社会や時代の変化に伴って採用事情も大きく変動します。2010年ごろまでは大勢いる求職者の中から企業側が有望な人材を選ぶ「買い手市場」だと言われていました。しかし、新型コロナ流行による働き方の多様化、少子高齢化による労働人口の減少により、現在は求職者側が就職したい企業を選ぶ「売り手市場」に逆転しました。採用難易度も高まる中、採用担当者にとって内定辞退は頭の痛い悩みです。人材流出を防止し、内定者の入社意欲とエンゲージメントを高めるためにも、内定式はぜひとも活用したいシーンです。
この記事では内定式の開催について解説し、内定者のエンゲージメントを高めるためのアイデアをご紹介します。会社の未来を担う人材獲得を思案している皆様の参考になれば幸いです。
目次
内定式の目的
内定式とは、内々定を出していた学生に企業が正式に内定を伝えるためのイベントです。企業側は「採用通知書」を渡し、学生側は「入社承諾書」を提出します。契約書を交わすことで互いの意志を確認し合う場となります。企業によっては入社式と同日に内定式を行なう場合もあります。
企業側にとっては学生の入社意識を高める機会であるだけでなく、会社の理念や価値観に触れてもらう場でもあり、社員や内定者同士の交流を計れる場でもあります。
内定者の意欲を高めるような内定式を行なうことで、内定辞退の防止、入社時のエンゲージメント向上が期待できます。
内定者は何を求めているのか?
入社を前にした学生は様々な不安の中にいます。人生を左右する重要なタイミングなので当然のことですが、その中でも代表的なものに「内定ブルー」があります。入社目前にまで就職活動が進んだタイミングで、「本当にこの会社でよかったのだろうか」「他の会社の方が選択肢が広がるんじゃないか」と、不安になってしまう状態のことです。
自社への不満から来るものではなく、他の選択肢を捨てることに対する漠然とした不安が原因であることが多いですが、こういった不安感を払拭してあげることが内定確度を高める上でも重要になってきます。
内定者が安心するために求めているものを知って、入社モチベーションに繋げましょう。以下に、内定者が入社前に求めているものの代表例を紹介します。
社内見学
内定者は自分がどんな環境の中で働くことになるのかを不安に思っています。オフィス空間だけでなく、職場の人間関係や働いている人たちの雰囲気を知ることで安心して入社することができます。
上司や先輩社員との懇親会
就職先の社員の人柄に触れることで、入社後のイメージを描くことができて安心できます。入社にあたっての不安や実際の業務内容、必要とされるスキルを質問できることで内定者も入社前の準備をすることができます。
同期との懇親会
おそらく、もっとも多くの内定者が望むものでしょう。これまでの環境から離れることになる内定者は孤独も抱えています。一緒に働き始める仲間たちと事前に交流を持てれば新しい環境についてポジティブに考えることができます。
慣れ親しんだ環境や知人から離れて新しいフェーズに移るときは誰でも不安を覚えるものです。上記に挙げたような項目を満たしてあげることで、入社後の様子をポジティブに捉えてもらい、内定辞退のリスクを軽減できます。そのためにも、内定者とコミュニケーションをとれる内定式は重要な機会であることが分かります。
最近の内定式のトレンド
働き方への意識や会社と従業員の関係性は時代と共に変わります。最近のトレンドを押さえて、内定者に喜んでもらえる式開催を目指しましょう。
オフライン開催
新型コロナ流行の影響で一時は内定式の中止や延期をする企業が多かったですが、2022年卒の内定式ではおよそ40%の企業がリアル開催をしています。それぞれに規模縮小や小グループごとの開催など、感染対策をした上での開催にはなりますが、リアルの場で内定者との交流を持つ重要性を感じている企業が多いことが伺えます。
オフライン開催の場合、合宿形式や内定者の入場をランウェイにして盛り上げるなど、各企業が特色を活かした演出で内定者のエンゲージメント向上に繋げています。
オンライン開催
2022年卒の内定式では、およそ30%の企業がオンライン開催を導入しています。また、一部の内定者をオンライン参加にするなどのハイブリッド形式での開催も見られるようになりました。内定者との交流を持ちつつ感染対策をすべく、多くの企業が工夫をしながら内定式を開催しています。
謎解きなどの参加型ゲームを用意したりこだわった動画を上映したり、オンラインならではの演出をする企業も少なくありません。
内定式の代表的なコンテンツ
オフライン・オンラインの違いはありますが、内定者のエンゲージメントを高めるために内定式は欠かせません。入社前の不安を解消するだけでなく、企業の理念や価値観を知ってもらえる機会でもあります。以下に代表的な内定式コンテンツを紹介いたします。
イントロダクションムービー
内定式のオープニングを飾るムービーです。内定者の紹介やウェルカムメッセージを添えると、これから始まる式への期待も高まります。また、企業の理念に紐づくようなムービーにすることで内定者の理解度を高めることも期待できます。
代表あいさつ
社長から新入社員に向けての挨拶は冒頭に行うのが通例です。自社を選んでくれた感謝を伝えると共に、会社のビジョンやミッションなど、共に作り上げたい未来像を語ることでエンゲージメントに繋がります。社長の他に、会長や役員が挨拶をすることもあります。
内定辞令授与式
内定者たちが内定(入社)辞令書を受け取る授与式です。社長から贈ることが多いです。
内定者紹介
先輩社員に向けて内定者たちが自己紹介をします。社会人としての挨拶マナーを体験してもらう意味もありますが、企業の社風によってはユニークな自己紹介が許される場合もあります。
記念撮影
広報用の意味合いも兼ねて内定者たちの写真を撮ります。
社内見学
内定者にオフィスを案内します。主だった施設や使い方を知ってもらうと共に、自分が働く環境に慣れてもらう意味もあります。ウェルカムメッセージなどを用意しておくと入社後への期待を高めることもできます。
面談 / グループワーク
内定者面談を設ける企業もあります。適正や人柄を見れる機会であり、内定者との会話を取れる時間です。また、内定者同士のグループワークを設けることもあります。ワークを通してチームワークの重要性を感じてもらうと共に、同期とのコミュニケーションを取ってもらいます。
懇親会
内定者同士の交流や先輩社員とのコミュニケーションを目的とした時間です。軽食や飲み物を用意してカジュアルな雰囲気で行うことが多いです。内定者にリラックスしてもらえるようにミニゲームやムービーなどのコンテンツを用意するのもいいでしょう。
会社と内定者のエンゲージメントの高め方
いくら面談を重ねても、会社と内定者は互いのことを深く知れるわけではありません。内定者フォローを行うことで接点を増やし、会社も内定者を知ることができ、内定者側の不安感を軽減することもできます。
内定者を紹介する社内報の制作
内定者一人ひとりをピックアップし、経歴や人柄を伝えるような社内報を作るケースもあります。会社や先輩社員が内定者を深く知るためのものであり、同時に、内定者との接点を絶やさない目的もあります。
内定者を紹介するムービーの制作
社内報ではなくムービーを制作する例も増えています。ムービーのクオリティーを上げることで社内報以上にモチベーションを上げやすくなります。
会社紹介ムービーの制作
内定者に会社のことを知ってもらうためのムービーです。経営理念、業務内容、社史、経営者や先輩社員へのインタビューなど、盛り込める要素はたくさんあります。
内定者同士のエンゲージメントの高め方
会社との信頼だけでなく、内定者同士のチームワークを高めておくことも内定ブルー解消に繋がります。いくつかの代表的な例をご紹介します。
内定者が制作する社内報
社内報を内定者に作ってもらう例もあります。内容は様々ですが、企画段階から入ってもらうことで同期とのチームワークを高める効果があります。また、先輩社員や経営メンバーへのインタビューを通して、会社への理解度が高まることも期待できます。
内定者による社内イベントの企画
社内向けのミニイベントを企画してもらいます。これも、同期とのチームワーク向上や会社理解の効果が期待できます。先輩社員がサポートに入ることで、より詳細な会社の雰囲気を伝えることもできます。
合宿ワークショップ
一泊二日のワークショップを開催する企業もあります。ワークショップやグループワークの時間を通して学んでもらうと共に、レクリエーションなどを通して交流を計ります。キャンプ形式や学校施設への宿泊など、企業によって特色があります。
入社式までのコミュニケーション
このように内定者とのコミュニケーションにはいくつもの方法があります。他にも、オフライン/オンラインでの研修を設けたり、インターンシップを利用したり、社内サイトやブログ、SNSなどを活用して内定者フォローを心がけましょう。
コミュニケーションの頻度と深さ、内容を吟味することで内定者の不安を解消できるだけでなく、会社への理解を深めることができます。入社への期待が増すようなコミュニケーション方法を検討し、エンゲージメントの高い状態で働いてもらえるように考えましょう。
いかがでしたでしょうか。未来を担えるような人材との出会いは企業の将来に関わる重大事です。採用活動を推進するだけでなく、ようやく出会えた人材に期待感を持って入社してもらえるような工夫を考えていきましょう。
この記事が参考になりますと幸いです。
なお、Cultive(カルティブ)では、事業成長を後押しする企業文化の醸成を目的にして、様々な企業イベントの実施経験があります。新入社員のエンゲージメントに繋がるような、心に響く内定式をお考えでしたらぜひご相談ください。
この記事を書いた人
小名木 直子
Producer
オリジナルウェディングのプロデューサーとして多くのイベント企画に携わる。小人数〜200人規模のイベントを得意とする。職場の中でどれだけ心が動く瞬間があるかで人生の幸福度が変わることを実感し、多くの人にCultiveのサービスが届くようWEBサイトの監修も担う。
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