【株式会社Rise UP】
共通言語が飛び交うオフィス “もっと楽しく”を実現する文化構築の秘訣とは?

2023.04.04
【株式会社Rise UP】<br>共通言語が飛び交うオフィス “もっと楽しく”を実現する文化構築の秘訣とは?

国内外に展開するカラーコンタクトレンズの通販サービス「MORECONTACT」をはじめ、販売店向けの発注システム「CLOCO」や販売店と顧客を繋ぐアプリ「CONPASS」など、コンタクトレンズに関わる事業を幅広く展開する株式会社Rise UP。そのビジョンは「世界をつなぐエンターテイメントカンパニーを創る」。そのための行動指針・理念となるのが「People First」、「ALL OUT」、「Delight More」の3つのバリューです。

「それ、ALL OUTした?」
「よりディラモアでいこう」。

それらの言葉はこんな風に社員間のさりげない会話の中にも飛び交うほどだとか。

会社の「らしさ」をギュッと濃縮還元したようなその文化が部署や役職をも横断し、“共通言語”となるまで。そこにはどんな道程があったのでしょうか。今回は、代表取締役社長/CEOの田中慎也さん、HR本部の池田良太さん、金児泉希さんの3名にお話を聞きました。

株式会社Rise UP:https://r-up.jp/

理念駆動を元本に、3つのバリューを掲げて

――ホームページのリクルートには「VISION DRIVEN(理念駆動)」というページがあり、ビジョン実現に基づいたボーダーレスな事業領域を詳しく知ることができました。こういったものを策定するにあたってはどんな背景があったのでしょうか?

田中:弊社は今年21期目なのですが、ビジョンとバリューを明確に言語化したのは10年ほど前のことでした。それまでは、会社が一つになれるようなテーマを年度毎に決めて、ポスターを張り出したりしていました。「ALL OUT」はその時生まれた言葉でそのまま引き継いでいて、「Delight More」も言葉こそ違いますがその雛形となるテーマがあったので、原型はあったという感じですね。ただ、その後事業が拡大していく中で、採用面が後手に回ったり、それぞれの見据える方向がバラバラになって離職に繋がったりと不安定な状態に陥ったんです。その時に改めて「事業だけでは組織経営は成り立たない」ということを痛感し、働く人、そしてその文化こそが組織経営の持続を握っていると考え、明確なビジョンとバリューの策定に至りました。

金児:そこに該当するのが「People First[つながりを増やす]」というバリューなのですが、これだけでは解釈に差が生じかねないと考え、二文ほど補足文も入れているんです。そこで示した”持続可能な繋がり”、”信頼のインフラ”を作っていくよ、というところがこのバリューの最たるポイントであり、想いの核となる部分だと思っています。

――「People First」に人と向き合う上での様々な項目が含まれているのですね。他のバリューに関してはどんな想いがありますか?

池田:「ALL OUT」は、言うなれば”筋トレ”のイメージ。限界と思ってからあと数回踏ん張り、コミットし尽くすことで確かな筋肉はつくのではないか、という意味合いがあります。もう一つは”主体性”。自ら手を挙げた人、バッターボックスに立つ人にチャンスを与えていくという文化があって、それに向けた挑戦が「ALL OUT」の大きな枠組みなのかなと思っています。

金児:同時に、掲げるものがたとえ明確ではなかったとしても「何かしらの挑戦をしたい」と意思表明することそのものがすごく大事なことだと思っていて…。どういう挑戦を一緒にできるだろうか、ということを考えること。そういった挑戦に係る背景や過程も「ALL OUT」の一つの重要な視座なのではないかと思っています。

田中:我々は事業に向けた方針と同じくらい、人との繋がりを重要に考えています。それは、仲間はもちろん、お客様や取引先の方にも驚きや感動を届けたいという想いです。サービスを受けたり商品を買う時って、期待値があると思うんです。その期待値に対して提供する価値が等しくなければ満足度は生まれない。逆にいうと、提供する価値がお客様や仲間の期待値を越え、その差分が広ければ広いほど驚きや感動は大きい。そんなサービスの設計には、まずは自分たちが楽しむことが不可欠なんですよね。仲間をどんどん紹介したくなる、仲間もお客様もワクワクする。そんな組織であり続けたいという想いを反映したのが「Delight More」というバリューだと思っています。

ファシリティ、その細部にこそ宿る「らしさ」

――抽象的になりがちなバリューを具体的に解釈することで醸成と浸透の度合いを高めていく。みなさんのお話からその重要性を痛感しました。同時にそれらは決して容易なことではないとも思うのですが、何か具体的な施策などは行なっているのでしょうか?

池田:そのためのチームとしてHR(ヒューマンリソース)本部があります。労務労政以外の人材開発・育成、組織開発、採用をまるっと担うイメージですね。ただ、文化醸成・浸透に関しては、握っているというよりもリードするというニュアンスが近く、部署ごとに都度改善をしているし、もっと言うと、月曜には全員が集まって組織改善に関する話し合いを行なっているんです。我々はOKRを採択しており、今期はOvjectiveの中の一部に「自慢できる、働きたくなる組織を作っていこう」というのを全社として掲げているんですね。そのために専用noteを立ち上げて、自分たちの制度、仕組み、文化を今一度見つめ直すような記事を作ったりもしています。あと、部活などのコミュニティが40近くあるのも特徴で、縦割りになりがちな組織で横断的なコミュニケーションを構築するために行なっていることの一つだと思います。理念一つをとっても、言葉って抽象的であればあるほど様々な捉え方ができるので、答えはないと思うんですよ。だからこそ、いろんな答えが出せるような対話性の高い取り組みを行えたらとは思っています。

金児:それでいうと、あだ名も弊社の一つの文化かもしれません。役職で人を呼ばず名前で呼ぶこともそうですし、「こう呼んで下さい」というあだ名がある人もいます。なんなら社長のことはみんな「トニーさん」と呼んでいますし(笑)。そういったフランクな風土は日常的にも感じますね。オフィス内でもデスク以外に結構人が散らばっている印象で、併設しているバーカウンターやジムでもボーダレスなコミュニケーションが生まれています。そういった環境が自然に作られていることはRise UPらしい強みだと感じますね。

池田:具体的な施策以前にオフィス自体が体現している部分は大きいと感じます。バーやジムも特定の人だけが集まっているのではなくて、いろんな人が集まってくる。そういうことが自然発生的に生まれやすいこと。そんなファシリティを作ってくれていること自体が一つの大きな取り組みだと感じます。去年はまさにHRが主導になって、「Rise UPらしさ」というものを考え直したんですよ。アルバイトを含む社員全員で「カルチャーダイアログ」と題して、「Rise UPらしさ」を出してもらうという取り組みでした。そこでもやっぱりバリューの言葉はたくさん出てきたんですよね。その時に改めて、掲げているバリューそのものが「らしさ」に接続していることを感じました。

金児:会議室にも一つ一つ名前が付けられているのですが、それもバリューからとっているんですよね。だから、日常でも「ALL OUT(の会議室)取りました」とか、自然とバリューの言葉が出てくる。そういった細やかな設計も大きいと感じます。「それ、ディラモアしてる?」とか社員間の会話でも頻繁にワードが飛び交ったり…(笑)。浸透の難しさを感じる一方で、横断的に言葉が流通している体感もすごくありますね。

田中:Slackのアクションにもバリューのスタンプがありますからね(笑)。そういった小さなことも含めて、文化をデザインしている部分はあるかもしれません。縦割り文化をなくしたい、階層感をなくしたいということは私自身が常々思っていることなんですよ。というのも、10年以上前のことですが、元々私は完全にトップダウンタイプの人間だったんです。だけど、人の成長というのは自らアクションをすることではじめて生まれるものだし、ひいてはそれが組織の成長に接続する。多くの人が主体的に動くことによって、飛距離や成長角度など得られる成果が格段に変わるということに気付かされたんですね。オフィスでは部署関係なく、横断的に何かの一つのことに有志が集まって楽しんでいる雰囲気を感じますし、垣根が徐々に壊れてきた実感を得ています。私の考える弊社の良さは、やはり人。その繋がりだと思っています。

部署や役職の垣根を越えて、働くことを“もっと楽しく”

――他にこれはRise UPにしかないという試みやイベントなどはありますか?

金児:トニーさんがお酒や料理を作ってくれる「トニーズバー」も珍しいかもしれません。縦割り意識が強いと、社長や上司相手に言いたいことが言えなかったり、むしろ「社長にお酒作らなきゃ」とかなるんじゃないかと思うのですが、うちはむしろトニーさんがバーに入ると、みんなくつろいで待ってるような感じで…(笑)。社長だから、部長だからこうあらなきゃいけない、みたいな固定概念がいい意味で崩れているし、社員間でも人によって言えないとか、言葉を変えることもあまりない気がします。他者に対する配慮はあるけど、立場に応じた変な遠慮はないというか、伝えたいことをきちんと伝える風土も強いと思います。

田中:部署の集まりだから部署外の人は入れない。そんな空気もないんですよね。どっかの部署がバーで何かやっている時に部署外の人が帰りにその前を通ったら「一緒にやる?」と声がかかる。基本的にウェルカムなんです。各部署で月1回成果を共有したり、賞賛することで繋がりを深めていく「モアギャザ」というイベントもやっているのですが、それもオープン。誰でもよかったら来て下さい、という形をとっています。

金児:「ワークプレイス」という社内SNSではライブ配信もしているので、その場にいなくても取り組みが視聴できるんですよ。「モアギャザ」は事業部のチーム毎の発表だったのですが、最近は「俺もしてみたい」とモアコンタクト事業部以外の人たちが発表していたり、ムードが伝播していく様にも感じます。各チームの情報共有の場という意味合いもありますが、目標設定したOKRにどれくらい近づいたかという振り返りの機会になったり、成果を全員で讃え合うような場になっています。各事業部で事業内容はもちろん、使っているツールもそれぞれ異なりますが、分断のないコミュニケーションが取れていると思います。

池田:僕は転職してきたので、分断されてない実感を一際強く感じています。オフィスもワンフロアで区切られていないし、トニーさんも入口入ってすぐの場所に普通に座っていますし…(笑)。部署長は偉いさん席に…みたいなことが一切ないので風通しが良く、コミュニケーションがスムーズというメリットもありますよね。オフィスには大きなスクリーンがあって、今日も「W杯はここでみんなで見よう」という話が出たり…。イベント化するというより、自然発生的にイベントが生まれていくことが多いですね。ファシリティ面で分断を防ぐための環境が整っていると思います

――今ある豊かなコミュニケーションを持続させ、かつより活性化するためにはどんなことを行なっていますか?

池田:いろいろあるのですが、去年は価値観カードをやりました。経営陣はもちろんアルバイトも含めて、カードでお互いの価値観を知ろうという取り組みです。今も中途採用の人が入社する度に部署長、上長、HRが入ってやっています。あとは、社員総会や新年会も社員が積極的に企画しています。新年会はその年の新卒が軸になって、仲間を集めて主催するのですが、イベントへの本気さや熱さも風土の一つじゃないかと思います。新年会に関しては「(必ず参加したいから)3ヶ月前には絶対アサインしてほしい」ってクレームが来たほど(笑)。

金児:イベント一つにしても、ディラモアの精神がすごいんですよ。もっと面白いことやったんねん!という前のめりな気概を感じます(笑)。イベントで言うと、年に一度ビジョン実現へ向け、バリューを高いレベルで体現した人を讃え、称賛するRise UP AWRDも大きな取り組みですね。選出された人の活躍を称賛することも大事なのですが、誰しもが「来年はその場に自分が」という展望や想いを設定できるようなコンテンツにしたいと思って設計しています。

組織と人への投資に時間と労力を惜しまない、その心は?

――お話を伺って、社内文化への眼差しの強さをひしひしと感じました。最後にRise UPが文化や理念の醸成や浸透にここまでの投資をする意義とは一体何でしょう?展望も含めてお聞かせください。

池田:サービスの成功などビジョンを実現するにあたっては、事業戦略はもちろん大事ですが、人と組織が両輪で回っていないと意味がないと思うんですよね。事業戦略と同等の価値を人と組織は持っているし、それは、事業に投資すると同等の価値が組織と人に投資することにはあるということ。そんな考え方がRise UPの最たる哲学だと感じています。会社という組織の難しさはそこを経営陣に理解してもらうことだと思うのですが、うちにはそのハードルがない。むしろ、人と組織だけについて話す会議をやろうっていうのもトニーさんからの発案でした。これって実はすごいことだと思うんですよね。

金児:その会議は部署長やマネージャーメンバーも参加するのですが、1日拘束なのでその日はほとんど自分たちの業務ができないんです。それでも、そこは絶対に削らず、みんなで集まって時間をかけて話すんですよね。ビジョンやバリューは、ともすれば綺麗事に聞こえる可能性もあると思うんです。でも、そうならないのは、ボードメンバーや部署長が自ら率先的にまず体現されているから。それがすごく伝わるので、フォロワーのような形で、私もその後に続いてやってみようと思えるんですよね。

田中:本当に二人が言った通りで、”or “ではなく、必ず”&”で事業と組織を走らせようという話をずっとしているんです。話し合いを何度も丁寧に繰り返すのはそんな想いがあるから。一人一人がby nameで話してくれることも大きいです。その人の強みやスキルを生かしきれていない、伸ばしきれていないと感じた時は、採用求人を出す前にフィットするような部署に異動することができないかを話し合うようにもしています。一人ひとりの時間を豊かにしてほしいし、人が育つのはやはり環境だと信じています。「ぶら下がり人材」って言葉がありますが、すごく嫌いなんですよ(笑)。そのほとんどのケースが向き合う時間をろくに設けずに一方的に判断してぶら下がらせているだけだと思うので。会社側の対応次第で働き方は何とでも変えられる。時間はちょっとかかっても、人と組織を両輪で回すためにできることは、今後も全てやっていきたいと思っています。

――本日はありがとうございました。

 

株式会社Rise UP

代表取締役社長 CEO / 田中 慎也(たなか しんや)さん

大阪府出身。大学卒業後、2000年に大阪・兵庫を中心に展開するドラッグストアーチェーンに入社。
店長を務めた後、化粧品部門チーフバイヤーを経験し、2007年に退社。
同年9月、当社に入社。EC事業部の立ち上げ、S&M事業部の立ち上げを行う。
2009年10月、専務取締役に就任。
2019年12月、代表取締役社長に就任。

HR本部 / 池田 良太(いけだ りょうた)さん

奈良県出身。大学卒業後、2001年新卒で産業機器部品のメーカー商社に入社。
2005年に大手人材系企業に転職。この期間でRise UPの担当営業を経験。
メディア事業の大手企業を担当する営業部の責任者を経験し、ホールディングスへの転籍。
その後、人事領域の総合営業を経て2020年Rise UPに転職し、HR領域に従事。

HR本部・モアコンタクト事業部 / 金児 泉希(かねこ みずき)さん

三重県出身。和歌山大学を卒業後、2017年に新卒でRise UPへ入社し、商品開発本部へ配属。
人と組織の成長を後押ししたいという想いから、現在HR本部とモアコンタクト事業部を兼務している。

Cultive

Cultiveは幸せに働ける良質な企業文化を醸成することで、企業成長をサポートするために生まれたサービスです。経営者の想いを表した理念策定、理念を込めたグッズ制作、表彰イベントの設計などを行い、企業文化の醸成をサポートしています。

この記事を書いた人

小名木 直子
小名木 直子

Producer

オリジナルウェディングのプロデューサーとして多くのイベント企画に携わる。小人数〜200人規模のイベントを得意とする。職場の中でどれだけ心が動く瞬間があるかで人生の幸福度が変わることを実感し、多くの人にCultiveのサービスが届くようWEBサイトの監修も担う。

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