内定辞退する方が感じる「しつこい引き止め」とは
求職者が内定辞退を申し出た際、企業側は理由を確認したり、再考を促したりすることがあります。しかし、その対応が度を超えると「しつこい引き止め」と受け取られやすくなります。
代表的なのは、内定辞退の意思を伝えた後も何度も電話やメールで連絡が来るケースです。また、「一度会って話したい」と対面での面談を強く求められたり、1時間以上に及ぶ長時間の電話や面談を設定されたりすると、心理的な負担は大きくなります。即答を迫られたり、辞退理由を細かく追及されたりする対応も、圧力として受け止められがちです。
企業側としては誠意ある対応のつもりでも、求職者から見ると「辞退を認めてもらえない」「意思を尊重してもらえない」と感じるギャップが生まれます。この認識のずれが、次に紹介するリスクにつながっていきます。
内定辞退の引き止めで「しつこい」と思われるリスク
しつこい引き止めは、企業にとっても大きなリスクになります。
ここでは、引き止め対応が招きやすい代表的な影響を整理します。
- 内定辞退者の企業への不安が強まる
- SNSや口コミで悪評が広がる可能性
- 違法性はなくても時間とコストだけがかかる
対応から内定辞退者の企業への不安が強まる
過度な引き止めは、「この会社は退職時も辞めさせてくれないのではないか」といった不安を抱かせる原因になります。結果として、内定辞退の意思がさらに固まってしまうことも少なくありません。
感情的な言葉や強い口調での対応は、「ブラック企業なのではないか」「パワーハラスメントがありそうだ」という疑念につながります。場合によっては、すでに内定を承諾していた人が、引き止め対応をきっかけに撤回するケースも見られます。誠意のつもりの行動が、逆効果になる点は注意が必要です。
SNSや口コミへの投稿から悪評が広がる恐れがある
近年はSNSや口コミサイトの影響力が大きく、内定辞退時の体験が投稿されやすい環境にあります。「内定辞退をしたらしつこく連絡された」といった内容が拡散されると、企業イメージに長期的なダメージを与えかねません。
一度広まった悪評を完全に払拭するのは容易ではなく、応募数の減少や優秀な人材が集まりにくくなる要因にもなります。採用ブランディングの観点からも、引き止め対応は慎重に行う必要があります。
内定辞退に違法性はなくコストと時間だけがかかる
内定辞退は求職者の正当な権利であり、企業が法的に阻止することはできません。時間や労力をかけて引き止めを行っても、最終的には辞退を受け入れざるを得ない場合がほとんどです。
その間に次の候補者対応が遅れたり、人事担当者の業務負担が増えたりするなど、機会損失が生じます。引き止めに成功する可能性が高くないことを理解し、効率的な判断を行うことが重要です。
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内定辞退における適切な引き止め方とメッセージ例文
しつこいと思われないためには、引き止めの目的を「再考を促すこと」に限定する姿勢が欠かせません。強制ではなく、あくまで選択肢を提示するスタンスを保つことが、企業イメージを守ることにつながります。
適切な対応は、大きく三つのステップに分けて考えられます。
- 意見を丁寧にヒアリングする
- 必要に応じて条件を再提示する
- 断られた場合は速やかに受諾する
① 内定辞退者の意見を丁寧にヒアリングする
まずは冷静に辞退理由を聞く姿勢が大切です。相手の話を遮らず、最後まで耳を傾けることで、不要な摩擦を防げます。
他社を選んだ理由や、自社に対する不安、条件面やキャリアビジョンとのミスマッチなどを把握できれば、今後の採用改善にも活かせます。ヒアリングの際は「差し支えなければ」といったクッション言葉を用い、質問攻めにならないよう配慮します。
② 改めて条件を提示する
ヒアリング内容を踏まえ、誤解の解消や条件の再提示が可能な場合にのみ提案します。給与や待遇、配属先、勤務地、入社日の調整などが考えられますが、無理な条件提示は避けるべきです。
あくまで再考の材料を提供する姿勢を保ち、「考え直してください」と迫る表現は控えます。条件提示は一度までとし、返答期限を設ける場合も数日程度の余裕を持たせます。
③ それでも断られたら受諾する
再考を断られた場合は、速やかに受諾することが重要です。感謝の気持ちを伝え、円満に終えることで企業イメージを守れます。
内定辞退者が将来的に取引先や協力者になる可能性もあります。最後まで丁寧に対応し、社内で情報を共有したうえで、次の採用活動へ迅速に切り替えましょう。
内定辞退の引き止めで企業がやってはいけないこと
引き止め対応には、絶対に避けるべき行為があります。
以下のような対応は、法的リスクや企業イメージの毀損につながります。
- 脅迫的な言動
- 過度なしつこい連絡
- 長時間の拘束や呼び出し
- 感情的な対応
- 他社や大学への連絡をほのめかす行為
これらは法的リスクや企業イメージ毀損につながります。現場任せにせず、経営層も含めて共通理解を持つことが重要です。
損害賠償請求をちらつかせる脅迫行為
「辞退したら損害賠償を請求する」といった発言は避けるべきです。労働基準法16条は、労働契約の不履行に対して違約金や損害賠償額をあらかじめ定めることを禁じています。 実際に損害賠償が認められるのは例外的とされ、脅し文句は録音や共有で致命傷になり得ます。法的な言葉を使うほどリスクが上がる、と理解しておく方が安全です。
何度も連絡を繰り返すしつこい行為
辞退の意思表示後に連絡を重ねるほど、逆効果になりやすいです。目安として、電話とメールを合わせて2回までにとどめ、返信がない場合は意思が固いと判断します。1日に複数回の連絡、未返信メールへの催促連投、夜間早朝の連絡、個人SNSへの接触は避けます。曖昧に「常識の範囲で」と済ませず、社内ルールとして回数と時間帯を決めておくと事故が減ります。
長時間の説得や呼び出しによる拘束
「一度会って話したい」は完全に禁句ではありませんが、強要や長時間拘束はNGです。来社を条件に辞退を受理しない、といった言い方は避けます。面談が成立した場合でも30分以内を目安にし、複数人で囲む説得はしません。出口をふさぐような物理的な拘束は論外です。呼び出しそのものではなく、強要と拘束が問題になる点を社内で共有します。
感情的な対応や暴言、嫌味
採用コストの損失が悔しくても、その感情を相手にぶつけないことが鉄則です。「他の応募者を落としたのに」などの非難や説教は、企業の品格を疑われます。電話で冷静さを失いそうなら一度切り、メールは送信前に第三者チェックを挟むと安全です。強い言葉は一瞬で録音や共有の対象になります。丁寧さは、実はリスク管理でもあります。
他社や大学への連絡をほのめかす行為
「他社に伝える」「大学に連絡する」とほのめかすのは完全にNGです。個人情報の取り扱いにも関わり、名誉毀損や脅迫と受け取られるリスクがあります。新卒の場合、大学との信頼関係にも響きます。短期的に溜飲が下がっても、業界内の評判という形で長期の損失に変わりやすい行為です。
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内定辞退トラブルを防ぐための採用プロセス改善施策
内定辞退を減らすためには、引き止めよりも「予防」の視点が重要です。採用プロセス全体を見直すことで、内定承諾率の向上が期待できます。
- 選考中からの丁寧なコミュニケーション
- 内定後フォローの強化
- 内定から入社までの期間最適化
- 情報開示の徹底
内定辞退は、引き止めより「予防」で減らせます。採用プロセス全体の設計を見直し、候補者の不安と迷いが増えるポイントを先回りして潰すことが効果的です。

内定承諾率を高めるためコミュニケーションを徹底する
選考中から信頼関係を作ることが、内定承諾率に直結します。面接官の対応品質を整え、選考フィードバックを丁寧に返し、自社の魅力を誇張せず正直に伝えます。職場見学や社員面談の機会を用意し、働くイメージを具体化させるのも有効です。面接後24時間以内の結果連絡、通過理由の説明、質問への迅速回答など、接点の質とスピードを設計すると「ここで働きたい」が育ちます。
内定後フォローの強化で辞退を未然に防ぐ
内定から入社までの期間は、最も辞退が起こりやすい時期です。放置が最大のリスクになるため、定期連絡を仕組み化します。内定通知後1週間以内にフォロー連絡を入れ、以後は月1回程度の情報提供を続けます。懇親会や食事会、入社前研修、メンター制度、社内ニュースの共有などで関係性を保ちます。フォロー過多も圧力になり得るので、回数と目的を明確にし、適度な距離感を守ります。
内定通知から入社までの期間を最適化させる
内定から入社までが長いほど、他社選考を受ける時間や迷いが生まれ、熱量が冷めやすくなります。目安として、新卒は内定から入社まで6か月以内、中途は1〜2か月を想定し、選考を迅速に進めます。最終面接から1週間以内の内定通知、承諾期限は1〜2週間程度など、意思決定がダラダラ続かない設計が有効です。中途では即日内定の検討や、オファー面談で入社日の柔軟調整も選択肢になります。
求職者の不安を解消するため情報開示を徹底する
情報の非対称性は辞退の大きな原因です。給与体系の詳細、残業の実態、有給取得状況、離職傾向、評価制度、キャリアパス、職場の雰囲気など、候補者が知りたい情報を具体的に開示します。良い点だけでなく、ネガティブ情報も正直に伝える方が信頼を得やすいです。現実的な仕事情報を事前に示す考え方は、Realistic Job Previewとして整理されています。
新入社員のオンボーディングに悩むならCultiveへ
内定辞退や早期離職を防ぐには、採用後のオンボーディング設計も欠かせません。採用活動や内定者フォローに課題を感じている場合は、一度現状を整理してみることが改善の第一歩になります。
Cultiveでは、採用から定着までを見据えた文化づくりを支援しています。
企業の持つ“らしさ”を育み、社員の心に宿るものにすることで、その集団に帰属する意義と心理的安全性を高め、成長につながる文化を醸成します。
社員のエンゲージメント向上、理念浸透、定着率の向上などに課題をお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。


































