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梅雨明けを迎える7月は、組織の活力を維持・向上させるための重要な時期となっています。
入社から3ヵ月が経過し、一見適応したように見える若手社員や、新しい役割を担う中堅社員のなかに疲労感や意欲低下が見られることはありませんか?これが「7月病」かもしれません。
本記事では、7月病の特徴とそれを未然に防ぐための効果的な対策をご紹介します。組織の大切な人材を支え、夏場のパフォーマンス低下を防ぐためのヒントをお届けします!
目次
7月病とは?
7月病とは、5月病・6月病に続くメンタルヘルス不調の一種で、正式な医学用語ではありませんが、7月頃に発生しやすい心身の不調を指します。
新入社員が新しい環境に慣れ始め、一見適応したように見える時期に突如現れる意欲低下や体調不良が特徴です。また、新入社員だけでなく、キャリアの転換期にある中堅社員や、年度初めから責任ある立場で頑張り続けてきた管理職にも見られる現象です。
5月病と7月病の違い
5月病と7月病は発生するタイミングだけでなく、その根本的な原因にも違いがあります。
5月病は主に「外的要因」によるものです。新しい環境や人間関係への適応ストレス、理想と現実のギャップなど、外部からの刺激や変化に対する反応として生じます。
これに対して7月病は「内的要因」が大きく影響します。3ヵ月程度の業務経験を経て生じる自己評価の低下、期待に応えられないという焦り、責任感の高まりなどが主な原因となります。
また、症状自体は両者でほぼ共通していますが、7月病では夏特有の体調変化(夏バテや睡眠障害など)も加わるため、複合的な不調として現れる傾向があります。5月病が「環境適応の問題」とすれば、7月病は「自己との向き合い方の問題」という側面が強いのが特徴です。
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キャリア転換期の社員がなりやすい!
7月病は新入社員だけでなく、キャリアの転換期にある社員にも発生しやすい傾向があります。例えば、昇進して初めて管理職になった社員や、異動により新しい部門の責任者となった中堅社員などです。
これらの社員は年度初めから新たな役割や業務に取り組み、高いモチベーションを維持してきた反面、7月頃になると徐々に疲労が蓄積し、期待に応えられているかという不安を抱くようになります。加えて、7月は上半期の業績評価が行われる企業も多く、成果へのプレッシャーが高まる時期でもあります。
さらに、夏場特有の体調管理の難しさも要因の一つです。暑さによる睡眠の質低下、冷房による体調不良、水分補給の乱れなどが複合的に作用し、精神面にも影響を及ぼします。キャリアチェンジによる心理的負担と、この時期特有の身体的負担が重なることで7月病のリスクが高まります。
7月病によくある4つの原因
7月病を効果的に予防・対策するためには、その原因を理解することが重要です。主な原因としては以下の4つが挙げられます。
- 4月から蓄積された疲れやストレス
- 先が見えない焦りと中だるみに悩む
- 仕事の負荷が増えるタイミング
- GWから7月中旬まで祝日がない
4月から蓄積された疲れやストレス
7月病の最も基本的な原因は、年度初めから3ヵ月間にわたって蓄積された疲労とストレスです。新入社員の場合、学生から社会人への大きな環境変化に対応するため、常に緊張状態が続いていることがあります。「迷惑をかけないように」「早く一人前になりたい」という思いから無理をして頑張り続けた結果、7月頃に心身の疲労が限界に達するケースが少なくありません。
中堅社員や管理職の場合も同様です。年度初めの目標設定や新しいプロジェクトの立ち上げなど、高い集中力と労力を要する業務が続き、休息する間もなく走り続けてきた状態です。この長期間の緊張状態と休息不足が、徐々に心身に負担をかけ、7月に入って急に「疲れた」と感じるようになります。
また、梅雨から夏にかけての気候変化も身体的な疲労を増幅させる要因となります。気温や湿度の上昇による自律神経の乱れが、すでに溜まっていた疲労感を一気に表面化させることもあるのです。
先が見えない焦りと中だるみに悩む
7月病のもう一つの大きな原因は、「先が見えない焦り」と「中だるみ」のダブルパンチです。年度始めの高いモチベーションと期待感が徐々に薄れ、仕事の現実や厳しさを実感する時期でもあります。
新入社員の場合、業務に少し慣れてきた一方で、「本当にこの仕事が自分に合っているのか」「期待されている成長を遂げられているのか」という不安や自己疑問が生じます。学生時代の明確な目標(試験や単位取得など)と異なり、ビジネスの世界では成果が見えにくく、自分の成長や貢献を実感しづらいこともあります。
また、7月は夏休み(学生時代)やお盆休暇(社会人)を控えた中途半端な時期でもあります。休暇まで「あと少し」という心理状態が、無意識のうちに「本格的な取り組みは休み明けから」という先送り思考を生み出しやすく、現在進行中のタスクへの集中力や意欲が低下しがちになります。
中堅社員や管理職も同様に、年度計画の半ばで「このペースで目標達成できるのか」「部下の育成は順調に進んでいるのか」という不安を抱えがちです。特に成果を求められる立場にある管理職は、上半期の振り返りを前に焦りを感じることも少なくありません。
この「見えない不安」と「達成感の欠如」が相まって、モチベーションの低下や無力感を引き起こすのです。
仕事の負荷が増えるタイミング
7月は多くの企業で仕事の負荷が増加するタイミングでもあります。上半期の締めくくりに向けた業務の追い込みや、夏季休暇前の業務調整など、時間的制約がある中での業務集中が発生します。
新入社員にとっては、研修期間を終えて実務に本格的に参加し始める時期であることも多く、責任の重さを実感するようになります。上司や先輩のサポートも徐々に減り、自立を求められる場面が増えることで、プレッシャーを感じる社員も少なくありません。
中堅社員や管理職は、上半期の結果報告や下半期の計画策定など、評価や将来計画に関わる重要な業務が集中します。また、部下の夏季休暇調整や業務の引き継ぎなど、マネジメント負荷も高まる時期です。
さらに、梅雨明けあとの暑さによる体力消耗も加わり、増加する業務負荷に対して体力的・精神的余力が不足しがちになります。この「業務増加」と「対応力低下」のアンバランスが、7月病の一因となるのです。
GWから7月中旬まで祝日がない
祝日カレンダーを見ると、ゴールデンウィーク明けの5月から7月中旬(海の日)までの約2.5ヵ月間、祝日がない長い期間が続きます。この「休息の空白期間」が7月病の発症に影響していることも見逃せません。
連休がないことで休息のリズムが乱れ、十分なリフレッシュができないまま業務を続けることになります。特に日本の企業文化では、祝日や連休を活用した長期休暇取得が一般的であるため、この期間の休息不足は蓄積疲労につながりやすいのです。
また、ゴールデンウィークの連休で一時的にリフレッシュしたあとの長い休息なしの期間は、心理的にも「先が長い」と感じさせ、モチベーション維持を難しくします。海外では年次有給休暇の計画的取得が一般的ですが、日本ではまだ休暇取得に躊躇する風潮も残っており、この期間の休息確保が難しい面もあります。
この「長い休みなしの期間」が、前述の他の要因と重なることで、7月に心身の不調が表面化しやすくなるのです。
企業ができる7月病への6つの対策
7月病は適切な予防と対策により、発症リスクを大幅に軽減することができます。企業として取り組める効果的な対策を6つご紹介します。
- 社員同士が安心してコミュニケーションできる環境づくり
- こまめにストレスチェックを実施
- 産業保健スタッフによるサポート体制の構築
- 相談窓口や対策部署の設置
- 外部EAP(従業員支援プログラム)の活用
- メンタルヘルスの研修やセミナーの実施
社員同士が安心してコミュニケーションできる環境づくり
7月病対策の基本となるのが、風通しのよい組織文化と心理的安全性の高い職場環境の構築です。社員が自分の不安や悩みを素直に表現でき、周囲がそれを受け止める文化があれば、問題が深刻化する前に対処することができます。
具体的な取り組みとしては、定期的な1on1ミーティングの実施が効果的です。上司と部下が個別に対話する機会を設けることで、業務上の課題だけでなく、心身の状態や不安などについても話し合うことができます。特に4月〜7月の期間は頻度を増やし(例:2週間に1回)、変化の兆候を見逃さないようにすることが重要です。
また、チーム内での「ねぎらいの言葉」や「感謝の表現」を日常的に交わす習慣も大切です。「頑張っているね」「助かっているよ」といった簡単な声かけが、社員の心理的支えになります。さらに、成功体験の共有や小さな成果を称える機会を意識的に設けることで、達成感や自己効力感を高めることができます。
信頼関係に基づく開かれたコミュニケーションが、7月病の早期発見と予防に大きく貢献するのです。
関連記事:社内コミュニケーションを活性化させるためには?メリットと施策例を紹介!
こまめにストレスチェックを実施
法定のストレスチェックは年1回以上の実施が義務付けられていますが(50人以上の事業場)、7月病対策としては6〜7月に臨時のストレスチェックを実施することが効果的です。
ストレスチェックを通じて、社員自身が自分の状態を客観的に把握できるようになります。また、組織としても部署ごとのストレス状況を可視化し、重点的に対策すべき領域を特定することができます。高ストレス者の早期発見と適切なフォローアップにより、重症化を防ぐことも可能になります。
実施方法としては、厚生労働省が提供する「職業性ストレス簡易調査票」などの標準化されたツールを活用するとよいでしょう。また、独自のアンケートとして「最近の疲労度」「休息の充実度」「仕事の満足度」などの項目を設定し、簡易版のチェックを定期的におこなうことも検討できます。
重要なのは、結果に基づいて具体的なアクションにつなげることです。ストレスチェックが「やりっぱなし」にならないよう、結果分析と対策立案、そして実行までの流れを確立しましょう。
関連記事:従業員幸福度を高める施策とは?サーベイの具体的な活用の仕方まで<CHO対談シリーズ>
産業保健スタッフによるサポート体制の構築
産業医や保健師などの産業保健スタッフを活用した健康管理体制の強化も、7月病対策として効果的です。特に、上司や同僚には話しにくい仕事に関するメンタル面の不安についても、産業保健スタッフには相談しやすいでしょう。
例えば、産業医による「健康相談日」を設定し、予約制で個別相談ができる機会を提供する方法があります。また、保健師による「職場巡視」の頻度を増やし、社員の表情や雰囲気の変化に気を配ることも効果的です。
さらに、産業保健スタッフからのメンタルヘルス情報の発信も重要です。「夏場の体調管理のコツ」「疲労回復のための休息法」など、時期に応じた健康情報を社内報やイントラネットで定期的に共有することで、社員の健康意識を高めることができます。
産業保健スタッフは医学的知見に基づくアドバイスができる専門家です。その専門性を活かし、管理職や人事部門と連携しながら、組織全体の健康管理を推進しましょう。
相談窓口や対策部署の設置
7月病対策として、専門的な相談窓口や対策部署の設置も検討すべき重要な施策です。社員が気軽に相談できる「心の健康相談室」のような専用窓口があることで、問題の早期発見と対応が可能になります。
この相談窓口の設計ポイントとして、以下の点に留意するとよいでしょう。
- 匿名性の確保:相談内容や個人情報の秘密保持を明確にし、安心して利用できる仕組みづくり
- アクセスのしやすさ:対面だけでなく、メールや電話など、さまざまな相談手段の提供
- 専門性の確保:カウンセラーや産業保健スタッフなど、専門知識を持つ担当者の配置
- 定期的な情報発信:窓口の存在や利用方法を定期的に周知する取り組み
また、相談窓口に寄せられた情報をもとに、組織的な改善につなげる仕組みも重要です。メンタルヘルス研修やセミナーなどの開催やセルフケアに関する情報提供など、予防のための取り組み全体に取り入れたり、経営層へのフィードバックや職場環境改善に活かすプロセスを確立しましょう。
「困ったときに相談できる場所がある」という安心感自体が、社員のメンタルヘルス向上に寄与します。
外部EAP(従業員支援プログラム)の活用
社内リソースだけでメンタルヘルス対策をおこなうことが難しい企業や、より専門的なサポートを提供したい企業には、外部EAP(Employee Assistance Program:従業員支援プログラム)の活用がおすすめです。
外部EAPとは、専門のカウンセラーやメンタルヘルスの専門家による相談サービスを従業員に提供するプログラムです。費用はかかりますが、窓口や部署の設置が難しい場合や、自力で部署や窓口を設置するより少ないコストで利用できるというメリットがあります。
また、社外の専門家に相談できるため、「職場の人に知られたくない」という心理的ハードルを下げることができます。24時間対応のホットラインなど、社内では提供しきれないサービスも活用できる点もメリットです。
外部EAPの選定ポイントとしては、提供されるサービス内容(カウンセリング、コンサルティング、研修など)、対応時間、専門家の質、費用対効果などを総合的に判断することが重要です。また、導入後は定期的な利用状況の確認と効果測定を行い、必要に応じてサービス内容を見直すことも大切です。
特に7月病が懸念される時期には、EAPサービスの存在をあらためて社員に周知し、気軽に利用できることを伝えるコミュニケーションを強化するとよいでしょう。
メンタルヘルスの研修やセミナーの実施
社員のメンタルヘルスリテラシー(知識や対処能力)を高めるための研修やセミナーも、7月病対策として効果的です。特に6月から7月にかけて、「夏場のメンタルヘルスケア」をテーマにした研修を実施することで、予防意識を高めることができます。
研修内容としては、セルフケアの方法(ストレスサインの気付き方、リラクゼーション技法など)、ラインケアの手法(部下の変化への気付き方、適切な声かけなど)、7月病の特徴と対処法などが考えられます。また、「睡眠の質を高める方法」「夏バテ予防と対策」など、この時期特有の健康テーマも有効です。
研修形式も工夫することが大切です。一方的な情報提供だけでなく、グループワークやロールプレイを取り入れることで、実践的なスキルの習得を促進できます。また、eラーニングやオンデマンド配信を活用し、時間や場所を選ばず学べる環境を整えることも検討すべきでしょう。
特に管理職向けの研修は重要です。部下のメンタルヘルス不調のサインに早期に気付き、適切に対応するためのスキルを身につけることで、組織全体の予防力を高めることができます。
まとめ
7月病は、4月からの環境変化や業務への適応過程で蓄積された疲労やストレス、自己評価の低下、夏場の体調変化などが複合的に作用して発生するメンタルヘルス不調です。新入社員だけでなく、キャリア転換期にある中堅社員や責任ある立場の管理職にも見られる現象です。
その原因は「蓄積された疲労とストレス」「先が見えない焦りと中だるみ」「7月特有の業務負荷の増加」「GWから7月中旬までの長い祝日なしの期間」などが挙げられます。
これらに対して企業ができる対策としては、「心理的安全性の高いコミュニケーション環境の構築」「ストレスチェックの実施」「産業保健スタッフの活用」「相談窓口の設置」「外部EAPの導入」「メンタルヘルス研修の実施」などがあります。特に重要なのは、問題が深刻化する前の「予防」と「早期発見」です。
7月病は決して避けられないものではなく、適切な対策と組織的な取り組みによって予防・軽減することが可能です。社員一人ひとりの心身の健康を守ることは、離職防止や生産性維持という観点からも、企業にとって重要な投資といえるでしょう。
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