「会社に愛着がない」と社員が感じる実態とデータ
会社への愛着や帰属意識は、従業員エンゲージメントと深く結びついています。しかし、日本企業のエンゲージメント水準は国際的に見て低い傾向が指摘されています。海外調査では、日本の従業員は「仕事への熱意」や「会社への誇り」を感じている割合が低く、最低水準に近い結果が示されています。
また、「会社に愛着がない」と感じる社員は、特定の年代や職種に限られた問題ではありません。働き方や評価、コミュニケーションに不満を抱えた結果、組織との心理的な距離が広がっていくケースが多く見られます。こうした状態が続くと、仕事への主体性や貢献意欲が低下しやすくなります。
実際、厚生労働省の雇用動向調査によると、2024年の離職率は14.2%、定着率は85.8%でした。数字上は一定の水準を保っているものの、「辞めないが愛着もない」社員が組織内にとどまっている実態がうかがえます。
愛着の欠如は、目に見えにくい形で組織の活力を削ぐ要因となっているのです。
会社に愛着がない社員を放置するリスクと組織への影響
会社への愛着の欠如を「本人の問題」として片付けると、影響は個人に留まりません。組織の空気が少しずつ冷え、挑戦が減り、離職や採用難にもつながっていきます。見えにくいからこそ、早めに手を打つ必要があります。
- 静かな退職が蔓延する
- 優秀な人材が流出し採用が難しくなる
- 主体性が欠如し他社との競争力が失われる
静かな退職が蔓延する
静かな退職とは、与えられた最低限の仕事はこなしつつ、それ以上の貢献をあえてしない働き方を指します。時間どおりに帰る、提案をしない、自発的な改善に手を出さないといった行動が典型です。
愛着が薄い状態では「頑張っても報われない」「関わっても変わらない」という諦めが生まれやすく、こうした姿勢が周囲にも伝播します。結果として活力や士気が落ち、挑戦や協力が起こりにくい職場になっていきます。「辞めないが貢献もしない」人が増えること自体が、組織への大きなダメージです。
優秀な人材が流出し採用が難しくなる
愛着のない職場環境は、優秀な人材ほど早く見切りをつける原因になります。成長機会や働きがいを求める層は選択肢が多く、違和感を抱えたまま留まり続ける理由が少ないからです。さらに、エンゲージメントが低い企業ほど離職率が高まりやすいという指摘もあり、離職が離職を呼ぶ負のスパイラルに陥りやすくなります。人が抜けると残った社員の負担が増え、職場の空気も悪化しがちです。
加えて、口コミサイトなどで評判が下がれば企業ブランドにも響き、採用が難しくなっていきます。
主体性が欠如し他社との競争力が失われる
会社への愛着が持てない状態が続くと、仕事への主体性が育ちにくくなります。新しい提案や改善が出にくくなり、問題があっても「自分が動くほどではない」と受け流されがちです。
こうした姿勢が広がると、組織としての学習や変化対応が遅れます。市場環境が変わっても挑戦が生まれず、イノベーションの芽も育ちにくい。短期的には業務が回っているように見えても、長期的には競争力の低下につながります。
愛着は感情の話に見えますが、結果として企業の強さを左右する要素だといえます。
社内イベントのことならCultiveまで!
企画やご予算でお悩みはありませんか?まずはお気軽にご相談ください
社員が会社に愛着を持てない原因と主な対策
社員が会社に愛着を持てない背景には、ひとつの理由だけでなく、制度や文化、コミュニケーションなど複数の要因が重なっているケースが多く見られます。愛着の低下は、働く意欲や主体性の低下につながり、結果として定着率や組織の活力にも影響を及ぼします。ここでは、社員が会社との距離を感じやすくなる代表的な7つの原因を整理し、それぞれに対して企業が取り得る具体的な対策を解説します。
- 会社の将来性や方向性が見えない
- 評価制度が不透明・不公平感がある
- 報酬や待遇・福利厚生へ不満がある
- 働く環境や労働条件に不満がある
- 上司や経営陣とコミュニケーションを取れない
- 仕事の意義や社会的価値を感じられない
- 人間関係や職場風土に問題がある

会社の将来性や方向性が見えない
経営ビジョンや事業の方向性が社員に十分伝わっていない場合、「この会社で働き続けて大丈夫なのか」という将来不安が生まれやすくなります。理念やビジョンが明文化されていなかったり、掲げられていても実務と結びついていなかったりすると、言葉だけが形骸化し、社員の納得感は得られません。中期経営計画や事業戦略が現場に共有されず、トップメッセージが届かない組織では、不安や不信感が蓄積していきます。
対策としては、ミッション・ビジョン・バリューを明確に定義し、全社で共有することが重要です。経営方針説明会やタウンホールミーティングを定期的に実施し、会社の現状や目指す方向を丁寧に伝えることで、社員の理解は深まります。部門やチームの目標と会社ビジョンの関係性を示し、経営情報を社内報やイントラネットで透明化することも、愛着形成につながります。
評価制度が不透明・不公平感がある
評価基準が明確でない、あるいは上司の主観によって評価が左右されていると感じる職場では、社員の会社に対する信頼は損なわれやすくなります。どのような行動や成果が評価につながるのかが見えない状態では、努力の方向性を見失い、「頑張っても報われない」という不満が蓄積します。昇給や昇格のプロセスがブラックボックス化している場合も、不公平感を強める要因となります。
対策としては、評価基準を明文化し、全社員に周知することが不可欠です。目標管理制度やOKRを導入し、目標と評価の関係を可視化することで納得感は高まります。360度評価など多面的な評価手法を取り入れ、評価者研修を実施することも有効です。また、評価フィードバック面談を形式だけで終わらせず、対話の質を高めることで、不公平感への対処につながります。
報酬や待遇・福利厚生へ不満がある
給与水準や待遇が市場相場と比べて見劣りすると、「この会社に留まるメリットがない」と感じやすくなります。成果と報酬が結びついていない、昇給ペースが遅いといった状況は、愛着低下を招く要因です。また、福利厚生が形だけで実態が伴っていない場合も、不満につながります。
対策としては、定期的に給与水準を市場と比較し、必要に応じて見直す姿勢が求められます。成果連動型の報酬制度や職務給制度の検討、選択型福利厚生の導入など、多様な価値観に対応する仕組みづくりが重要です。単に「給与を上げる」だけでなく、中長期的なインセンティブ設計を通じて、会社との関係性を築く視点が欠かせません。
働く環境や労働条件に不満がある
長時間労働が常態化している、有給休暇を取得しづらい雰囲気があるなど、労働環境への不満は愛着を大きく損ないます。制度が整っていても、実際には利用しにくい職場では、安心して働くことができません。ワークライフバランスが取れない状態が続くと、会社に前向きな感情を持つ余裕も失われていきます。
対策としては、労働時間管理の徹底や残業削減に加え、有給休暇取得率の向上を目標として掲げることが重要です。フレックスタイムやリモートワークの導入だけでなく、実際に利用できる風土づくりが求められます。オフィス環境の改善や健康経営の推進も、愛着形成の土台となります。
上司や経営陣とコミュニケーションを取れない
上司や経営層との対話が不足していると、社員は「自分の声は届かない」と感じやすくなります。意見や提案が反映されない経験が重なると、会社への関心や愛着は薄れていきます。経営方針や会社の状況が共有されない組織では、不信感が生まれやすくなります。
対策としては、1on1ミーティングを定例化し、日常的な対話の機会を設けることが有効です。タウンホールミーティングや少人数での対話会を通じて、経営陣と社員の距離を縮める取り組みも重要です。社内SNSや提案制度を活用し、意見が可視化される仕組みを整えることで、心理的な距離は縮まります。
仕事の意義や社会的価値を感じられない
自分の仕事が誰の役に立っているのか見えない状態では、働く意味を実感しにくくなります。業務の目的や会社の社会的使命が共有されていないと、仕事は単なる作業になりがちです。特に若手世代では、社会的意義を重視する傾向が強まっています。
対策としては、企業のミッションやパーパスを明確にし、業務とのつながりを説明する機会を設けることが重要です。顧客の声や成功事例を社内で共有し、社会貢献活動への参加機会を提供することで、仕事の価値を実感しやすくなります。やりがいだけに頼らず、報酬などの条件面もあわせて整える視点が欠かせません。
人間関係や職場風土に問題がある
ハラスメントの存在や心理的安全性の低さは、会社への愛着を大きく損ないます。意見や失敗を恐れる雰囲気の職場では、挑戦や成長が阻まれ、組織への信頼も低下します。世代間の価値観の違いが調整されない場合も、摩擦が生まれやすくなります。
対策としては、ハラスメント防止研修の実施や相談窓口の整備が不可欠です。心理的安全性を高めるマネジメント研修や、失敗を学びに変える文化づくりも重要です。チームビルディング施策や多様性を尊重する取り組みを通じて、健全な職場風土を育てることが、愛着形成につながります。
社員が愛着を持てる会社へ変革するポイント
前章では、社員が会社に愛着を持てなくなる主な原因を整理しました。しかし、課題を把握するだけでは組織は変わりません。重要なのは、把握した原因を具体的な行動や制度改善につなげ、継続的に見直していくことです。本章では、愛着形成を一過性の施策で終わらせず、組織変革として定着させるための基本ポイントを解説します。
従業員の声を継続的に収集する
社員が会社に愛着を持つためには、組織が一方的に施策を決めるのではなく、現場の声を継続的に把握する姿勢が欠かせません。定期的な1on1や評価面談を通じて日常的な不満や要望を聴き取ることに加え、匿名アンケートや意見箱を活用することで、本音を引き出しやすくなります。
また、退職者へのエグジットインタビューは、在職中には表に出にくかった課題を知る重要な機会です。社内SNSやタウンホールミーティングを活用すれば、双方向のコミュニケーションも促進できます。大切なのは、集めた声を経営や人事が分析し、改善につなげた結果を社員へ返すことです。「聴いて終わり」にせず、活かす仕組みを整えることで、信頼と愛着は少しずつ育っていきます。
採用段階から情報を開示し愛着形成する
社員の愛着は入社後に突然生まれるものではなく、採用段階から土台づくりが始まっています。リアリスティック・ジョブ・プレビューを取り入れ、良い面だけでなく仕事の大変さや課題も正直に伝えることで、入社後のギャップを減らせます。
さらに、内定者フォローや入社前のコミュニケーションを通じて関係性を築くことは、心理的な安心感につながります。入社後はオンボーディングを充実させ、最初の90日間を手厚く支援することが重要です。メンターやバディ制度を導入すれば、早期適応も進みやすくなります。企業文化やビジョンへの共感を重視した採用は、結果的に愛着を持ちやすい人材の定着につながります。
従業員サーベイを定期的に測定する
社員の愛着やエンゲージメントは感覚だけで判断せず、定量的に把握することが求められます。年1回から2回程度の従業員エンゲージメントサーベイを実施すれば、組織全体の傾向を把握できます。加えて、「この会社を友人に勧めたいか」を問うeNPSは、愛着度をシンプルに数値化できる指標です。
短期間で実施できるパルスサーベイを併用すれば、変化をリアルタイムで捉えやすくなります。測定項目は、仕事への満足度、会社への誇り、上司や同僚との関係性、成長実感、離職意向などが中心です。定期的な測定によって、課題の早期発見と改善につなげられます。
データに基づく改善施策を検討する
収集した声やサーベイ結果は、分析と改善を前提として活用する必要があります。経営層や人事がデータを詳細に分析し、部署別や階層別などの切り口で課題を深掘りすることで、優先すべき施策が見えてきます。
即効性のある対策と、中長期的に取り組む施策を整理し、リソースを適切に配分することも重要です。計画、実行、評価、改善を繰り返すPDCAサイクルを回し続けることで、施策は形骸化しにくくなります。愛着形成には、経営陣の継続的な関与と投資が欠かせません。
社内イベントのことならCultiveまで!
企画やご予算でお悩みはありませんか?まずはお気軽にご相談ください
愛着ある会社づくりはCultiveへご相談ください
社員が会社に愛着を持てるかどうかは、制度や待遇だけで決まるものではありません。日々のコミュニケーションや意思決定の透明性、仕事の意義が伝わる仕組みなど、組織全体の在り方が大きく影響します。
Cultiveでは、エンゲージメントや帰属意識向上につながる施策を、企業ごとの文化や課題に合わせて設計しています。会社やチームの“らしさ”を言語化し、メンバーが共感できるストーリーとして共有することで、愛着が自然と育つ組織づくりを支援します。社員の定着や活力に課題を感じている方は、ぜひ一度ご相談ください。


































