オフサイトミーティングとは
オフサイトミーティングとは、オフィスを離れた場所でおこなう会議やワークショップのことを指します。日常業務の場から一歩離れた環境で集まることにより、メンバー同士がリラックスした状態で意見を交わしやすくなり、普段の会議では出にくいアイデアや率直な意見が出やすくなるという特徴があります。
こうした場では、部署や役職にとらわれずにフラットなコミュニケーションが生まれやすく、それがチーム全体の結束力を高めることにもつながります。
近年では、リモートワークの定着や多様な働き方の広がりにより、メンバー同士の関係性を深める機会が減ってきました。そのなかで、オフサイトミーティングは「顔を合わせてじっくり話す」場として、あらためて注目されています。
オフサイトミーティングと通常の会議との違い
オフサイトミーティングは、日常業務でおこなう通常の会議とはいくつかの点で大きく異なります。特に注目すべきなのは、「場所」「目的」「進行方法」における違いです。
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通常の会議 | オフサイトミーティング | |
場所 | 社内の会議室やオンライン | 社外の施設(貸会議室、合宿所、ホテルなど) |
雰囲気 | 業務モード、上下関係が出やすい | 非日常感があり、立場を超えて話しやすい |
目的 | 情報共有や業務の進捗確認 | チームの活性化、アイデア創出、関係構築など |
進行方法 | 決められた議題に沿った短時間の進行 | 時間を確保し、対話重視・参加型の進行 |
オフサイトミーティングでは、日常から離れた空間で心にゆとりを持って話せるため、上下関係を意識せずに意見を出しやすくなります。深い議論や本音の対話が生まれることで、チーム全体の理解や信頼関係をより強めることができます。
オフサイトミーティングのメリットと効果
オフサイトミーティングは、普段の職場環境を離れることで、チーム内に新たな気付きや前向きな変化をもたらす場として注目されています。形式ばらない対話がしやすく、信頼関係や創造性を育む効果があるため、企業の組織開発や人材育成にも役立ちます。
具体的なメリットは以下のとおりです。
- チームの一体感を高められる
- 新たなアイデアが生まれやすい
- 部門を超えた交流を促進できる
- リフレッシュにより生産性向上を狙える
チームの一体感を高められる
オフサイトミーティングの大きな魅力の一つは、チームの一体感を育めることです。普段の業務を離れた非日常の空間で一緒に時間を過ごすことで、メンバー同士の距離が自然と縮まり、信頼関係を築きやすくなります。
特に、宿泊をともなう合宿形式や、ワークショップ形式での対話の時間、チーム対抗のレクリエーション企画などは、協力や相互理解を深める絶好の機会です。肩書や役職を超えてフラットに話せることで、互いの人柄や価値観への理解が深まり、職場でのコミュニケーションも円滑になります。
このような環境では心理的安全性が高まり、メンバーが安心して意見を言えるようになる点も大きな効果です。チームビルディングの土台をつくる意味でも、オフサイトミーティングは非常に有効な手段といえるでしょう。
新たなアイデアが生まれやすい
オフサイトミーティングは、発想を柔軟にし、新しいアイデアを生み出す場としても効果的です。オフィスの会議室では、どうしても「いつもの雰囲気」や「時間的な制約」に縛られがちですが、場所を変えるだけで思考のスイッチが切り替わり、自由で斬新な発想が生まれやすくなります。
特に、自然に囲まれた会場やクリエイティブな空間を選ぶと、参加者の気分も前向きになり、普段とは異なる視点からの意見が出やすくなります。ブレインストーミングやアイデアソンなどの創造的なワークと組み合わせることで、その効果はさらに高まるでしょう。
例えば、あるIT企業では「会社の目標を個人目標に落とし込むこと」をゴールとして合宿をおこないました。モチベーションやテンションを上げるため古民家で開催したところ、非日常の雰囲気がよかったと参加メンバーから大変好評でした。
部門を超えた交流を促進できる
オフサイトミーティングは、普段の業務ではなかなか接点のない部署同士の交流を生む貴重な機会になります。立場や役職、所属部門の垣根を越えて話せる場を設けることで、部署間の相互理解が深まり、組織全体の連携力を高めることができます。
特に、日常業務のなかで起こりがちな「社内のサイロ化(部門間で連携が取れず孤立した状態)」を防ぎ、情報共有やナレッジの活性化にもつながります。食事やグループワークなどを通じて、自然なコミュニケーションが生まれるのも大きなメリットです。
例えば、製造・営業・マーケティングの三部門が合同で参加するオフサイトミーティングを定期開催することにより、現場の課題とお客様のニーズをすり合わせるなかで、新商品企画がよりスムーズに進むようになることもあるでしょう。
部署を超えた横断的なつながりは、イノベーションやプロジェクト推進の土台になります。オフサイトミーティングは、そのきっかけとして有効です。
リフレッシュにより生産性向上を狙える
オフサイトミーティングは、単なる業務会議ではなく、参加者の心身をリフレッシュさせる効果も大きな魅力です。普段の職場を離れて自然の中や開放感のある施設で過ごすことで、緊張感やストレスがほぐれ、気分転換になります。その結果、ミーティング後の業務において、集中力やモチベーションが高まるケースも多く見られます。
ここで大切なのは、オフサイトミーティングは遊びやレクリエーションとは異なり、しっかりと目的をもって設計された「外部でおこなう業務の一部」であるという点です。楽しい雰囲気のなかでも、チームの目標確認や課題解決に向けた建設的な議論をおこなうことで、参加者は前向きな気持ちで業務に戻ることができます。さらに、こうした取り組みはメンタルヘルスの維持や、離職の防止といった側面でもプラスに働きます。従業員の満足度を高めながら、生産性向上にもつながることがオフサイトミーティングの大きな効果です。
オフサイトミーティングのデメリットと注意点
オフサイトミーティングは多くのメリットがある一方で、効果を最大限に引き出すためにはいくつかの課題や注意点も存在します。実施にはコストや手間がかかるほか、目的が曖昧だと期待した成果が得られない場合もあるため、事前の計画や運営体制が重要です。
代表的な注意点は以下のとおりです。
- 実施にコストがかかる
- 事前の準備や参加者の業務調整が必要である
- 目的が曖昧だと成果を得られない恐れがある
実施にコストがかかる
オフサイトミーティングを企画・実施する際に意識すべき課題のひとつが「コスト面」です。社外での開催となるため、会場のレンタル費用に加え、交通費、食事代、場合によっては宿泊費なども発生します。参加人数が多いほど費用は膨らみ、会社の予算に与える影響も無視できません。
特に管理職や経営層からは、「そのコストに見合った効果があるのか?」という費用対効果を問われることが多くなります。成果が不明確なまま実施すると、次回以降の実施が難しくなることもあるため、目的と期待される効果をしっかり言語化しておくことが大切です。
一方で、コストを抑える工夫も可能です。例えば、自社の研修施設やグループ会社の会議室を活用したり、アクセスのよい近場のレンタルスペースを選んだりすることで、費用を削減できます。無理のない範囲で実施しつつ、効果的な場づくりを目指すことが成功へのポイントです。
事前の準備や参加者の業務調整が必要である
オフサイトミーティングを実施するには、普段の業務を一時的に止める必要があるため、スケジュール調整や業務の引き継ぎといった準備が欠かせません。特に繁忙期や人手不足の部署では調整が難航し、参加率が下がってしまうこともあります。
また、当日の進行をスムーズにおこなうためには、事前にアジェンダ(議題)の作成やタイムテーブルの設計、必要な資料の準備などが必要です。加えて、会場の予約や交通手段の手配、参加者への連絡など、事務局的な対応も発生するため、担当者の工数は想像以上に多くなる傾向があります。
これらの準備が不十分だと、当日の運営に支障をきたし、せっかくのミーティングが非効率なものになってしまうリスクもあります。オフサイトミーティングを成功させるには、目的だけでなく「段取り」にも十分な時間とリソースを割くことが不可欠です。
目的が曖昧だと成果を得られない恐れがある
オフサイトミーティングは効果的な手法である一方、「何のためにおこなうのか」が明確でないまま進めてしまうと、単なる雑談やレクリエーションに終わってしまうリスクがあります。特に、「最近話題だから」「他社もやっているから」といった曖昧な動機で企画すると、参加者のモチベーションも上がらず、時間やコストに見合う成果が得られないケースも少なくありません。
また、参加者にとっても目的が不明確な状態では、自分が何を期待されているのか分からず、積極的な発言や行動がしづらくなります。その結果、表面的な交流にとどまり、会議としての本質的な価値を失ってしまう可能性があります。
こうした失敗を防ぐには、「何を達成したいのか」「どのような変化を期待するのか」といった目的設計を丁寧におこなうことが重要です。目的が明確であれば、アジェンダや進行方法にも一貫性が生まれ、ミーティング後のアクションにもつながりやすくなります。
オフサイトミーティングの進め方と成功のポイント
オフサイトミーティングを効果的に実施するには、単に場所を変えるだけでなく、事前準備から当日の進行、実施後のフォローまでをしっかり設計することが重要です。ここでは、成功のための3つのステップと、それぞれで押さえておきたいポイントを紹介します。
- 事前準備|目的とゴールを明確にする
- 当日進行|進行役を設けてミーティングを実施する
- フォローアップ|振り返りとアイデアの実施を促進する
事前準備|目的とゴールを明確にする
オフサイトミーティングを成功させるうえで重要なのが、「何のために実施するのか」という目的の設計です。場所や雰囲気を変えるだけでは、実りある議論やチームの成長にはつながりません。明確な目的があることで、参加者の意識も統一され、ミーティング自体が意味のある時間へと変わります。
例えば、「メンバー間の信頼関係を築くチームビルディング」「新サービスのアイデアを出し合う創造的なブレスト」「部門横断プロジェクトの中期方針を定める合宿型ミーティング」など、目的によって構成やアプローチは大きく変わります。
さらに、KGI(最終的な成果目標)やKPI(中間指標)を設定することで、オフサイトミーティングの効果を客観的に判断できるようになります。「参加者全員が1案以上の改善提案を出す」「終了後1週間以内に具体的なアクションプランを提出する」など、行動に結びつく目標をあらかじめ用意しておくとよいでしょう。
目的とゴールが明確になっていれば、当日の議論もブレにくく、限られた時間を有効に活用できます。
当日進行|進行役を設けてミーティングを実施する
オフサイトミーティングを円滑に進めるためには、あらかじめ「進行役(ファシリテーター)」を立てることが不可欠です。参加者が自由に意見を出し合いながらも、議論が目的に沿って進むよう舵取りをする存在がいることで、ミーティングの質が大きく変わります。
ファシリテーターは、事前にタイムスケジュールを明確に設計しておくことが重要です。例えば、オープニング→アイスブレイク→グループディスカッション→まとめ、といった流れをあらかじめ共有し、時間ごとの目安を示しておくことで、無駄な時間を減らせます。
また、参加者の緊張をほぐすアイスブレイクや、ワークショップ形式での発想共有なども効果的です。特にワーク形式は「話す人が偏らない」「全員が主体的に関与できる」といったメリットがあり、ブレストや価値観共有の場面で活躍します。
当日は、議論の脱線や一部メンバーの独占的発言が起きやすいため、進行役は中立的な立場で話を整理し、必要に応じて軌道修正することが求められます。ファシリテーション次第で、オフサイトミーティングの満足度と成果は大きく左右するでしょう。あらかじめ信頼できる進行役を指名し、役割を明確にしておくことが成功への第一歩です。
フォローアップ|振り返りとアイデアの実施を促進する
オフサイトミーティングは、実施しただけで満足してしまうと効果が半減します。むしろ、会の本当の価値は「その後の行動」によって決まるといっても過言ではありません。振り返りと成果の活用こそが、オフサイトミーティングをイベントで終わらせないカギになります。
まず大切なのが「振り返り」です。参加者からアンケートを集め、感想や改善点、印象に残った議論などを把握しましょう。併せて議事録やホワイトボードの内容を整理し、関係者全員に共有することで、会で生まれたアイデアや方針が埋もれずに済みます。
さらに、ミーティングで出た意見や提案を実際の業務にどう反映させるかが重要です。「何を誰がいつまでにおこなうのか」といったアクションプランを具体的に設定し、必要であれば進捗を管理する体制も整えましょう。定例会議や社内報などを通じて、進展を報告する仕組みをつくるのも有効です。
行動に移す仕組みが整っていれば、参加者の満足度や信頼感も高まり、「次回も参加したい」と感じる人が増えます。オフサイトミーティングを単発で終わらせず、組織全体の改善や成長につなげるためには、このフォローアップのステップをおろそかにしないことが肝心です。
オフサイトミーティングの実施に最適な時間と場所
オフサイトミーティングを成功させるには、「いつ」「どこで」実施するかが大きなポイントになります。業務負担を最小限に抑えつつ、効果を最大化するためには、適切なタイミングと会場選びが欠かせません。
実施のヒントとしては、以下のような選択肢があります。
- 時間選び|年度始めやプロジェクト終了後
- 場所選び|レンタルオフィスなど準備の手間が少ない場所
時間選び|年度始めやプロジェクト終了後
オフサイトミーティングを実施するタイミングとして最適なのは、「年度始め」や「プロジェクト終了直後」など、節目となる時期です。例えば4月や10月は、組織改編や人事異動がおこなわれ、新たなチーム体制でのスタートとなることが多く、チームの方針や目標を共有する絶好の機会です。
また、プロジェクト終了後のタイミングでは、達成した成果を全員で振り返り、次に向けた改善点や新たな課題を洗い出すことができます。成功を讃える場としての意味もあり、メンバーのモチベーション向上にもつながります。
一方で、繁忙期の実施は避けるのが賢明です。業務負担が大きくなり参加者の集中力が下がるうえ、十分な準備ができない可能性もあるため、効果が出にくくなってしまいます。
このように、チームの気持ちがリセットされやすい「区切りの時期」を狙うことで、オフサイトミーティングの効果をより高めることができます。
場所選び|レンタルオフィスなど準備の手間が少ない場所
オフサイトミーティングと聞くと、郊外のリゾート地や合宿型の会場を想像しがちですが、実際には「アクセスがよく」「準備の手間が少ない」場所の人気が高まっています。特に、日帰りで実施できるような都市部のレンタルオフィスや、設備の整ったホテルの会議室、コワーキングスペースなどが実用的な選択肢です。
これらの会場は、Wi-Fi環境やプロジェクター、ホワイトボード、音響設備などが標準で備わっていることが多く、持ち込み機材や設営の手間がほとんどかかりません。会場によってはドリンクや軽食の提供、受付代行などのサービスもあり、運営側の負担軽減にもつながります。
また、主要駅から徒歩圏内の立地を選べば、遠方からの参加者にとっても移動のストレスが少なくなります。オフサイトの目的は「非日常感」を得ることですが、それは必ずしも遠出を意味するものではありません。利便性と快適さを兼ね備えた場所を選ぶことが、成功のカギとなります。
まとめ
オフサイトミーティングは、日常の職場を離れておこなうからこそ、チームの一体感や創造性を高める貴重な機会になります。一方で、実施にはコストや準備の負担もともなうため、目的や進行方法を明確にした上で計画することが大切です。
実施するタイミングや会場選びも成功を左右する要素です。本記事を参考に、自社の状況に合った形でオフサイトミーティングを活用し、よりよい組織づくりに役立ててください。
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