チームビルディング研修とは?基本の考え方と種類
チームビルディング研修とは、組織の一体感を高め、チーム全体の力を引き出すために行われる研修のことです。
Team building(チームビルディング)は「チームを構築すること」を意味します。
チームビルディング研修では、メンバー一人ひとりが主体性を持ち、自身のスキルや個性を活かしながら、チームとして同じ目標に向かって成長するための方法を学びます。
そのため、アイスブレイクのような気軽にできるレクリエーションから、課題解決型のワーク、キャンプなどの体験活動まで、さまざまなプログラムが用いられます。
組織づくりの基盤となる信頼関係や共通認識を育み、チームのパフォーマンスを高めたいと考える企業にとって、チームビルディング研修は有効な手段といえるでしょう。
チームビルディング研修の目的と期待できる効果
チームビルディング研修を実施する目的として、主に以下の3つが挙げられます。
- コミュニケーション強化による信頼性の構築
- ビジョン共有によるモチベーションの向上・維持
- 各社員の強みや個性を活かした人材配置と育成
それぞれの目的の内容と、期待できる成果を詳しく見ていきましょう。
コミュニケーション強化による信頼性の構築
チームビルディング研修の本質のひとつは、「言葉のキャッチボール」を通じて、信頼の土台を築いていくことです。
チームのコミュニケーションが活発になり、フラットな関係性が築かれることで、年齢や役職を問わず意見を交換しやすくなります。その結果、安心して働ける職場環境が整い、失敗を恐れずにチャレンジできる雰囲気が生まれます。
また、活発な意見交換により新しいアイデアが生まれたり、お互いへの理解が深まったりすれば、チームとしての創造性や柔軟性の向上も期待できるでしょう。
心理的安全性が高い職場環境は人材も定着しやすいため、企業にとっても大きなメリットとなります。
ビジョン共有によるモチベーションの向上・維持
チームビルディング研修では、チームとしてのビジョンや価値観を共有することも大切な目的です。
ビジョンが明確になることで、自分たちの仕事の意義や貢献度を実感しやすくなり、日々の業務へのモチベーションも高まりやすくなります。
また、メンバー同士で目指すべきゴールを共有できていれば、問題に直面した際も状況の改善や打開に向けて同じ方向を向いて取り組みやすくなります。
特に、新規プロジェクトの立ち上げ時にチームビルディング研修が実施されることが多いのは、メンバー間で目的や価値観を一致させる狙いがあるためです。
「何のために働くのか」をともに描けるチームは、どのような困難にも折れにくくなります。ビジョンの共有は、そうした強さと温かさを兼ね備えた組織を育てる、確かな一歩です。
各社員の強みや個性を活かした人材配置と育成
チームビルディング研修は、社員一人ひとりの特性や役割を把握する機会としても活用できます。
研修では、普段の業務とは異なる活動を通じて、これまで見えにくかった個性やスキルが明らかになることがあります。
例えば、進行役やまとめ役が必要とされるワークやゲームに取り組むなかで、隠れたリーダーシップが発揮される場面もあるでしょう。
こうして発見された特性は、人材配置や育成の判断材料となり、将来のリーダー候補の発掘につながる可能性もあります。
「この人だからこそできること」を見つけることは、組織の未来に火を灯す行為です。個性が活きる環境づくりは、企業が長く信頼される力を育ててくれます。
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チームビルディングによりコミュニケーションを強化する研修設計
チームの成長段階は、結成から活動終了までの過程において、以下の5つに分けられます。
それぞれの段階で必要とされるサポートや取り組みが異なるため、チームビルディング研修を実施する際は、チームの状況に応じて内容を調整することが大切です。
- 形成期
- 混乱期
- 統一期
- 機能期
- 散会期
ここでは、チームの段階ごとに求められる研修内容を解説します。

形成期|相互に関係性を築く必要がある
形成期とは、チームが結成されたばかりの段階です。
この時期は、お互いのことがわからず、心の距離もまだ近づいていません。同じ方向を見つめる前に、まずは安心して隣に並べる関係をつくることが大切です。リーダーが中心となってチームの目的や方針を明確に示し、必要なルールや目標を設定する必要があります。
また、チーム内にどのような課題があるかを把握し、改善に向けた準備も進めましょう。
研修では、アイスブレイクや自己紹介など、緊張した雰囲気を和らげるプログラムを取り入れるのがおすすめです。
混乱期|意見の対立や役割分担のサポートが必要
混乱期は、チームでの活動がはじまり、意見の対立や役割の曖昧さが表面化しやすい段階です。
この時期は、価値観や考え方の違いがあらわになり、「わかり合えないかもしれない」という不安が芽生える時期です。しかし、この揺らぎこそがチームが本音で関われるきっかけにもなります。適切なサポートを通じて乗り越えることで、チームワークは構築されます。
研修では、メンバー同士の交流を促進し、相互理解を深める内容が効果的です。対話の機会を設けることで信頼関係が強まり、次の統一段階へと進みやすくなります。
統一期|チーム設計や役割が明確になる
統一期は、メンバー一人ひとりの役割やチームへの関わり方が定まってくる段階です。チームの一体感が徐々に高まってくる時期でもあります。
バラバラだった視点が重なり始め、「私たちはこうなりたい」という共通の未来図が見えてくるでしょう。そのため、チームとしての芯が育ちはじめる、大切なフェーズです。
この時期に実施する研修の内容は、ビジョンの共有や、チームとしての目標設定をおこなうワークが適しています。
メンバー全員でビジョンや目標を共有することは、安定したチーム運営に欠かせません。
機能期|チームワークが発揮され成果が見え始める
機能期は、チームが本来の力を発揮し、協力して成果を生み出せる段階です。メンバーが自律的に行動し、互いの強みを活かして協働できる状態が整っていることのが理想といえるでしょう。
ただし、この段階では、より高度な連携力や課題解決力が求められる場面も増えてくるため、さらなる成長を促すことも大切です。
例えば、実践的なビジネスゲームや戦略的思考を要するプログラムを研修に取り入れることで、スキル向上が期待できます。
思考力や判断力を磨く研修を通じて、チームとしての完成度はさらに高まっていきます。
散会期|活動のひと区切りが付く振り返りの時期
散会期は、チームとしての活動が一区切りを迎える段階です。この時期に前向きな気持ちで活動を終えられると、次の仕事や新たな環境にも意欲的に取り組めるようになります。
活動の意義や成果をしっかりと振り返る機会を設けることで、チームで過ごした時間が有意義だったと実感しやすくなります。
研修では、これまでの取り組みを振り返るワークや、メンバー同士でのフィードバックの時間を取り入れるとよいでしょう。
よい形で締めくくることで、個々の自信や次の挑戦へのモチベーションにつながり、組織全体にポジティブな循環を生み出せます。
チームビルディングでコミュニケーションを強化するポイント
初対面同士や多様な背景を持つメンバーが集まる場面では、以下のようなコミュニケーションを促すための工夫が欠かせません。
- 社員の個性を活かしたチーム編成と役割分担
- 個人の自主性や自発性を尊重
- 多様な価値観への理解と尊重
- 明確なチーム目標とゴール設計
それぞれのポイントを見ていきましょう。
社員の個性を活かしたチーム編成と役割分担
チーム編成では、人数を揃えるだけではなく、各メンバーの個性や特性を踏まえて組み合わせることが大切です。
特に新規プロジェクトの立ち上げ時には、それぞれ異なる視点やスキルを持つ人材を意図的に配置することで、チームに多様性が生まれます。
また、それぞれの役割を明確にし、お互いに尊重し合える関係性をつくることで、ゴール達成までの道のりがスムーズになります。
チーム全体の協働力を高めるために、人材の適材適所の配置と、お互いへの理解や尊重は欠かせません。
個人の自主性や自発性を尊重
チームビルディングにおいて本当に大切なのは、「無理に話す」ことではなく、「自分から関わろうとする気持ち」を引き出すことです。コミュニケーションは強制では深まらず、自発的な姿勢の先に信頼や共創が生まれていきます。
そのためには、研修やワークの場で話しやすさを育む工夫が欠かせません。例えば、失敗を笑わない・意見を否定しない空気を意識的につくることで、「心理的安全性」が高まります。また、一人ひとりの発言機会を平等に確保し、小さな成功体験をチームで承認し合うような「承認の文化」が育つと、自発性は自然に引き出されていきます。
“話すことが楽しい”“受け入れてもらえる”と感じられる場づくりこそが、チームの可能性を引き出す鍵です。
多様な価値観への理解と尊重
年齢や立場、経験が異なるメンバーが集まると、価値観の違いが原因でコミュニケーションが停滞する場合があります。そのため、まずはお互いの考え方や背景を知ろうとする姿勢が重要です。
例えば、活動開始の段階や、初対面同士が多く集まる場面では、リーダーが中心となって活発なコミュニケーションを促すことが望ましいです。
違いを認め合える関係性が築けると、意見の食い違いも「衝突」ではなく「前に進むための対話」に変わります。チームにとっての多様性は、可能性の扉を開く鍵となります。違いを認めて活かす意識を育むことで、チーム全体の成長にもよい影響を与えるでしょう。
明確なチーム目標とゴール設計
チームとして協力して取り組むためには、共通の目標やゴールを明確に設定することが欠かせません。
目指すべき方向が明確であれば、各メンバーの行動にも一貫性が生まれ、チームとしてまとまりやすくなります。
ただし、実際の業務が進行するなかで状況が変化することもあるため、目標やゴールは固定せず、柔軟に見直していく姿勢も大切です。定期的に確認や調整をおこなうことで、メンバーの納得感やモチベーションを維持しやすくなります。
チームの成果を最大化するためにも、目標やゴールを上手に利用しましょう。
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チームビルディング研修で導入できる具体例7選
チームビルディング研修では、座学だけでなく実践的なアクティビティを取り入れることで、より高い効果が期待できます。
ここでは、チームビルディング研修に活用できる7つの事例を紹介します。
それぞれの特徴や目的を理解し、自社に合った研修内容を検討しましょう。
ジェスチャーゲーム
ジェスチャーゲームは、言葉を使わずに動きだけで意思を伝えるゲームです。非言語コミュニケーションの重要性や、相手に伝える工夫の必要性を学べます。
初対面同士でも笑顔が生まれやすく、アイスブレイクとして活用されることが多いのが特徴です。
ビジネスゲーム
ビジネスゲームは、実際のビジネスシーンで起こりうるシチュエーションをお題にして、経営陣の立場や意思決定の過程をチームで体験する手法です。戦略を立てたり、役割を分担したりするなかで、チーム内の協力や対話の重要性を実感できます。
課題に対してどのようにアプローチするかを考えることで、実務に直結するスキルの向上も期待できます。
ビブリオゲーム
ビブリオゲームは、おすすめの本を紹介し合い、どの本を読みたくなったかを参加者が投票するゲームです。
プレゼン力や傾聴力を育てると同時に、個々の価値観や興味を知ることもできます。業務から離れたテーマで交流できるため、お互いの人柄を知るきっかけにもなるでしょう。
他己紹介
他己紹介は、ペアを組んでお互いにインタビューをおこない、その内容を第三者に紹介するアクティビティです。
ただ話を聞くだけでなく、相手の魅力を引き出すヒアリング力や、要点を整理して他者に伝える力が求められます。また、自分の話を他人から聞く体験は、新たな気付きや自己肯定感の向上にもつながります。
自分史ワーク
自分史ワークでは、これまでの人生や経験を振り返りながら共有することで、自分の価値観や行動原理を相手に伝えます。
過去の経験に耳を傾けることで、お互いの背景への理解が深まり、職場における円滑な対人関係の構築も期待できます。
発表の方法は、口頭やスライドの使用など、自由に選択可能です。
キャンプ
キャンプは、自然のなかで共同生活や協力作業をおこなう体験型プログラムです。火起こしや食事づくり、テントの設営などを通じて、役割分担やお互いに助け合う大切さを体験できます。
普段の職場とは異なる環境に身を置くことで、メンバーの新たな一面に気付くきっかけにもなるでしょう。
運動会
運動会は、身体を動かしながら楽しめるチーム対抗イベントです。普段あまり関わらないメンバー同士の交流を深めるのに適しています。
年齢や体力差に配慮した競技を選ぶと、全員が無理なく参加できます。
チームビルディングでコミュニケーション活性化を成功させるコツ
チームビルディングを通じたコミュニケーション活性化は、単発の施策で終わらせず、継続的な仕組みに落とし込むことが成功のカギです。
この章では、「実践フェーズ」で意識すべきポイントを、ツール・ルール・評価の3つの観点から整理します。
現場で明日から使える具体的な工夫をご紹介します。
- ITツールでコミュニケーションを促進させる
- チーム環境を安定させるルールを設定して周知する
- 定期的な面談とアンケートで効果を測定する
ITツールでコミュニケーションを促進させる
リモートワークが広がるなかで、日常的な交流の場としてSlackやTeams、NotionなどのITツールを活用する企業が増えています。これらのツールは、業務連絡だけでなく、チームの心の距離を縮めるためにも大きな役割を果たします。
例えば、「雑談専用チャンネル」では仕事と関係のない会話を気軽に交わせたり、「成果共有チャンネル」でメンバーの頑張りを称え合ったりと、心理的安全性を高める工夫が可能です。スタンプやGIFなど、カジュアルなリアクションが使えるのも、感情のやりとりをスムーズにします。
また、オンライン型のチームビルディング研修とも親和性が高く、普段使いのツール上でそのままワークを実施することで、学びと実践が自然につながるというメリットもあります。ツールを「つながりの土台」として機能させることが、今の時代に合ったチーム作りの一歩です。
チーム環境を安定させるルールを設定して周知する
どれだけメンバー同士の関係が良好でも、あいまいなルールが放置されたままでは、コミュニケーションは次第にギクシャクしてしまいます。誰もが安心して声を上げられる環境を整えるためには、明文化されたルールの存在が欠かせません。
例えば、「会議中の発言ルール(挙手・チャット活用など)」「メッセージへの返信時間の目安」「業務外の連絡の可否」といったガイドラインをチームで共有しておくことで、不安や遠慮が減り、発信量や協力度が自然と高まります。
ルールは「縛るもの」ではなく、「安心して動ける土台」です。こうした共通認識があることで、チームはより自由に、より積極的に意見を交わすことができるようになります。小さなすれ違いを防ぎ、大きな信頼を育む第一歩として、ルールの見直しと周知をぜひ取り入れてみてください。
定期的な面談とアンケートで効果を測定する
チームビルディングの取り組みは、「やって終わり」では意味がありません。大切なのは、施策の効果を“見える化”し、継続的に改善していく姿勢です。
その手段として有効なのが、定期的な面談や匿名アンケートです。これらを通じて、メンバー同士の関係性、施策への満足度、日々のなかで感じている課題などを把握することができます。特に匿名であれば、率直な声を拾いやすくなり、見落としがちな不安や摩擦の芽にも気付けるでしょう。
集まった声をもとに、チーム編成の見直しや研修内容を調整し、PDCAサイクルとして改善を繰り返していくことで、チームはより強く、しなやかに成長していきます。評価のための測定ではなく、よりよい未来をつくるための対話ととらえることが、継続可能な組織づくりへの鍵となります。
チームビルディングを成功させる社内イベントならCultiveまで!
チームビルディング研修は、メンバー同士の信頼を育み、ビジョンを共有しながら、一人ひとりの個性や強みを活かすことで、組織全体の一体感や推進力を高めていく重要なプロセスです。
その効果を最大限に引き出すには、チームの成熟段階に合わせた設計と、継続的なコミュニケーションを促進する仕組み化が欠かせません。本記事で紹介した7つのアイデアや、実践フェーズにおける「ツール・ルール・評価」の視点も、ぜひ日々の施策にご活用ください。
Cultiveでは、チームワークやエンゲージメントの向上に向けて、「その組織ならではの想い」や「メンバーに伝えたいこと」を丁寧にすくい取り、“想いをカタチに変える”企画をご提案しています。
「仲間とのつながりをもっと深め、イノベーションの土壌をつくりたい」
「メンバーが会社を“自分ごと”として誇れるようにしたい」
そんな想いをお持ちの方は、どうぞお気軽にご相談ください。



































