「中小ベンチャー企業の社長を元気にするために存在する!」と掲げて経営コンサルティングを始めとした様々な事業を展開する白潟総合研究所株式会社(以下、白潟総研)。組織の価値観として「ワークアズライフ」を大切にしながら、それぞれがプロフェッショナルとして互いに研鑽しています。
自社のカルチャーを「濃い」と表現するほど、特徴的な企業文化を有するコンサルティングファームだからこそ、入り口の採用施策とミドルマネージャーの育成に特に注力されています。
今回は、創業メンバーとして参画後、現在はNo.2として取締役や採用室長を務める石川哲也さんに、白潟総研のカルチャー醸成について具体的な施策も交えながらお聞きしました。
白潟総合研究所株式会社:https://www.ssoken.co.jp/
目次
「濃い」カルチャーだからこそ入り口にこだわる
社員全員が関わり対話を重ねる採用プロセス
― 白潟総研ではカルチャー醸成を目的とした様々な施策を講じてらっしゃいますが、特に「採用」に力を入れているとお聞きしました。
石川:そうですね。「誰に同じバスに乗っていただくか?」は2014年の創業時からずっとこだわっています。スキルは入社後に伸ばせますが、カルチャーにマッチするかどうかは変えづらいところです。特に白潟総研のカルチャーは濃いため(笑)、入り口にこだわらない選択肢はありませんでした。
― 「濃い」カルチャーというのはどういうことでしょうか?
石川:ここで全てをご説明するのは難しいのですが、「仕事はほどほどで…」と適度な距離感をキープするというよりは、互いに自己開示をして濃密なコミュニケーションを取るカルチャーですね。例えるなら、熱帯モンスーン気候のようなイメージ。ドライでカラッとした関わり方ではありません。これには理由があって、私たちの仕事は総合的な人間力が求められるためです。組織のなかで互いに高め合い、その人らしく成熟することを大事にしようと思うと、自然と関わり方は深くなってしまうんです。他にも、人が育つことへの時間のかけ方にも「濃さ」を感じます。私たちの育成思想の中核は「答えを絶対に教えない」というもの。上司が教えれば2秒でさくっと解決する場合でも、答えが出せるまでじっくり1週間向き合うなんてことも日常茶飯事です。
― カルチャーフィットする人を採用するためにどんな工夫をされていますか?
石川:採用プロセスのポイントは3つあります。1つ目は、選考プロセスに入る前のいわゆるカジュアル面談を、私あるいはM&A事業の責任者が行うというものです。会社の未来や仕事の魅力を説得力持って伝えきれる人間、いわばエース級の人間が採用に関わらない限り、私たちのような中小ベンチャーが優秀な方を採用することは難しいと考えています。
2つ目は、応募者の方との接触量を増やすことです。1時間を1回とカウントするなら、内定をお出しするまでに新卒採用で27回、中途採用で9回くらいコンタクトをとります。例えば中途採用で言えば、選考プロセスの最初に「抜擢会議」があります。これは、事前に白潟総研の事業や組織文化に関する動画をご覧いただいた上で、どこの部門やポジションがマッチしそうかを3時間ほどかけて応募者の方と一緒に考える場です。面接というより、応募者と一緒に会議をするイメージが近いためこの名前がついています。
3つ目は、応募者をお客様扱いせずに、社員や会社の雰囲気、いま抱える課題も含めて全てを伝えきった上でジャッジをお願いしていることです。選考プロセスの一環として、最終面接後の飲み会があるのですが、そこでは会社のリアルを伝えることも大事にしています。飲みの席で社員同士がその日の仕事の振り返りをひたすらしている姿が良かったと入社を決めてくれた人もいます(笑)。他にも、会社の課題は4ページくらいの文書にして事前に見ていただきます。それでも同じバスに乗りたいと思ってもらえるなら、ぜひ会社を一緒に作っていきましょうというのが私たちのスタンスです。
― ちなみに新卒採用においても特徴的な施策はありますか?
石川:全社員との30分インタビューでしょうか。実際に私たちの仕事にはクライアントにインタビューを行って魅力と課題を整理するものがあるので、我が社の魅力と課題をまとめてプレゼンしてもらうことで私たちはコンサルタントとしてのポテンシャルを確認でき、応募者の方は会社の理解が深まります。加えて、それだけの社員と対話するので、入社時にすでにカルチャー面でのオンボーディングは、ほぼ完了している利点もあります。
― とても面白いですね!ある意味で一石二鳥な施策です。
石川:私たちのような中小ベンチャーにとって採用・人事施策は一石二鳥あるいは一石三鳥以上を狙わないと、かけたコストに見合わないんですよね。
ミドルマネージャーは企業文化のエバンジェリスト
― カルチャー醸成のために「採用」以外で力を入れている施策はありますか?
石川:ミドルマネージャーへのカルチャーの伝承です。中小ベンチャーの組織面における肝は「採用」と「ミドルマネージャー」だと思います。
― ミドルマネージャーが大切だと考えられている理由をぜひ伺いたいです!
石川:ミドルマネージャーは新人と接する時間が最も長いことが1つの理由です。良い人が入って、良いミドルマネージャーのもとで育つという流れが生まれると組織は成長します。反対に、幹部らが組織のカルチャーを体現できていなければメンバーに伝播してしまいます。いわば組織におけるカルチャーのエバンジェリストです。他の理由としては、プロダクト・サービスにはライフサイクルがあり、ときに下り坂の時期もあるのですが、そのときに新規事業を作ったり、リブランディングをしたり、ライフサイクルを伸ばす役割を担うのがミドルマネージャーだからです。こういった背景から、彼らの量と質を高めるために会社としても命をかけています。
― マネージャーへのカルチャー伝承のために、白潟総研ではどんな仕組みを採用していますか?
石川:大きく3つあります。
1つ目は、毎月行っている「持論化研修」です。いわば、白潟総研のカルチャーをマネジメントに反映するための場所でしょうか。ミドルマネージャーの意思決定の仕方や部下とのコミュニケーションにこそカルチャーが表出するので、ディスカッションを通じて自分なりの持論を作ろうと、代表の白潟が講師となり上司としての考え方、価値観、哲学、スキルなどを丸一日かけて学びます。
2つ目は、年4回行っている幹部合宿です。経営的な意思決定を幹部全員で納得して行うための場所ですね。ただ、裏側のテーマは信頼残高の再蓄積です。日々のなかで削れていった信頼残高がマイナスになると幹部同士で誤解が生まれたりします。そのため、四半期に一度、じっくり話し合って、ご飯を一緒に食べて、同じ目的に向かっていることを再確認する場です。ちなみに、お子様のいるママの幹部が参加しやすいように会社でベビーシッターを手配するほど組織としても大事にしている時間です。
3つ目は、白潟と私が幹部の話を聞く2on1です。この1年間自分が成長できたこと、いま課題に思っていることなどをひたすら聞きます。実はミドルマネージャーはほぼ私のリファラル採用。そういう人は以前から関係がありますが、リファラル以外で幹部に上がった人もいるので、彼らの理解を深めようというのが2on1を始めたきっかけでした。ただ、ベンチャーの成長過程で最も負荷がかかるのはミドルマネージャーなので、彼らの成長痛を少しでも和らげたいという目的もあります。
変わり続けること、変わらないこと
思考の中核となる言葉は磨き続ける
― ここまでお聞きしていると、採用もミドルマネージャーの育成も物理的に大量の時間を投入しており、いい意味で泥くさく行われている印象を抱きました。
石川:そうですね。会社の成長に合わせていろんな人が入ってきます。そこで生じるカルチャーの揺らぎは、社長あるいはNo.2のような存在が時間をかけて泥くさく解消すべきだと思っています。魔法のような人事評価制度が解決してくれることはなくて、結局は対話をじっくりと重ねるしかないと考えています。
― 率直にお聞きしたいのですが、白潟総研の濃いカルチャーがあることでメンバーは幸せに働けていると思いますか?
石川:カルチャーが濃いからこそ悩む若手もなかにはいますね。自身の在り方を含めて問われる環境だからこそ、これまでの考え方が揺さぶれる場合もあります。私たちも期待をしますし、信頼もしているからこそ対話を尽くすのですが、なかなかうまくいかないことも正直あります。手応えを感じる施策も生まれている一方で、この領域に関しては今後も試行錯誤を続けていくことになりそうです。
― 白潟総研では意識的にカルチャーを作ってきたと思うのですが、今後はどんなカルチャーを醸成していきたいですか?
石川:基本的には、変わり続けなければいけないと思っています。もちろん変わらない思いは持ち続けますが、時代や組織の状況に合わせて変化する強さも同時に身に着けたいです。採用に関しても、同じやり方を続けることだけが唯一の間違いだと考えているため、毎年ブラッシュアップをかけています。例えば、いまの採用プロセスはカルチャーマッチした人材の採用に特化しているのですが、自社を変革してカルチャーをアップデートするような人を採用する仕組みづくりも考え始めています。カルチャーの連続的な成長を図りつつ、新参者による非連続な成長も視野に入れながら醸成していきたいです。
白潟総研は中小ベンチャー企業の社長を元気にするために存在する会社ですが、「元気にする」と一口に言っても会社ごとのカラーがありますよね。私たちは社長が社長らしく経営に立ち向うための支援をしていていきたいと思っているのですが、こういった変わらない中核の思いの言語化を深めてゆくこともカルチャー醸成に繋がると考えています。
――本日はありがとうございました。
白潟総合研究所株式会社
取締役 / 石川 哲也(いしかわ てつや)さん
大学を卒業後、デロイトトーマツグループのトーマツイノベーション株式会社に入社。
人材育成・組織開発の営業及びコンサルティングを実施し、延べ1200社以上のお客様に関わった実績を有する。
現在は白潟総合研究所株式会社にて、採用支援・組織開発のコンサルティングを提供している。
採用支援ではグループ子会社であるソーシャルリクルーティング株式会社の代表を務め、WantedlyやSNSを使った採用方法をお客様に提供している。また、白潟総研グループの採用室長も兼任し、中小ベンチャーでも通用する採用手法に磨きをかけている。
Cultive
Cultiveは幸せに働ける良質な企業文化を醸成することで、企業成長をサポートするために生まれたサービスです。経営者の想いを表した理念策定、理念を込めたグッズ制作、表彰イベントの設計などを行い、企業文化の醸成をサポートしています。
この記事を書いた人
小名木 直子
Producer
オリジナルウェディングのプロデューサーとして多くのイベント企画に携わる。小人数〜200人規模のイベントを得意とする。職場の中でどれだけ心が動く瞬間があるかで人生の幸福度が変わることを実感し、多くの人にCultiveのサービスが届くようWEBサイトの監修も担う。
お気軽にご相談ください
企画やご予算、期日でお悩みはありませんか?まずはお気軽にご相談ください
オススメの事例
株式会社アントレ
株式会社アントレ様のクレドカードを制作させていただきました!
日鉄興和不動産株式会社