室内プロジェクションマッピングとは
プロジェクションマッピングとは、建物や立体物、空間の形状に合わせて映像を投影する技術のことです。屋外の大規模イベントでの活用が主流でしたが、近年では室内空間への活用も増えています。
室内プロジェクションマッピングは壁や天井、床、什器など、比較的小さなスペースにも対応可能です。イベント会場や商業施設、展示スペース、店舗などさまざまな場所で導入が進んでいます。限られた空間でも演出効果を高められるため、没入感のある体験型コンテンツとして注目を集めています。
室内プロジェクションマッピングの特徴について2つの視点から詳しく解説します。
- 室内空間にプロジェクションマッピングが最適な理由
- 屋外プロジェクションマッピングとの違い
室内空間にプロジェクションマッピングが最適な理由
室内でプロジェクションマッピングを導入する最大のメリットは、天候や時間帯の影響を受けずに演出を安定して行える点です。屋外では天気や日照条件が演出に大きく影響しますが、室内であれば常に一定の環境を保てるため、映像の品質や演出の安定性が確保できます。
室内は照明をコントロールできるため、映像の色彩や明暗をより鮮やかに表現できるのも魅力です。
また、室内プロジェクションマッピングは大きなスペースが必要と思われがちですが、実際には数坪ほどの空間でも可能です。展示会や店舗、ホテルなどと相性がよく、限られた場所でも魅力的な演出ができます。
これらの特性から、室内のプロジェクションマッピングは高い没入体験を提供できるといえるでしょう。
屋外プロジェクションマッピングとの違い
屋外でのプロジェクションマッピングは、建物の外壁や大規模な施設全体を活用して演出を行います。演出の自由度が高く、スケールの大きさで観客を魅了します。しかし、天候の影響や設営にかかるコスト、設置場所の制限といった課題も少なくありません。
一方、室内プロジェクションマッピングは限られた空間ですが演出のコントロールがしやすく、映像品質が安定するという利点があります。照明環境や投影対象の距離を精密に調整できるため、没入感の高い映像体験の安定した提供が可能です。また、室内は小規模スペースでも導入しやすく、常設展示としても適しています。
こうした理由から、室内プロジェクションマッピングは店舗の販促演出やホテルのロビー演出、美術館・博物館の展示補助などと相性がよく、今後も導入の広がりが期待されています。
室内プロジェクションマッピングの活用事例3選
室内プロジェクションマッピングを活用した3つの事例を紹介します。
- チームラボプラネッツTOKYO
- マクセル アクアパーク品川
- Le Petit Chef
実際の施設でどのように映像演出が活かされているのか、具体的に見ていきましょう。
チームラボプラネッツTOKYO
東京都の豊洲にある「チームラボプラネッツTOKYO」は、プロジェクションマッピングに水やミラー素材、インタラクティブな仕掛けを融合させています。来場者が作品に没入できるアート空間として世界的に有名です。
施設内では壁や床、天井に映像が投影され、歩くたびに映像が反応します。照明や音楽とシンクロし、五感に訴える演出が特徴です。精密なコントロールによって、映像と空間を一体化させています。
海外観光客やSNSユーザーからも高く評価され、映像コンテンツが空間の魅力を最大限に引き出した好例です。
マクセル アクアパーク品川
東京都港区にある「マクセル アクアパーク品川」では、夏の夜限定で「ドルフィンパフォーマンス ナイトバージョン」を開催しています。ここでは室内プロジェクションマッピングとイルカのショーが融合した幻想的な演出を楽しめます。
屋内スタジアムではイルカとともに、音・光・水によるアートが360度に広がり、まるで物語のなかに入り込んだような没入感を体感できます。室内ならではのイルカショーと光のコラボレーションで、より臨場感を味わえるでしょう。
Le Petit Chef(ル・プチ・シェフ)
「Le Petit Chef」はテーブル上で展開されるプロジェクションマッピングによって、食事をエンターテインメントにする体験型レストランです。小さなシェフのキャラクターがテーブル上で調理する映像演出により、ゲストに驚きとストーリー性を届けます。
海外発ですが東京や大阪のレストランに導入され、注目を集めています。1卓から展開できるため小規模スペースでも導入しやすく、室内演出の柔軟性を活かした好例といえるでしょう。
料理を引き立てながら、食事体験に没入感と笑顔をもたらす演出として、さまざまなシーンでの活用が広がっています。
室内プロジェクションマッピングに必要な設備と技術
室内プロジェクションマッピングには、規模や用途に応じたツールが必要です。
企画の際は、以下のポイントを参考にしてみてください。
- 投影規模に応じたプロジェクター
- 映像を投影できる明るさ・広さの会場
- ゆがみやマッピングを想定した映像制作技術
- 映像と連動する音響・照明技術
投影規模に応じたプロジェクター
使用するプロジェクターの性能は、空間の広さや目的に応じて選定する必要があります。例えば、数坪程度の空間であれば明るさが4,000〜6,000ルーメン(光源から出る光の量を表す単位)程度の家庭用クラスのプロジェクターでも十分対応可能です。
一方で、広い展示会場や商業施設など中〜大規模な空間では、10,000ルーメン以上の業務用モデルが適しています。解像度や明るさにより必要台数や設置場所が変わるため、事前に環境をチェックしましょう。
また、複数台を同期させて一つの映像空間を構成する「マルチプロジェクション」も効果的な手法の一つです。
映像を投影できる明るさ・広さの会場
室内プロジェクションマッピングでは、映像の見え方を左右する「暗さ」の確保が非常に重要です。外から光が差し込みにくい空間や、照明の調光が自在にできる会場が理想的とされています。
さらに、投影する壁面や天井、床などの面積や形状も、投影の自由度や映像の迫力に影響を与えます。特別なスクリーンはなくても、室内の構造物をそのまま投影面として活用できる点は室内プロジェクションマッピングならではの強みといえるでしょう。
ゆがみやマッピングを想定した映像制作技術
プロジェクションマッピングでは、単に映像を流すのではなく、壁や什器などの立体物に対して正確に沿わせる映像処理が求められます。
このようなマッピングには、映像制作の際に専用ソフトやツールの活用が必要です。例えば、3DCGソフトやAfter Effects、TouchDesignerといったツールがプロジェクションマッピングの制作によく使われます。
実写の映像よりもCGを使った映像が選ばれやすいのは、投影する対象の形に合わせて映像を自由に変形・調整しやすいからです。細かな調整によって、映像と空間が自然になじみ、より没入感のある演出が可能になります。
映像と連動する音響・照明技術
映像演出に加えて、音響や照明の連動は、体験の質を大きく左右する要素です。映像の変化に合わせてBGMや効果音が流れるように設定したり、光の色や強さをシーンごとに変化させたりすることで、五感に訴える没入感を高められます。
室内の限られたスペースであっても、照明や音の工夫を加えると体験の印象を大きく強化できます。映像・音響・照明は、室内プロジェクションマッピングの魅力を一層引き立てるための重要な要素です。
室内プロジェクションマッピングの費用相場
プロジェクションマッピングの費用は、規模や内容、使用機材、映像のクオリティによって大きく異なります。
ここでは、目安となる費用感を「小規模」「中規模」に分けて紹介し、あわせてコストを抑えるための工夫についても解説します!
小規模:40〜150万円が目安
飲食店の壁面やイベントブースの一部、展示スペースの一角など、1〜2面への投影を想定した小規模な導入では40万〜150万円程度が一般的な相場です。
費用には以下の項目が含まれます。
- プロジェクターのレンタルまたは購入費
- 映像コンテンツの制作費
- 設置作業やシステム調整
- オペレーターの人件費
短期イベント(1〜2日)であれば比較的安価に収まります。しかし、常設設置をおこなう場合は金具の取り付け工事や定期メンテナンス費用が加算されるため、総額が上がる傾向です。
また、投影面の明るさや解像度によってもプロジェクターの性能要件が変わるため、コストに差が生じやすい点にも注意が必要です。
中規模:120〜500万円が目安
展示会ブース全体やホテルのロビー、商業施設のエントランスなど、複数台のプロジェクターを使用する中規模な演出の費用は120万〜500万円程度です。
プロジェクターの台数が増える分、映像の同期制御をおこなうためのシステム費用や、広範囲をカバーするための高輝度プロジェクターの使用コストが発生します。
さらに、音響・照明との連動や、センサーを用いたインタラクティブな演出を組み込む場合は、さらに制作費が高額になります。導入内容が複雑になるほど、調整や設計の工数が増えるため、企画の早い段階から専門業者に相談することが重要です。
導入コストを抑えるポイント
室内プロジェクションマッピングの導入コストを抑えるには、以下のポイントに注目しましょう。
- プロジェクターを購入ではなくレンタルにする
- 過去に使用した映像コンテンツを再利用する
- 映像の尺や演出をコンパクトに設計する
- プロジェクターの台数を最小限にする
また、演出に使う機材の選定や配置によっても費用が変わります。事前に現地の照度や投影距離などを把握したうえで、無理のない設計にすることがポイントです。
専門業者に早めに相談すれば、限られた予算内でも効果的な演出プランを提案してもらえる可能性が高いです。過剰な投資を避けるためにも、複数の専門業者と相談し見積もりを取るのがよいでしょう。
プロジェクションマッピング業者を選ぶポイント
プロジェクションマッピングを導入する際には、どの業者に依頼するかの選び方が重要になります。業者ごとに得意とする演出や対応範囲、費用感が異なるため、比較検討は欠かせません。
ここでは、失敗しない業者選びのために確認しておきたい4つのポイントを解説します。
- ワンストップ対応か分業対応か検討する時
- 機材のレンタルが必要か否かを検討する
- プロジェクションマッピングの制作実績から検討する
- アフターサポートの内容から検討する
ワンストップ対応か分業対応か検討する
業者によって、プロジェクションマッピングの対応範囲は異なります。
映像制作から機材設置・運用までを一括で請け負う「ワンストップ型」は、初めて導入する企業や担当者におすすめの選択肢です。工程ごとに同じ業者が管理するため、連携ミスやトラブルが発生しにくくスケジュール調整もしやすくなります。
一方で、映像制作・設営・演出の各工程を別の専門業者が担当する「分業型」もあります。こちらは、それぞれの工程において高い専門性を活かせるため、演出の質にこだわりたい企業向けです。
業者によってはコストを抑えられるケースもあるため、予算やプロジェクト規模に応じて最適な形を選びましょう。
機材のレンタルが必要か否かを検討する
プロジェクターやメディアサーバーなどの機材を所有していない場合は、プランにレンタルがあるかを確認しましょう。一時的なイベントやスポット導入の場合は、機材の調達から設置、運用まで一括で行うレンタル込みの業者が便利です。
一方、既存の機材を活用する場合、映像コンテンツの制作や技術サポートのみを依頼する方法もあります。レンタル機材の性能や設置環境によって演出の幅が変わるため、業者と丁寧にすり合わせましょう。
必要最低限の機材構成で無理のないプランを選定すると、費用対効果が高まりコスト面で失敗しにくくなります。
プロジェクションマッピングの制作実績から検討する
業者選びでは、過去の制作実績が判断材料となります。公式サイトやSNSなどで、事例の写真や動画を確認しましょう。特に、導入の目的や予定している空間に近い条件(室内や小規模、商業施設など)の実績があるかは重要です。
また、CGの完成度や、映像と空間との一体感の演出にも注目すると、業者の技術力がより明確になります。インタラクティブ要素を取り入れた実績がある業者は、空間体験型の演出に強みを持つかもしれません。
公式サイトやSNSなどの情報をもとに、比較検討しましょう。
アフターサポートの内容から検討する
本番稼働後のトラブル対応やメンテナンス体制がスピーディかつ丁寧かどうかは、業者選びで重要なポイントです。特に常設や長期運用を考えている場合は、保守契約やオンコール対応の有無を事前に確認しましょう。
トラブルが起きたときに速やかに対応してもらえるかどうかで、運用の安心感が大きく変わります。サポート体制について公式サイトに明記しているかも確認しておくとよいでしょう。
室内プロジェクションマッピングに関するよくある質問
はじめての導入を検討している方や、業者との打ち合わせ前に情報を整理しておきたい方に向けて、よくある疑問をまとめました。
- どれくらいの広さがあれば導入できますか?
- 映像コンテンツは自作できますか?
- 仮説施設でも導入できますか?
- 短期間だけでも導入できますか?
どれくらいの広さがあれば導入できますか?
室内プロジェクションマッピングは、数メートル四方の小さなスペースでも導入可能です。例えば、個室の飲食店や展示会のブースのような狭い場所でも、投影面さえ確保できれば印象的な演出ができます。
ただし、映像のクオリティを保つためには「暗さ」の確保が重要です。外からの光を遮断し、照明の調整ができる環境が求められます。
また、投影対象の壁や床、什器などに映像を合わせるため、形状や素材も確認しておくとよりスムーズに導入できます。
これら条件を満たせば、小規模スペースでも没入感のある映像体験を作り出すことが可能です。
映像コンテンツは自作できますか?
映像コンテンツの自作は可能ですが、室内プロジェクションマッピングの場合は通常の動画制作とは異なる高度なスキルが必要となります。投影する空間の形状や立体物の凹凸に合わせて、映像を正確に調整する必要があるからです。
プロの現場では、3DCGや専用のマッピングソフトを使って、空間にぴったりとフィットする映像を作り上げます。初めて導入する場合は専門業者に依頼するのが一般的です。
自作に挑戦する場合も、まずはプロのサポートを受けながら進めることで、効果的かつ失敗の少ない導入が期待できます。
仮説施設でも導入できますか?
イベント会場や展示会などの仮設施設でも、室内プロジェクションマッピングの導入は十分可能です。移動や設営、撤去がしやすい「移動式システム」や軽量の機材を使えば、短期間のイベントでも手軽に映像演出を取り入れられます。
「移動式システム」や軽量の機材の使用は、現場ごとのレイアウトや照明環境に合わせて柔軟に対応できるよう設計されています。限られた条件下でも印象的な映像演出が可能です。
また、仮設施設では環境が一定でない場合もありますが、照明の調整や投影面の工夫によっては十分な没入感を演出できます。
仮設スペースの活用はイベントにインパクトを加えたい場面で、効果的な選択肢となるでしょう。
短期間だけでも導入できますか?
室内プロジェクションマッピングは1日〜数日間の短期間の導入にも対応しています。
イベントや期間限定のプロモーション、展示企画などで「インパクトのある演出で注目を集めたい」という目的にぴったりです。
短期導入の場合は、機材のレンタルや設営・撤去のスピード感が重要です。多くの業者が短期向けの導入プランを提供しています。
短期間でも十分に魅力的な映像体験を提供できるため、初めての導入や試験的に活用したい企業におすすめです。
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室内プロジェクションマッピングは限られた空間でも没入感のある体験を作り出し、企業イベントや展示企画などで高い効果を発揮します。
空間演出を通じてメッセージを届けることで、参加者の印象に残るだけでなく、企業の世界観や価値観を直感的に伝えることが可能です。
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