今注目の「ティール組織」とは?更新され続ける、組織のあり方に向き合う

2023.09.26

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    今注目の「ティール組織」とは?更新され続ける、組織のあり方に向き合う

     

    ティール組織とは

    こんにちは。「幸せに働ける」企業文化の醸成をサポートするCultiveです。
    時代が移り変わり、リモートワークも当たり前になりつつある現代。働く人それぞれが、自分にとってより良い「働き方」を考えるようになってきました。

    社会の流れとして働き方改革が進む中、「ティール組織」という新たな組織のあり方が注目されています。
    この記事ではティール組織の解説から、これまでの組織形態の振り返りまでご紹介していきます。

    ティール組織は、2014年に出版された「Reinventing Organizations」(フレデリック・ラルー著)という本で紹介された考え方で、これまでの組織にはなかった『次世代型の組織形態』です。

    具体的には「社員一人ひとりが意思決定権を持ち、組織の目標達成のために行動する組織」を指します。

    大きな特徴は、メンバー全員がフラットな関係であることです。階級構造がないため、経営陣や管理職も存在しません。

    フレデリック・ラルーはこれまでの組織のあり方を分析し、4つの組織形態を定義した上で、5つ目の組織形態である「ティール組織」を見出しました。

    時代の移り変わりによって進化を重ねた組織形態が、今後ティール組織に発展すると述べられています。

    ティール組織のメリット・デメリット

    ティール組織では、メンバーが自律心高く行動するという企業文化が醸成されやすく、事業の急成長も見込めるというメリットがあります。

    しかし、階級構造が無いからこそ、意思決定を誤って失敗した際の軌道修正が困難であるという一面も持っています。

    ティール組織に至るまでの組織形態を解説

    それでは、ティール組織に至るまでの5つの組織形態を順番に解説していきます。

    提唱者であるラルーは変遷の過程を色の名前で表現し、

    ①レッド(Red)
    ②アンバー(Amber)
    ③オレンジ(Orange)
    ④グリーン(Green)
    ⑤ティール(Teal)

    と名付けました。
    ティールは、進化を象徴する青緑色の一種です。

    レッド(衝動型)組織

    レッド組織は『圧倒的な力を持つ特定のトップが、力と精神的な恐怖で他の人間を従属させる』組織形態です。この組織は「オオカミの群れ」として例えられています。

    特徴として、以下の点が挙げられます。

    • 短絡的な行動が多く、すぐに手に入る目の前の利益を重視する
    • 中長期的に考えることが少なく、継続的な発展は難しい
    • 個人の力に依存するため、再現性が低い

    社会が混乱している場合の対応力は高いものの、計画的に結果を目指す場面にはあまり向いていません。

    アンバー(順応型)組織

    アンバー組織は『各々が、役割やルールに則した行動を徹底することで秩序を保つ』組織形態です。この組織は「軍隊」として例えられています。

    特徴として、以下の点が挙げられます。

    • ヒエラルキー(階級構造)の概念が存在する
    • 自分の役割を全うし、秩序を守ることが期待される
    • 新たなアイデアなどが生まれにくく、社会の変化に順応することが難しい

    政府機関で多く見られる形態で、レッド組織と比べて中長期的な視野を持った組織になっています。

    オレンジ(達成型)組織

    オレンジ組織は『階級構造をベースに、個人の能力や成果に応じて変化させることで、組織の成功を目指す』組織形態です。この組織は「機械」と例えられています。

    特徴として、以下の点が挙げられます。

    • 役職にかかわらず、自分が出した成果に見合った地位や報酬が手に入る
    • 数値管理に基づいた効率化を徹底することで、組織の成功を目指す
    • 競争し続けることが求められ、オーバーワークになりやすい

    現代の日本企業の大半がオレンジ組織に該当しています。また、アンバー組織と比べて階級構造に流動性があるため、社会の変化に対して柔軟な対応ができます。

    グリーン(多元型)組織

    グリーン組織は『メンバーの主体性や多様性を尊重し、最前線の社員に意思決定権が与えられる』組織形態です。この組織は「家族」と例えられています。

    特徴として、以下の点が挙げられます。

    • 組織に属するメンバーのやりがい / 満足度の向上を目指す
    • 組織文化や価値観が重視されている
    • 成功が最善とは捉えず、積極的にメンバー個人の働き方に向き合う

    個人の多様性を組織文化として受け入れているものの、階級構造のヒエラルキーは残っている状態となっています。また、オレンジ組織と比べて、メンバーの心理的安全性が担保されやすい一面もあります。

    ティール(進化型)組織

    冒頭でも示した通り、ティール組織は『組織に属する一人ひとりが意思決定権を持ち、全員が組織の目標達成のために行動する』組織形態です。この組織は「生命体」と例えられています。

    特徴として、以下の点が挙げられます。

    • 階級構造が存在せず、フラットな関係性をもつ
    • メンバー全員が主体的に組織の活動を行う
    • 存在目的を達成することが最重要項目

    これまで解説した4つの組織形態が順に発展し、最後に辿り着くのがこの「ティール組織」と言われています。

    ティール組織に必要な3つの要素

    ラルーは著書の中で、ティール組織が存在するために必要な要素を3つ述べています。

    セルフマネジメント

    一つ目の要素は、メンバー自身の「セルフマネジメント」能力です。

    ティール組織では、メンバー全員が平等な意思決定権を持つため、自己管理能力が必要とされます。

    また、常に適切な判断ができるのかという懸念を減らすために「助言プロセス」という仕組みがあります。助言プロセスには、以下の手順が含まれています。

    1. 意思決定の前に、決定が影響する関係者全員と専門家に助言をもらう
    2. 助言を踏まえた最終決定は本人が行う

    リスクを含む助言は踏まえつつも、最終的にはメンバーの意思決定が尊重されています。

    ティール組織では、個人のセルフマネジメント能力が求められるだけで無く、一人ひとりの自律した意思決定を促す仕組みも存在しています。

    ホールネス

    ティール組織に必要な二つ目の要素は、ホールネスと呼ばれる「メンバー全員が自分らしく組織に存在した上で、互いに認め合える環境」です。

    一人ひとりの主体性を大事にするティール組織において、心理的安全性の確保は重要視されています。

    これまでは評価されることが当たり前で、組織に対してありのままの自分を見せにくい一面がありました。しかし、自分の才能や個性が平等に認められる環境であるとメンバーが認識することで、自主的かつ継続的に、組織の目標達成に繋がる活動を行うと考えられています。

    ティール組織では、チームや個人が積極的にホールネスを担保するために環境づくりを行っています。

    存在目的(進化する目的)

    ティール組織に必要な3つ目の要素は「進化する存在目的」です。

    ティール組織では、利益をあげることよりも、存在目的の達成を重要視しています。

    そのため、ティール組織に「競合」という概念は存在していません。

    メンバー全員が、移り変わりの激しい社会の変化に応じて「組織が存在する理由は何か」を常に考え、存在目的を更新 / 達成し続けるべきだと考えられています。

    ティール組織として運営を続ける企業例

    ー海外企業ー
    ザ・モーニング・スター・カンパニー

    アメリカのカリフォルニア州に拠点を構え、世界のトマト産業を支え続けるトマト加工を主軸にした企業です。ティール組織の導入により、400人のメンバーで年商63億円を達成するほど成長しました。

    ザ・モーニング・スター・カンパニーの特徴として、以下の点があげられます。

    • 給与・報酬に関する権利は、全ての社員が持つ
    • 他の社員の評価と成果によって、報酬が決定する
    • 全員がマネージャーとして活動する
    • 合意書を社内全体で共有することで、主体性やモチベーションの維持を目指す
    • 会社の成長に必要だと感じる事業は、個人に決定権が与えられる。

    業績が伸びた結果、アメリカ国内でのケチャップやトマトソース(トマト加工品)のシェア獲得率は30%に登っています。

    ザッポス

    主に靴をネット通販で販売するアメリカのラスベガスに本社を構える会社です。カスタマーサービスにおける「神対応」や独自の企業文化を確立したことから、アメリカ国内だけでなく世界でも注目されている企業です。独自の文化を築き上げる中で、ティール組織と繋がるような要素が多くみられます。

    ザッポスの特徴として、以下の点が挙げられます。

    • メンバー自身の目的と組織の目的が繋がり合う状況を作る
    • 組織の目的と繋がる仕事の役割を作る
    • 仕事のセルフマネジメントを可能とするための「ホリクラシー」が設定されている
    • ホールネスを担保するために、メンバーの悩みが解決する糸口を一緒に考えるロールの存在
    ー日本企業ー
    株式会社オズビジョン

    ラルーの著書の中で紹介された、唯一の日本企業です。「会社とは・事業とは・組織とは」を本質的に考え続け、その過程の中で行った「Good or New」や「Thanks Day」の取り組みがラルーの著書で取り上げられていました。

    <Good or New>

    • 毎朝ランダムに作成されたグループで、メンバーの良いところ(good)か24時間以内にあった出来事(News)を共有する時間

    <Thanks Day>

    • 年に1日、感謝を伝えるための休暇&2万円を支給する制度

    これらの施策の目的は達成されたため、現在では「完全自律型勤務制度」を取り入れ、個人の可能性を最大限に発揮できるよう、究極的に個人に裁量に委ねるという挑戦をしています。

    <完全自律型勤務制度>

    • 成果獲得のために働く場所 / 時間 / 休暇を自ら自由に設定する。成果を出していれば報酬に影響は生じない。
    ガイアックス

    ソーシャルメディアやシェアリングエコノミーを中心に事業に取り組む企業です。

    元々ティール組織を目指していたわけではなく、メンバーの多様性やボトムアップ体制を尊重した結果、日本での「ティール組織」企業と言われる組織になりました。

    ガイアックスの特徴として以下の点が挙げられます。

    • 個人の裁量を最大限に認め、尊重する「フリー・フラット・オープン」を掲げている
    • ホールネスをいち早く確立するために、入社時の研修では自分たちの個性や価値観を出すような「ライフワークミッション研修」を設けている

    まとめ

    いかがでしたか?大切なことは、自分たちはどんな組織形態なのか・今後どうなりたいのかに向き合い続けることではないでしょうか。

    もしかしたらティール組織の性質の中に、より良い組織をつくるヒントがあるかもしれません。

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      この記事を書いた人

      小名木 直子
      小名木 直子

      Producer

      オリジナルウェディングのプロデューサーとして多くのイベント企画に携わる。小人数〜200人規模のイベントを得意とする。職場の中でどれだけ心が動く瞬間があるかで人生の幸福度が変わることを実感し、多くの人にCultiveのサービスが届くようWEBサイトの監修も担う。

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