンツの具体例として、見込み顧客が法人の場合は、ビジネスマンの方々が興味を持ちそうな著名人の講演や、自社の新技術・新サービスをいち早く体験できる機会を設けることなどが考えられます。見込み顧客が個人の場合は、ブランドと親和性の高いアーティストや芸能人をゲストとして招待し、トークショーやライブを行ったり、限定グッズの配布・販売を行ったりすることが考えられます。まだ接点の浅い見込み顧客の方々が来場者なので、自社の情報を発信するだけでなく、来場者にとって満足度が高まる仕掛けを用意しておくことが重要です。
招待方法の具体例としては、既存のお客様が他の方を連れて来れるようにする、過去に何かしらで接点を持った方々にスペシャルインビテーションを送る、キャンペーンに参加するとイベントにも参加できるようにする、などが考えられます。元々自社を深く知っているわけではない方々である可能性が高いので、参加へのモチベーションを高めておかないと当日キャンセルが多発するなどのリスクも考えられます。なので、あまり参加のハードルを低くしすぎないことも検討の際に意識できると良いでしょう。
周年イベントの最近の傾向
周年イベント自体は目新しいものではなく、これまでも行われてきたものですが、最近の周年イベントには以下のような傾向が見られます。
■ オンラインの活用
コロナウィルスの影響を受け、大人数で集まることを避けたい場合は、オンラインイベント形式で周年イベントを行うケースが増えています。オンラインイベントと一口に言っても、ウェビナーと言われるセミナー形式のものから、メタバース(仮想空間)上で参加者がアバターになって集まるものまで様々です。感染者数が落ち着いている時は、リアル開催のイベントも増えてきますが、完全にオフラインに振り切ることはせず、オンラインとオフラインのハイブリッド形式を選ぶ企業も多いです。自社の業種やビジネスモデル、イベントの目的などを踏まえて、開催方法を検討することが必要です。
■ SDGsやD&Iなど、社会性の高いテーマへの配慮
昨今、企業にはSDGsやD&Iなど、社会性の高いテーマに配慮した事業活動が求められています。これらに関連する取り組みに注力している企業は増えていますし、その取り組みを効果的に発信して、企業価値を高めようという動きも活発です。また、最近の個人の購買行動は、企業のこういったテーマに対するスタンスに大きく影響を受けます。例えば、服を買う時に、その服が環境や人権に配慮した工程で作られたものか、そうでないか、といった事実が購買の有無に直接的に影響を与えています。
周年イベントにおいても、イベントのコンセプトや当日実施するコンテンツにこういったテーマを取り入れることで、企業としてのスタンスを示し、それに共感してもらえる方々を集めるということが増えています。世の中でSDGsが盛んに叫ばれるずっと前から、環境に配慮したものづくりをしてきた、という企業であれば、その歴史を紹介するだけでも、新たなファンとの繋がりが生まれることでしょう。せっかく発信できる事実があるなら、こういったテーマ設定をすることは効果的です。
周年イベントの成功ポイント
周年イベントを成功に導くポイントは主に以下の4点です。
- オリジナリティのあるコンセプトを立てる
- ターゲットのニーズをよく理解する
- 心震える体験を設計する
- イベント後のコミュニケーション設計も合わせて実施する
それぞれの内容について見ていきましょう。
1. オリジナリティのあるコンセプトを立てる
周年イベントは、毎月や毎四半期など頻繁に行うものではありません。積み上げてきた歴史があるからこそ実現できる貴重な機会です。その歴史が長ければ長いほど、他社には真似できないオリジナリティの高いイベントになるはずです。だからこそ、自社ならではのコンセプトを企画し、それを軸にイベントを設計していきましょう。目的が社員向けでもお客様向けでも、コンセプトが明確で、それを軸に一貫した構成になっていることは、イベントの満足度を高める上では非常に重要です。
自社の「らしさ」や大切にしている価値観と、先ほど述べたSDGsなどの今の社会的テーマとを掛け合わせてコンセプトを考えることで、その年のその会社にしかできなかった、と言われるようなイベントを作ることができるはずです。周年イベントだからといって、かっちりした堅いイベントにしなければいけないわけではありません。自由に自社らしさを表現できる機会として、ワクワクするコンセプトを考えてみましょう。
2. ターゲットのニーズをよく理解する
ここまで述べてきた通り、周年イベントのターゲットは社員だったりお得意様だったり、新規のお客様だったりと様々です。ターゲットが変われば、当然満足してもらえるコンテンツも変わってきます。企画する周年イベントのターゲットは誰で、その人はどんなコンテンツがあると喜んでくれるのか、ターゲットのニーズをよく理解してイベントを企画することが重要です。
企画骨子を考える際に、ターゲットに向けたアンケートなどを実施するのも効果的です。特に社員向けのイベントであれば、周年イベントでどんなことをしたいか、いくつかの選択肢を提示して票が多く集まった企画を採用するということもできますし、その企画を一緒に進めるプロジェクトメンバーを合わせて募集することもできます。自社の記念すべき周年イベントであれば、一観客としてその場にいるよりも、当事者として場づくりに関わった方が、エンゲージメントも高まり、本人の満足度も高まります。
周年イベントという自社が主役と思えるイベントであっても、ターゲットとなる人が何を求めているのかをよく考えて企画を立てるようにしましょう。
3. 心震える体験を設計する
「心震える体験」とは、いわゆる感動体験と言えるような、参加者の期待を超える体験のことを指します。周年イベントはその名の通り、参加者が時間や空間を共有する“イベント”なので、どんな情報を発信するかということだけでなく、どんな体験ができるかも非常に重要です。会場にあっと驚く装飾を施したり、サプライズゲストを用意したり、サプライズギフトをプレゼントしたり、参加者が思いもつかない演出があることによって、その体験は深く心に刻まれます。
周年イベントは、会社の大切な歴史の1ページを刻む瞬間でもあるので、その歴史を参加者の方々にも心に刻んでもらえるように、当日は粋なサプライズを用意するのがおすすめです。
4. イベント後のコミュニケーション設計も合わせて実施する
周年イベントは、イベントそれ自体だけでなく、その後のコミュニケーションも同じく重要です。社員向けのイベントでは、イベントでどんなに感動があったとしても、翌日になればまたいつもの日常が待っています。せっかくイベントでモチベーションが高まっても、その後のコミュニケーションが何も設計されていなければ、その熱もすぐに冷めてしまいます。イベントで社員に向けて発信したメッセージを、その後のインナーコミュニケーションにおいても継続的に発信することが効果的です。
お客様向けのイベントも同様です。イベントをきっかけにもっと企業のこと、ブランドのことを好きになったという人がいても、これだけ情報が溢れる現代においては、その想いも一瞬で他の情報に流されてしまいます。イベントをきっかけに、その後も継続的に企業の情報に触れることで、より濃いファンになっていきます。
周年イベントを企画する際には、イベント内で表現されるコンセプトや、発信されるメッセージにイベント後にも継続的に触れてもらうにはどうしたら良いかを合わせて考えておきましょう。
周年イベントアイディア集
周年イベントの開催方法は企業によって様々です。これから周年イベントを企画する方のために、どんなバリエーションがあるかを知って頂けるよう、以下にアイディアをご紹介します。
■ パーティー形式
この形式になることが最も多いと思いますが、ホテルやイベントスペースを貸し切り、ゲストを招いて開催されるパーティー形式のイベントです。普段のイベントでは使わないような高級ホテルや文化遺産になるような歴史的な建造物など、会場自体にも一定の豪華さやインパクトがあるところを選ぶことによって、ゲストに驚きを与え、イベントのクオリティを高めることが可能です。
■ シアター形式
ステージと客席のある会場を使って、劇場のようなスタイルで実施する形式です。舞台を見に来た観客のように、ゲストは客席に座ってイベントを楽しみます。ゲストが能動的にアクションをしたり、交流したりということは難しいですが、舞台上の演出を作り込みやすく、企業が意図した通りにメッセージを受け取ってもらえるというメリットがあります。経営者や社員のプレゼンテーションや、社内アワードの表彰式、コンセプトムービーの上映など、舞台映えするコンテンツを用意することがおすすめです。シアター形式でのイベント後に懇親会などを用意すれば、ゲストとの交流を図ることもできます。
■ 旅行形式
周年を記念して、社員みんなで旅行に行く、というスタイルの周年イベントです。10周年、20周年などの大きな節目に思い切って海外へ行ったり、子育て中の社員なども含め、より多くの社員が参加しやすいように短期間の国内旅行をしたり、様々なプログラムが考えられます。職場の仲間と長い時間をともに過ごすことは、相互理解の促進や心理的安全性を構築する上でも非常に効果的なので、お祝いの要素とセットで組織活性の効果も期待できます。
■ アクティビティ形式
例えば運動会のような、社員参加型のイベントを企画することがこの形式にあたります。周年イベントで重要なのはオリジナリティのあるコンセプトなので、こういった、一風変わったイベントが自社の「らしさ」を表現していると思えば、この形式を選択するのも有りです。特に平均年齢が若い会社などであれば、体を動かして楽しめるコンテンツは仲を深めるのにも効果的です。
■ ギャラリー / 展示形式
主にお客様向けの周年イベントが主になりますが、オフィス内やレンタルスペースに自社の歴史を振り返る写真や年表、働く社員の写真や企業の価値観を表す言葉やアートなどをギャラリーのように展示・装飾して空間を作り、そこにゲストを招くという形式です。ウォークスルー型にすれば、時間の制約無く、多くのゲストに自由に訪れてもらうことが可能です。また、ギャラリースペースとパーティースペースを別で用意しておけば、ギャラリーを見てもらった後で、ゲストとの交流を図るパーティーを実施することも可能です。
周年イベント事例
ここで、具体的な周年イベントの事例をご紹介します。
事例① サイボウズ株式会社
「チームワークあふれる社会を創る」を理念に掲げ、グループウェア開発等を手がけるサイボウズ社では、5年、10年という大きな節目に限らず、誕生日を祝うように毎年「創業記念」という周年イベントを開催しています。
開催場所は自社オフィスにある広いオープンスペースで、コンテンツは毎年異なりますが、過去には以下のような企画が実施されています。
コンテンツ例
- オフィスにある円形の階段上の待合スペースをケーキに見立て、誕生日ケーキのように装飾してお祝い
- 装飾して作ったパフォーマンスステージで、社員バンドによる生演奏。バンドの名前入りの“のぼり”を立てて盛り上げ
- 社長が創業期を知るメンバーと対談し、知られざる創業期のエピソードトークを実施
20周年という節目の創業記念では、その日1日で20個のサプライズを社員に仕掛けるという演出が用意されました。館内放送で社員さんによるお祝いアナウンスが流れたり、営業先でお客さんから花束を渡されたりと演出の内容は様々だったそうです。社内のグループウェア上には、「こんなことがあった!」という驚きと喜びの声が溢れ、イベントをきっかけに活発なコミュニケーションが生まれるきっかけともなりました。
事例② 株式会社アカツキ
「世界をエンターテインする。クリエイターと共振する。」というミッションを掲げ、ゲーム事業を中心に急成長を遂げたスタートアップのアカツキ社では、過去に「祭」をテーマとした周年イベントが開催されました。
貸し切ったイベントホールに、本当のお祭りのように屋台型のケータリングを複数用意。エリアごとにコンセプトを分け、居酒屋・スナック・クラブなど、ゲストが自分の好きなエリアで自由に楽しめる空間づくりを実現しました。参加者は、社員の皆さんはもちろん、クライアントやパートナー企業など、多様な属性のゲストが同じ時間と空間を共有し、参加者みんなで作り上げることをテーマに様々な企画が行われました。
エンターテイメント企業らしく、ステージ上ではバンドやダンスのパフォーマンス、e-スポーツ大会、ライブペインティングなどが行われ、とても個性的なイベントとなりました。クライマックスには、創業者2名とその友人たちによるバンドパフォーマンスに合わせてゲスト全員で大合唱をして大団円を迎えるという盛大なイベントとなり、アカツキ社の「らしさ」が凝縮された1日となりました。
事例③ 株式会社シーユーシー
医療機関向けのコンサルティング事業や、訪問介護事業などを通じて「医療という希望を創る」というミッションの実現を目指すシーユーシー社では、創業から8周年を迎えた8月8日に、グループ全体では初となる周年イベントを開催しました。オンライン・オフライン両方で進行するハイブリッド型で、社員だけでなくパートナー企業の方々も招いた大規模なイベントとなりました。
コンテンツとしては、社員のプレゼンテーションを聞いてグランプリを決めるアワード、豪華ゲストと社長のトークセッション、社員とゲストの懇親会などが行われました。
医療機関の現場で働く医療従事者の皆さんもプレゼンテーションでは、現場のリアルと従事者たちの想いが語られ、多くのゲストが感銘を受けたといいます。
「医療という希望を創る」というミッションへの多くの共感が生まれ、ゲストの多くが改めてシーユーシー社のファンになった周年イベントでした。
いかがでしたか?「周年イベント」と一口に言っても、企業ごとにその内容は非常に多岐に渡り、様々な目的を持たせて企画することが可能です。この記事を参考に、ぜひあなたの会社らしい周年イベントを企画してみてください!
なお、Cultive(カルティブ)では過去に多数の周年イベント開催の実績がございます。企業の理念や叶えたい想いから深くヒアリングし、企画からサポートいたします。お悩み中の方はぜひご相談ください。
この記事を書いた人
小名木 直子
Producer
オリジナルウェディングのプロデューサーとして多くのイベント企画に携わる。小人数〜200人規模のイベントを得意とする。職場の中でどれだけ心が動く瞬間があるかで人生の幸福度が変わることを実感し、多くの人にCultiveのサービスが届くようWEBサイトの監修も担う。
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