【アジアンブリッジ株式会社】
日本とアジアの架け橋へ ミッション実現のために掲げる理念とは

2023.04.04
【アジアンブリッジ株式会社】<br>日本とアジアの架け橋へ ミッション実現のために掲げる理念とは

代表取締役社長の阪根嘉苗さんのルーツでもある台湾をパイロット拠点に、越境EC支援のワンストップサービスを手がけるアジアンブリッジ株式会社。社名の通り、日本とアジアの架け橋となるべく「国境を越え、喜びを届ける」をミッションに掲げ、通販における事業計画から運用までのトータルサポートを行なっています。

企業理念は、ビジョン・ミッション・バリューの3大柱から成り、それらの浸透は事業にはもちろん、採用面の指針としても大きな役割を果たしています。たった一人で起業した会社は、アジア各国へと足場を増やし、現在の従業員数は連結グループで総計80名。社員をメンバーと呼ぶ阪根さんのスタンスには、社内全員が当事者となってミッションに取り組むという展望が滲んでいました。

自身のルーツとグローバルな視点を活かして会社を急成長させた阪根さん。その理念や文化へのまなざしについてお話を伺いました。

アジアンブリッジ株式会社:https://www.asian-bridge.com/

会社の成長とともに明確化した理念
時には外部の声にも耳をすませて

――まずは、2010年の創業のきっかけからお聞かせください。

阪根:大学院を卒業後、リクルートエイブリック(現・リクルートキャリア)に就職をしたのですが、学生の時に友人と会社をやっていたこともあり、当時から「もう一度起業したい」という展望がありました。なので、採用の際にも「起業のための人脈を築きたい」という想いや、3年で独立する意志を伝えた上で入社をしたんですね。でも、なんだかんだ会社は楽しく、結果的には6年間在籍しました。そんな折にリーマンショックが起き、ここで早期退職制度に手を挙げなければこのまま起業しないのではないかと思い、一念発起で踏み切りました。

――「今しかない」という思いが阪根さんを突き動かしたのですね。アジアを舞台にしたグローバルなビジネスに思い至るにはどんな経緯があったのでしょう?

阪根:起業のお手伝いをしてくれた元同僚の友人が、「台湾をルーツに持っているのだから、その得意分野を生かした方がいい」とアドバイスをくれたんです。それを聞いたときに、確かに餅は餅屋で、自分の特性や強みを活かした方がいいかもしれない、と思い始めました。私は台湾生まれで、幼少期から家の中でも中国語・日本語・台湾語が混在で飛び交うような環境で育ちましたし、早くから国籍も文化も多様な人間関係に接していました。なので、”アジアと日本の架け橋”といったことも違和感なくイメージができましたし、私がこのビジネスをやるのであれば間違いなくそうなるだろうという確信もありました。

――起業理念はその当時から明確にあったのでしょうか?

阪根:当時は会社を回すことや数少ないメンバーのお給料を払っていくので精一杯という状況でした。ただ、理念が大事だということ自体は前々からわかっていましたし、自分の中には今と変わらぬ指針を持ってはいました。前職の社風がとてもビジョナリーでしたし、いち社員としても「今自分は何をやっていて、どこに向かっているのか」という考えも明確に持っていたので。一方で自分の会社でたちまちそれができるか、と言ったらそうではなかったんですよね。でも、外部の株主さんが参入し、幹部も増やすことになった頃に「悩んだり迷ったときの拠り所がないとバラバラになってしまう」と思い始めたんです。

――社内での体制変化に呼応して、理念を明確に掲げようと思い至ったのですね。

阪根:会社の成長に伴って事業も強化していかなくてはならないフェーズになり、いわば大きな方向転換期でした。2019年頃には、執行役員が増える、IPOの体制を作る、監査法人と契約するといった感じで、さらに目まぐるしい変化があり、そのタイミングでホームページも一新しようと思ったときにはじめてビジョン・ミッション・バリューといった理念の具体化に取り組みました。一緒に会社を作る人が生まれたことでその必要性を強く感じるようになって…。「幹部は一人ひとりが経営者である」と私は思ってはいるのですが、展望を掲げるという意味ではそこを一枚岩にする必要があるとも感じました。

――理念を具体化して編み出していくに至ってはどんな方法を取ったのでしょう?

阪根:想像以上の時間と労力がかかりましたね。というのも、主体となって進行したのは幹部ではあるのですが、原本になったのは主に3パートからの抽出だったんです。まずはメンバー(社員)、その次がパートナー企業、そしてクライアント。この3方向に一斉にアンケートをとったんです。「アジアンブリッジのいいところ・好きなところ・こういう理由で付き合いをしているという部分を教えて下さい」と。そうして出てきたワードを分類していくうちに「アジアンブリッジのコア・コンピタンスってここだったんだ!」という発見もあり、それらをワークショップしながら作った感じですね。そういった意味では会社に関わる人たち全員を巻き込んで作った理念だと言えます。

年に一度のコンペは、バリューをイメージしたポスターの公募

――様々な立場から会社に関わる人の声が反映された理念なのですね。それらを明確に掲げてから、社内にはどんな変化がありましたか?

阪根:バリュー面を5つ掲げたことは大きかったですね。メンバーの行動が変わりましたし、何か選択に直面した時に「5バリューはこれだからこうしよう」っていう方向性が生まれていった気がします。具体的な浸透の取り組みとしては、3年ほど前から1ヶ月に1回の全体会議を継続していて、日本、台湾、タイにいる全員が集う機会を設けています。その時に私から5つのバリューのひとつを取り上げて、それについて話すようにしています。会議の中では表彰も行っていて「HAVE FUN賞」など、理念に呼応した表彰をしています。あとはコンペですね。

――理念のコンペとはすごく珍しい取り組みだと思うのですが、それは具体的にどんな取り組みなのでしょう?

阪根:年に1回、社内全員を対象に5バリューをイメージしたポスターを作ってもらっているんです。投票式で最多に選ばれたメンバーにはインセンティブがもらえるという仕組みです。そのポスターは社内に全て掲示するようにしているのですが、毎年バリューへの想いを乗せたクリエイティブ豊かなポスターが集まっています。

――イメージでバリューを捉えるというのは、すごくユニークでクリエイティブな試みですね! 

阪根:ただ、理念や文化の浸透については課題もあって、最も大きな課題は転職率の高さでしょうか。うちは外国人スタッフも多く、そもそものキャリアへの捉え方が違うという側面もあって…。日本では社内で大きな仕事や役割を任されることで給料が上がるけど、海外では転職そのものがキャリアアップになるという仕組みがある。つまり国そのもののカルチャーが違うんです。なので、理念や文化が浸透する前にメンバーが変わってしまうこともあって、そういった回転の早さにおいては苦戦もしています。

理念の浸透は、過程だけでなく素地も必要
共感度の高い仲間を集めて見据える展望

――そういった側面はどんな方法で補填をしているのでしょうか?

阪根:パソナ調べだと20代の勤務継続年数は平均で1年6ヶ月。そこをうちの会社だけ3,4年に伸ばすっていうのは現実的ではないと思っています。そんな状況下で重要になってくるのはやはり採用。エントリーの段階で理念に強く共感できる人を採ろうという考えに至りましたし、実際理念を理由に応募してくれる人も多く、役立っているとも感じます。理念や文化の浸透は入社後に好転的に出来上がることもありますが、そもそもの素地も必要です。共通の目的に対して夢中になれる人をまず見つけることが重要だと思っています。今新たにやろうと考えているのは、エントリー時にサーベイを取り入れること。面接だけではわからない部分もあるので、そういったシステムを導入することでさらなる解決策にしたいと思っています。

――アジアンブリッジのバリューは綿密に細分化されていて、これだけ明確な理念があったからこそ辿り着けた景色や一丸になれたというエピソードもあるのではないかと感じます。

阪根:そうですね。とりわけコロナ禍では大きな役割を果たしたと思います。特に幹部が一丸となって「みんなで乗り越えていこう」「だって私たちはこういうビジョンを目指しているよね」と立ち返って対話ができたことは大きかった。大変なときこそ、理念や文化が指針やモチベーションに、そして拠り所になるのだと痛感します。同時に、理念を作って満足ではなく、それらを形骸化させないこと、生きたものにしていくことが何より大事だと思っています。もっと言えば、理念があることで個人が能動的に自走できたら理想的ですよね。

――社名の通り、アジアとの架け橋を体現されていることに説得力もあると感じます。海を越え、環境や価値観も違う中で一つの理念や文化を築いていくことにおける展望はどのように感じていますか? 

阪根:私自身、会社員時代にも強く思ったのですが、朝起きて「会社に行かなきゃ」と思う理由に「取引先のあの人が私の言葉を待っている」とか、「自分で成し遂げたいミッションがある」とかがまず浮かぶ。そういった自発的なモチベーションによって走っていたと思うんですよね。そういったものを広く築けないだろうか、というのは常に考えていますね。今後はベトナムやマレーシアなど拠点をさらに拡げたいと展望しています。そうなった時に、これまで他の会社が到達できなかったカルチャーを、国境を越えて浸透できたとしたら、日本企業にとって大きな一歩になるし、パイオニアになれると思う。まだ道半ばではありますが、あらゆる方法で一人ひとりが輝ける文化を作る会社にしていきたいと思っています。そのためには会社の成長は不可欠。私には経営者としてその責務があると感じています。

――本日はありがとうございました。

 

アジアンブリッジ株式会社

代表取締役 / 阪根 嘉苗(さかね かなえ)さん

早稲田大学大学院卒 アジア太平洋研究科卒。
2004年、リクルートグループ(現リクルートキャリア)に入社。新規開拓営業では年間MVPを獲得。
人事部、営業企画、市場開発部を経て、2010年にアジアンブリッジ株式会社を設立。

日本企業の台湾進出のコンサルティング事業をスタートさせ、4社の会社の設立と事業立ち上げを担う。

2016年に越境EC事業をスタート。

Cultive

Cultiveは幸せに働ける良質な企業文化を醸成することで、企業成長をサポートするために生まれたサービスです。経営者の想いを表した理念策定、理念を込めたグッズ制作、表彰イベントの設計などを行い、企業文化の醸成をサポートしています。

この記事を書いた人

小名木 直子
小名木 直子

Producer

オリジナルウェディングのプロデューサーとして多くのイベント企画に携わる。小人数〜200人規模のイベントを得意とする。職場の中でどれだけ心が動く瞬間があるかで人生の幸福度が変わることを実感し、多くの人にCultiveのサービスが届くようWEBサイトの監修も担う。

  • プロジェクトマネジメント
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