暑気払いとは?
暑気払いとは、夏の暑さによる疲労や不調を和らげ、元気に過ごすための日本の伝統的な習わしです。
語源は「暑さ(暑気)を払う」ことにあり、平安時代、貴族たちが氷や冷たい甘酒で涼をとったことに由来します。江戸時代には庶民の間にも広がり、川遊びや冷たい飲み物を楽しむ風習が定着しました。
また、中医学の暑さによって体に悪影響を及ぼす「暑邪(しょじゃ)」を払うという考え方に基づいており、体調管理の意味合いもあります。
現代では、食事会や飲み会を通じて親睦を深めたり、日頃の疲れをねぎらったりする機会として定着しています。ビジネスシーンでは、メンバーのモチベーション向上やチームの結束を強めるためのイベントとして開催されることも多いです。
暑気払いの時期は梅雨明け〜立秋が目安
暑気払いをおこなう時期は、一般的に梅雨明けから立秋までとされています。二十四節気でいうと「小暑(7月上旬)」や「大暑(7月下旬)」にあたる、暑さが最も厳しい季節です。気温が高く体力を消耗しやすいため、体にこもった熱や疲れを癒すにはぴったりのタイミングでしょう。
また、暑気払いは「暑中見舞い」の時期とも重なります。暑中見舞いは、小暑(7月7日頃)から立秋(8月7日頃)の前日までに出す季節の挨拶状のことです。暑さのなかで健康を気遣うという点では、暑気払いと同じ価値観が込められています。立秋を過ぎると「残暑見舞い」に変わります。
納涼会・残暑見舞いとの違い
暑気払いと似た行事に「納涼会」や「残暑見舞い」があります。いずれも夏に行われる風物詩ですが、それぞれ目的や時期に違いがあります。
暑気払い=体の熱を払うための習わし
体の熱や疲れを取り除いて、夏バテを予防することが目的です。
暑さにより弱った体調や気力を回復させる「内側から整える」ための行事といわれています。
納涼会=暑さを避けて涼しさを楽しむ夏の集まり
涼を感じながら夏のひとときを楽しむイベントです。
屋外での夕涼みやレクリエーションが中心で、気分転換や交流の機会として開催されます。
残暑見舞い=立秋以降の季節の挨拶
立秋を過ぎてから、相手の体調を気遣うために送る挨拶状や贈り物のことです。
季節の変わり目に相手を思いやる、日本ならではの風習として親しまれています。
このように夏の時期の行事でも目的や方法、使われる場面が異なります。シーンに応じて、ふさわしい言葉や催しを選びましょう。
暑気払いにおすすめの食べ物・飲み物
暑さが厳しい季節には、体の内側から熱を和らげてくれる食べ物や飲み物を取り入れることが大切です。
夏にぴったりの食材や日本ならではの飲み物を紹介します。
- 体を冷やす夏野菜|きゅうり・スイカなど
- 日本の冷たい飲み物|冷やし甘酒・麦茶など
- うなぎや冷麦が選ばれる場合もある
体を冷やす夏野菜|きゅうり・スイカなど
夏の野菜や果物には、自然の力で体を冷やす作用があるものが多く含まれています。例えば以下の食材が挙げられます。
- きゅうり
- スイカ
- トマト
- なす
- ゴーヤ
「きゅうり」は約95%が水分で構成されており、体内の余分な熱を外に逃がす働きがあります。
「スイカ」には利尿作用のあるカリウムが豊富に含まれていて、体の水分バランスを整える効果が期待できるでしょう。
「トマト」や「なす」は漢方でも「涼性」とされ、体の熱を下げるといわれています。
こうした夏野菜は、暑気払いのメニューに取り入れることで、体調面のサポートにも役立ちます。
日本の冷たい飲み物|冷やし甘酒・麦茶など
日本には昔から夏に親しまれてきた、伝統的な冷たい飲み物がいくつかあります。
なかでも「冷やし甘酒」は、夏バテ対策として江戸時代から重宝されてきた栄養ドリンクです。ブドウ糖やアミノ酸、ビタミン類などを含み、消化負担が少なく食欲が落ちやすい夏のエネルギー補給に適しています。
また「麦茶」は体の熱を取り除く効果が期待される飲み物です。夏場の水分補給としてよく飲まれています。
「びわの葉湯」や「どくだみ湯」など、日本に古くから伝わる薬湯を冷やして飲むスタイルもあります。暑い季節の体に優しい飲み物として、見直されつつある習慣です。こうした日本ならではの飲み物を、暑気払いのひとつとして楽しんでみてはいかがでしょうか。
うなぎや冷麦が選ばれる場合もある
暑気払いの食事として栄養価の高い「うなぎ」や、のどごしのよい「冷麦」が選ばれることもあります。
うなぎは、夏のスタミナ食として古くから親しまれてきました。ビタミンB群やDHAなどの栄養素を含むことから、暑さで疲れた体をいたわる食材として知られています。特に「土用の丑の日」にうなぎを食べる風習は、夏を乗り切る生活の知恵として定着しています。
冷麦はその清涼感から、暑い季節にぴったりのメニューです。つるりとした食感で食欲が落ちているときでも食べやすく、家庭でも手軽に用意できる点が魅力です。特別なイベントに限らず、日々の食卓にも取り入れやすいため、暑気払いのメニューとしても重宝されています。
ビジネスで使える暑気払いの挨拶例文
暑気払いの案内や挨拶は、形式や相手によって言葉を使い分けなくてはなりません。
「社内向け」「取引先向け」「親しい間柄」に分けて、実際に使える例文を紹介します。
- 社内メールや案内状の例文
- 取引先向けのフォーマルな暑気払い例文
- カジュアルな挨拶・メッセージ例文
社内メールや案内状の例文
社内向けの案内文ではフォーマルさと親しみやすさのバランスが重要です。
メンバー全員に送る案内メールや、出欠確認に使える例文を紹介します。
【フォーマルな案内メールの例】
平素よりご尽力いただき、誠にありがとうございます。
今年も厳しい暑さが続いておりますが、皆様お変わりなくお過ごしでしょうか。
さて、日頃の感謝を込めて、暑さを吹き飛ばすひとときとなる暑気払いを下記の通り開催いたします。
ご多用とは存じますが、ぜひご参加いただけますと幸いです。
日時:〇月〇日(〇)00:00~
場所:〇〇〇
会費:〇〇円
ご出欠につきましては、〇月〇日までに本メールにご返信ください。
【ややカジュアルな出欠確認メールの例】
こんにちは。
連日の暑さが続いていますが、体調はいかがでしょうか?
恒例の暑気払いを〇月〇日(〇)に開催します!
日頃の疲れをリフレッシュし、楽しいひとときを一緒に過ごしましょう。
出欠のご連絡は〇月〇日までにこのメール宛にお願いします。
みなさんのご参加を心よりお待ちしています!
社内での暑気払い案内では、季節の挨拶と体調への気遣いを添えるとより丁寧な印象になります。場面に応じて文面を使い分けてみてください。
取引先向けのフォーマルな暑気払い例文
取引先に送る挨拶状や案内状では、時候の挨拶と丁寧な表現が欠かせません。
手紙とメール、それぞれの形式に適した例文を紹介します。
【フォーマルな案内状(手紙形式)】
盛夏の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、このたび弊社では、日頃の感謝の気持ちを込めまして、ささやかながら暑気払いの席を設ける運びとなりました。
ご多用の折とは存じますが、ぜひご出席賜りますようご案内申し上げます。
記
日時:〇月〇日(〇)00:00〜
場所:〇〇〇
ご多忙中恐縮ではございますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
令和〇年〇月〇日
株式会社〇〇
営業部一同
【フォーマルなメール文】
いつも大変お世話になっております。
株式会社〇〇の〇〇でございます。
酷暑の折、貴社ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
このたび、日頃のご厚情への感謝を込めまして、ささやかながら暑気払いの会を開催いたします。
ご多用のところ誠に恐れ入りますが、ご都合がよろしければぜひご臨席賜りますようお願い申し上げます。
記
日時:〇月〇日(〇)00:00〜
場所:〇〇〇
文中に「盛夏」「酷暑」「立秋の候」などの時候の挨拶を取り入れると、季節感が伝わり印象がよくなります。シーンや相手先に応じて使い分けてください。
カジュアルな挨拶・メッセージ例文
LINEやチャットツールなど、社内や親しい間柄でやりとりする場合は、気軽で読みやすいメッセージが好まれます。礼儀を保った表現を心がけることで、信頼関係を保てるでしょう。
【同僚やチームメンバー向け】
毎日暑いですね!
少しでも涼しく楽しい時間を過ごせたらと思い、〇日に暑気払いを企画しました。
ご都合が合えば、ぜひ一緒に楽しみましょう!
【上司への誘い】
お疲れさまです。
最近の暑さでお疲れがたまっていませんか?
よろしければ、〇日あたりにみんなで暑気払いを企画したいと思っています。
ご一緒いただけたら嬉しいです。
【参加後のお礼】
昨日は暑気払いにご参加いただき、ありがとうございました!
久しぶりにたくさん笑って、とてもよい時間でした。
また次の機会も楽しみにしています。
カジュアルな文面でも、丁寧さや相手への気配りを意識することで、好印象なやりとりができます。
顔文字や過度な省略語は避け、簡潔ながらも礼儀を感じさせる表現がポイントです。
暑気払いにおすすめの過ごし方|ビジネスにもOK
暑気払いはただの季節行事ではなく、社内の交流やビジネス関係の円滑化にもつながる有効な機会です。
ここでは形式にとらわれすぎずに実施できる暑気払いの過ごし方を紹介します。
企業や個人のスタイルに合わせて取り入れてみてください。
- 夏らしい食事を取り入れた会食・飲み会企画
- 夏らしい食事や食材・商品券のギフト
- 涼しげな食材や飲み物の差し入れ・ケータリング
夏らしい食事を取り入れた会食・飲み会企画
暑気払いの定番といえば、夏らしいメニューを取り入れた会食や飲み会です。旬の夏野菜を使った料理や冷製パスタ、お刺身、そうめんなど見た目にも涼やかなメニューを用意すると、季節感とリフレッシュ効果の両方が期待できます。
また、屋外のビアガーデンや川沿いのレストランなどのロケーションを選べば、開放感や非日常感を演出することも可能です。
社内でおこなう暑気払いは、部署を越えた交流の機会として活用できます。普段あまり接点のないメンバーや新入社員との親睦を深める、チームビルディングの場にもなるでしょう。
取引先を招いた会食の場では、暑さをねぎらう意味を込めつつ、堅苦しくなりすぎない雰囲気のなかで自然なコミュニケーションを図れます。
いずれの場合も参加者の体調やスケジュールに十分配慮し、無理のない形で企画・運営することが大切です。
夏らしい食事や食材・商品券のギフト
暑気払いの集まりが難しい場合でも、ギフト形式での「暑気払い代替案」で夏の暑さから相手の体調を気遣う気持ちを伝えられます。
例えば、そうめんやスイカ、旬の果物など夏の食材を詰め合わせたギフトセットや、冷たいゼリーやアイスクリームなどのスイーツ類は、見た目も涼やかで喜ばれるでしょう。
また、相手の好みに合わせて選べる商品券やカタログギフトを贈るのもスマートな方法です。お中元と一緒に贈ることで、より丁寧な印象を与えられるでしょう。
特にお世話になったメンバーや取引先への感謝の気持ちを伝える手段として、ギフト形式の暑気払いはおすすめです。形式にとらわれず、相手への思いやりが伝わる方法を選んでみてください。
涼しげな食材や飲み物の差し入れ・ケータリング
職場やオフィスでも、気軽に楽しめる暑気払いのスタイルとして「涼しげな食材や飲み物の差し入れ」や「ケータリング」が注目されています。
例えば、冷たいドリンクやフルーツゼリーの提供、かき氷機のレンタルといった工夫で、「涼を楽しむ」演出が可能です。会食のような形式にこだわらず、業務の合間にひと息つけるような内容にすることで、仕事の流れを妨げずに実施できます。
社内の雰囲気を和らげ、メンバーのリフレッシュにもつながるため、手軽な暑気払いの方法としておすすめです。
思い出に残る社内イベントならCultiveへ!
暑気払いは、夏の暑さで疲れやすい時期にメンバーや関係者の健康を気遣い、気持ちをリフレッシュさせる季節行事です。
旬の食材を使った食事や、ビアガーデンなどの非日常的な空間での会食を通じて、交流やチームの結束を深める効果も期待できます。
最近では、ギフトの贈呈やオンラインでの開催など、企業ごとのスタイルに合わせた暑気払いの形も広がっています。
いずれの形式でも大切なのは「相手を思いやる気持ち」を込めることです。
企業イベントの成功には、目的や参加者の状況に合った丁寧な設計が欠かせません。
Cultiveは、メンバーのモチベーションを高める季節イベントや交流企画を提案し、当日運営までフルサポートいたします!
会社の“らしさ”が心に宿り、行動に変わり、成長を支える“強み”に変わるまで…。
Cultiveは企業の文化醸成パートナーとして伴走いたします。
暑気払いをはじめとした社内イベントの企画・運営をご検討中の方は、ぜひお気軽にご相談ください。