中途採用でも入社式は必要?目的と実施する企業の傾向
ここでは、中途採用の入社式を設ける意味と、企業の傾向について解説します。
- 中途採用に入社式を設ける意味
- 実施する企業の増加
- 新卒入社式との違い
それぞれ見ていきましょう。
中途採用に入社式を設ける意味
中途採用でも入社式を設ける企業が増えています。その理由は、単に形式的な儀式ではなく、“組織文化を伝える大切な場”になるからです。
入社初日に経営理念や会社の方針を共有することで、早期にカルチャーに馴染みやすくなり、定着率の向上にもつながります。また、社長や上司からの挨拶、辞令交付といった場を設けることで、会社としての歓迎の意思をしっかり伝えられます。
同期入社の社員や先輩との顔合わせを行えば、入社直後の不安を軽減し、社内コミュニケーションのきっかけにもなります。このように、中途採用の入社式は、組織の一体感を高める場といえるでしょう。
実施する企業の増加
近年では、新卒だけでなく中途採用者を対象にした入社式や歓迎行事を設ける企業が増えています。背景には、「中途入社者にも会社の理念やカルチャーを共有したい」「入社初日から一体感を持ってもらいたい」といった企業側の意識変化があります。
実際に、企業ブログや採用広報の事例では「中途採用社員向け入社式を実施しました」という報告が見られ、形式も対面・オンライン・小規模対話型など多様化しています。
中途採用が増えるなかで、社員をあたたかく迎え入れる場として入社式を取り入れる企業は、今後さらに増えていきそうです。
新卒入社式との違い
中途採用入社式の内容は、会社説明や研修中心の新卒向けとは異なり、「歓迎」と「早期活躍のサポート」に重点を置くのが特徴です。経営層の挨拶では「即戦力としての期待」を伝えるメッセージが多く見られます。
また、すでに社会人経験を持つ参加者への配慮から、過度に形式張らずに進行するのも特徴です。中途入社式は、新卒入社式と比べて参加人数が少なく、同期とのつながりも限られる傾向があるため、対話や交流を重視したアットホームな雰囲気で行う企業も増えています。
中途採用者の入社式を実施するメリット
中途採用者向けの入社式には、「歓迎の場」という意味以上の価値があります。ここでは、中途採用者の入社式を設けることで企業にもたらされる主なメリットを紹介します。
- 組織への一体感・定着率の向上につながる
- 採用ブランディングや社内文化の浸透を期待できる
- 早期離職を防ぐオンボーディングの一環になる
詳しく見ていきましょう。
組織への一体感・定着率の向上につながる
中途採用者向け入社式は、社員同士のつながりを生み、組織への一体感を育みます。
自己紹介や経営陣からの歓迎スピーチ、先輩社員との交流などを通じて、早期に社風や価値観を共有できる点がポイントです。
エン・ジャパンの調査でも「受け入れ体制が整っている企業ほど定着率が高い」とされており、入社式を設けることで孤立感を軽減し、安心して活躍できる環境づくりにつながります。
採用ブランディングや社内文化の浸透を期待できる
中途採用入社式は、企業理念やビジョンを改めて伝える大切な機会です。経営層からのメッセージや会社紹介を通じて、社風や文化への理解を深められます。
また、既存社員に対しても「新しい仲間を歓迎する姿勢」を示す場となり、組織全体に前向きな雰囲気を生み出します。
こうした取り組みは、社内の一体感を高めるだけでなく、外部への発信にもつながり、採用ブランディングの強化にも寄与します。
早期離職を防ぐオンボーディングの一環になる
中途採用入社式は、オンボーディング施策の第一歩として大きな役割を果たします。初日に経営層やメンターと顔を合わせることで安心感を得られ、社内で相談しやすい関係性を築けます。
また、組織のミッションや期待を共有することで「自分の役割」が明確になり、早期離職の防止にも効果的です。
入社式を単なる行事で終わらせず、入社後のサポート体制へとつなげることが定着支援のカギとなります。
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中途採用者の入社式の流れ
中途採用者の入社式は、新卒向けとは進行や構成が異なる場合が多く見られます。
- 一般的な入社式の構成
- 歓迎スピーチや自己紹介タイムを用意
- 式典後は懇親会や交流会を実施
順に解説します。
一般的な入社式の構成
一般的な入社式は、開会のあいさつに始まり、社長や経営陣による歓迎スピーチ、辞令交付、新入社員代表のあいさつ、会社理念やビジョンの紹介、記念撮影などが一般的な流れです。
一方で、中途採用社員の入社式は、すでに社会人経験がある前提から、式典要素を簡略化する傾向があります。開会のあいさつ、社長や役員による経営メッセージ、辞令交付、会社方針やビジョンの共有といったシンプルな構成で、30分〜1時間程度にまとめられることが一般的です。
新入社員向けに見られる「新入社員代表あいさつ」や「長時間の理念共有」などは省略されることが多く、その代わりに、経営層からの歓迎と期待を伝える場として設計される傾向があります。
歓迎スピーチや自己紹介タイムを用意
中途入社式では、歓迎スピーチや自己紹介の時間を設けることで、緊張を和らげ、職場へのなじみやすさを高める効果があります。経営層や直属の上司、先輩社員からの歓迎メッセージを伝えることで、会社としての期待やサポート姿勢を示せます。
自己紹介では、一人あたり1〜2分程度を目安に、これまでの経歴や趣味などを自由に話してもらうと、相互理解が深まりやすくなります。順番を部署や入社日順にするなどの工夫で、スムーズな進行が可能です。
こうした時間を設けることで、初日から安心してコミュニケーションを取れる環境づくりに役立ちます。
式典後は懇親会や交流会を実施
中途入社の場合、同期が少なかったり、初対面の社員が多かったりすることもあるため、安心して話せる雰囲気づくりが欠かせません。
入社式後に懇親会や交流会を実施することで、中途社員が自然に職場へ溶け込むきっかけになります。軽食を囲みながら、先輩社員や他部署のメンバーと気軽に話す時間を設けると、業務以外の人間関係が築きやすくなり、相談しやすい空気も生まれます。
さらに、質問タイムを設けることで、入社直後の疑問や不安を解消できる点もメリットです。立食形式やグループごとの交流など、形式にこだわらずリラックスした場にすることで、社員同士のつながりが深まり、自然とチームの一体感が育っていきます。
中途入社式を成功させるための準備・運営ポイント
中途採用入社式を円滑に進めるには、当日の段取りだけでなく、事前準備が大切です。そのためのポイントを確認しておきましょう。
- 日程を決めて他部署のスケジュールと連携する
- 司会・進行役を明確にし雰囲気づくりを意識する
- 挨拶は歓迎メッセージや動画も活用する
- オンライン・ハイブリッド開催も取り入れる
順に見ていきましょう。
日程を決めて他部署のスケジュールと連携する
中途採用入社式を円滑に行うためには、日程を早めに確定し、関係部署と連携して準備を進めることが大切です。特に総務・人事・配属先のスケジュールを調整し、経営層や登壇者の予定を押さえておくことで、当日の混乱を防げます。
また、配属先の上司や先輩社員の参加を事前に依頼しておくと、歓迎ムードを演出しやすくなります。全社的なスケジュール管理を意識した計画が、スムーズな運営のカギとなります。
司会・進行役を明確にし雰囲気づくりを意識する
入社式の成功には、司会・進行役を明確に決めておくことが欠かせません。
進行の流れを理解し、登壇者や参加者への声かけをスムーズに行える担当者を選ぶことで、式が滞りなく進みます。また、硬すぎないトーンで場を和ませたり、笑顔での案内を心がけたりすることで、新入社員の緊張をやわらげられます。
BGMや拍手のタイミングなど、細かな演出も加えることで、温かみのある雰囲気づくりにつながります。
挨拶は歓迎メッセージや動画も活用する
入社式の挨拶では、社長や上司からの歓迎メッセージに加え、動画や事前収録メッセージを活用することで、より印象的に思いを伝えられます。
現場社員や先輩のコメント動画を流すと、会社全体で歓迎している雰囲気を演出できます。また、オンライン参加者にも同じ内容を共有できるため、距離に関係なく一体感を感じてもらえる点もメリットです。
形式にとらわれず、温かいメッセージ発信を意識することが大切です。
オンライン・ハイブリッド開催も取り入れる
最近では、拠点が分かれた企業やリモート勤務者が多い組織を中心に、オンラインやハイブリッド形式での中途採用入社式も増えています。
円滑な進行のためには、事前の接続テストや音声・映像の確認を徹底し、資料は共有フォルダやチャットツールを使って配布すると安心です。オンライン参加者にも発言や自己紹介の機会を設け、ブレイクアウトルーム(オンライン上で少人数に分かれて話せる機能)などで交流できる時間を取り入れると、一体感を保ちやすくなります。
距離を超えてつながる仕組みづくりが、参加満足度を高めるポイントです。
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中途採用者の内定式で社員が配慮したいポイント
中途採用社員にとって、新しい環境への期待と不安が入り混じるタイミングだからこそ、温かく迎える姿勢や配慮が欠かせません。
ここでは、入社式で意識したいポイントや、入社後のスムーズな定着につなげる工夫を紹介します。
- 同期が少ない中途社員が孤立しないよう声をかける
- オリエンテーションやメンター制度も組み込む
- 配属部署と情報共有しフォロー体制を作る
詳しく解説します。

同期が少ない中途社員が孤立しないよう声をかける
中途入社者は同期が少なく、周囲との関係づくりに不安を感じやすいものです。内定式や入社直後は、既存社員から積極的に声をかけるようにしましょう。
例えば、自己紹介の時間を少し長めに設けて交流のきっかけをつくったり、入社直後からランチや休憩時間に自然に誘う、などの配慮が効果的です。また、初期の段階で相談しやすい雰囲気を示すことで、孤立を防ぎ、早期になじみやすくなります。
小さな声かけやフォローが、中途社員の安心感と定着につながります。
オリエンテーションやメンター制度も組み込む
入社式のあとには、オリエンテーションやメンター制度を取り入れることで、中途採用社員のスムーズな定着を支援できます。
オリエンテーションでは、会社概要や組織体制、社内ルール、利用ツールなどを丁寧に説明し、早期に業務環境へなじんでもらうことが大切です。
さらに、質問や相談がしやすい先輩社員をメンターとして配置すれば、業務面だけでなく人間関係の不安も軽減できます。こうしたオンボーディング施策が、安心して活躍できる職場づくりにつながります。
配属部署と情報共有しフォロー体制を作る
中途採用社員の早期定着には、人事と配属部署の連携が欠かせません。入社前にアンケートなどで不安点や希望を把握し、初日のメンター担当や座席配置などを事前に決めておくと安心です。
また、入社後も定期的に人事と配属先で情報共有を行い、業務の進捗や職場への適応状況を確認することで、早めのフォローが可能になります。
中途採用社員一人ひとりの状況に応じたサポート体制を整えることが、離職防止と定着促進のカギとなるでしょう。
中途社員の入社式を実施した企業事例
ここでは、実際に中途採用入社式を行っている企業の事例を紹介します。各社の取り組みを参考に、自社らしい歓迎の形を考えてみましょう。
- 株式会社アールナイン
- 北陸設備工業株式会社
- 株式会社W.H
それぞれ見ていきましょう。
株式会社アールナイン
株式会社アールナインでは、2023年3月から毎月初めに、中途採用者を対象とした入社式を行っています。
式では、代表による配属証書の授与や記念品の贈呈、中途採用社員の自己紹介、代表講話といった流れがあり、新しい仲間を温かく迎える雰囲気が感じられます。
また、歓迎ランチ制度も取り入れており、配属先の上長が部署を越えてランチを手配。入社直後に「誰と話せばいいのか不安」という気持ちを和らげ、自然に交流が生まれるよう工夫されています。
中途入社者が「歓迎されている」「安心してスタートできる」と感じられる仕組みづくりを通して、早期の定着と活躍につなげている事例です。
参考:PR Times「アールナイン、中途入社社員向け入社式を開催」
北陸設備工業株式会社
北陸設備工業株式会社では、中途採用者が入社するたびに、丁寧な入社式を行っています。大規模な式典ではなく、社内でアットホームに実施されるのが特徴です。
同社のサイトでは、事務職や技術職など職種を問わず、中途社員一人ひとりを温かく迎え入れる様子が紹介されています。採用後は、先輩社員のサポートのもとで安心して業務をスタートできる体制が整っており、実際に入社した社員が長く定着していることも同社の特徴です。
中途採用社員を大切にし、働きやすい環境づくりに力を入れる姿勢がうかがえます。
参考:北陸設備工業株式会社「中途採用者(事務職)の入社式を行いました」
株式会社W.H
株式会社W.Hでも、中途採用者の入社式が実施されています。
同社のサイトでは、新たに3名が加わり、同社の仲間として新しいスタートを切っている様子を紹介。未経験からの挑戦を歓迎する姿勢や、採用を積極的に行っている様子が伝えられています。
式の詳細なプログラムは公開されていませんが、定期的に中途社員入社式を設け、社員一人ひとりを丁寧に迎え入れていることがうかがえます。
形式にとらわれず、人と人とのつながりを大切にする温かな雰囲気が特徴で、中途採用社員が安心して新たな環境に馴染めるよう配慮された取り組みといえるでしょう。
中途採用者の入社式は歓迎と定着の第一歩
中途採用者の入社式は、新たな仲間を歓迎し、早期の定着につなげる大切な機会です。
形式の大小にかかわらず、「歓迎されている」と実感できる場を設けることで、入社直後の不安を和らげ、組織への安心感や一体感を育むことができます。オンボーディングやメンター制度と連動させることで、早期離職の防止にも効果的です。
また、入社のタイミングであらためて企業の文化や理念に触れてもらい、その解像度と共感を高めることも、新メンバーのモチベーション維持や早期活躍のためには欠かせません。自社の文化や想いを振り返り、届いてほしいメッセージをあらためて考えてみましょう。
Cultiveでは、企業の“らしさ”を強みに変えて、成長の一助となる文化醸成を幅広く支援しております。
企業文化に根ざした入社式の企画立案、その後のオンボーディング施策の実施まで、経営課題に寄り添いながらサポートいたします。
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