デジタル領域におけるダイレクトマーケティング支援を展開する株式会社ワンスター。2023年度ベストベンチャー100に選出され、ヤフー株式会社の特別認定パートナーに認定されるなど、今後も大きな成長が期待されます。
「無数の新しい価値で、多数の世界一を」というビジョンを掲げ、会社ビジョンに向けて走り続けながら、個人が夢に熱狂できる環境を追い求めています。
会社と個人のイーブンな関係を成し得ているのは、両者を繋ぐ丁寧な対話。
今回は株式会社ワンスターの理念経営について、人事本部組織推進局/局長の岡田 直也さんにお話を伺いました。
新会社の立ち上げをはじめ、大手健康食品企業のwebプロモーションや人事本部を経て、現在の組織開発部門の責任者として活躍する岡田さん。岡田さんならではの多彩な経験と実績が、個々の点を線でつなぎ、会社の組織力に大きく貢献しています。
株式会社ワンスター:https://one-star.jp/
目次
事業拡大で現実化した課題
「ひたむきに想いを伝え続ける姿勢」が社員の意識改革へ
――はじめに、理念について教えてください。
岡田:ワンスターは、組織の核である「理念」のもと、採用や施策制度を行っています。理念には、基本的価値観と社会的使命という2つの軸を掲げています。
基本的価値観は、「信頼」「開拓者精神」「Win-Win」「成長志向」の4つの価値観で、社員に求める価値観という意味合いが強いですね。この4つの価値観に共感する人と一緒に働きたいと思っているし、価値観に共感できる人にぜひ入社してほしいというメッセージも含まれます。
社会的使命は、「新しい価値を生み出して、顧客創造・顧客貢献を行い、幸せの総量を増やす」もので、最も重要視するのは顧客貢献の部分ですかね。私たちのサービスは伴走型支援とよく言いますが、顧客貢献をした上で、後から自分たちのやりがいや幸せが返ってくるという意識でビジネスを展開しています。
<株式会社ワンスターの理念>
<オフィスアート – 基本的価値観>
<オフィスアート – 社会的使命>
――その「理念」に基づく4つの基本的価値観と社会的使命が生まれるまでに紆余曲折あったとは思うのですが、その策定の背景とは何なのでしょうか。
岡田:元々は親会社である株式会社ファインドスターにおいて、理念を策定すべきタイミングが訪れたことがきっかけです。
私がまだ入社する前の話ですが、ファインドスターの売り上げが順調に伸びた時期があったんですね。
事業の拡大に伴って社員数を6,70人程度まで増員したんですけど、社員の離職率が25%以上になってしまって、結果的に社員数は40人まで減少しました。
――経営がよくなりつつも、離職する社員が増えたのは不安だったでしょうね。
岡田:そうですね。社員のスキルや強みを優先して採用したがゆえに、代表が何を考えているのか見えてこなかったり、隣に座っている社員と価値観の相違を感じたりする社員が増えたのが離職率増加の原因でした。また離職者の半数が中間管理職者だったこともあり、組織の中で“あ・うんの呼吸”ができなくなってしまったんですよね。
そのタイミングで、「僕たちがどういうことを世の中にやっていきたくて、どういう人たちと働きたいかを明文化しないといけないよね」という考えが組織全体として生まれたので、組織全体の共通認識を確立するに至りました。
その理念を踏襲してワンスターに合わせて定義したのが策定の背景です。
今でも、会社の規模拡大や時代の流れに応じて、組織の雰囲気や価値観を包括的にみるようにしています。
――社員の理念浸透については、いかがでしょうか。
岡田:理念はどうしても抽象化されやすく、価値観や成長の捉え方は人によって異なるので、そのための対策として、理念を体現する行動指針を定めています。行動ベースで落とし込むことによって「こういう行動ができている人が理念を体現できている人だよね」という共通認識を作っています。
<株式会社ワンスターの行動指針>
――理念体現までの道筋を明確にされるなど理念経営を大事にされているワンスター様ですが、浸透することは一朝一夕には難しいものですよね。ワンスター様は具体的にどのような取り組みをされているのでしょうか?
岡田:理念を社員に浸透させるためには、「懇切丁寧に説明し続けるプロセスと運用」が大事だと思っています。そのために社内ではいくつかのこまめな取り組みを行っています。例えば…
ミスマッチを生まない理念採用と経営層の時間を投資した理念研修
理念に共感した上で入社してほしいので、採用時の理念説明はしっかりと行います。理念採用は、理念を浸透させるための入り口として重要なポイントですね。その上で、入社後には経営者と社員の思考をすりあわせる研修を全体で約15時間ほどしっかりと時間を確保して行っています。
毎週の強化理念アウトプット
日々の組織運営としては、毎週月曜日に、強化理念(社員全員が意識する行動指針)を週ごとに決めて、その行動指針に対して社員一人ひとりがどう動くのかを言語化するようにしています。そのアウトプットは社内ツールと連携するようになっていて上の役職のメンバーの思考も全社員が見られるようにしているので、他の社員も見て学ぶということができているかと思います。
部署を超えた社員間での理念ディスカッション
その他にも、毎月テーマを変えながら社員に対して行う理念研修を実施しています。今回は研修のファシリテーターを社員にやってもらうという取り組みも実施中です。通常は役職が一定以上の25名ほどがファシリテーターを担うのですが、いざ自分がするとなると準備の段階から念入りに行動しますよね。この経験が、理念を、より「自分ごと」として深く刻んでくれると思います。研修のあり方は常に少しずつ変えながら、理念浸透に注力しています。
個人の価値観と会社との交差点を見つけるワンスターらしい制度とは
――大きな特徴のひとつである「ビジョングリップ」とは、何でしょうか。
岡田:ワンスターは、会社のビジョンに向かって熱中して仕事をしていくなかで、無意識のうちに自分自身の夢の実現に近づいている状態を“幸せ”だと捉えています。
その考えのもとで社員の「個人の夢や価値観」と、会社の向かう「方向性」の交差点を見つけようと生まれたのが、ビジョングリップという制度です。その交差点さえ見つかれば、あとはそこに向かって進んでいけば辿り着けるというふうに考えています。
そのためにまず会社の理念やビジョンについて、その他にも経営トップがビジネス上で大事にする価値観や心震わせる思いを綴った資料が30ページ以上あるんですが(笑)、この資料に全社員が目を通します。これが会社側の考えを理解する時間です。
今度は自分自身の理解として、自分の価値観や興味関心を探る25個の質問事項をもとに自分への理解を深めて、そこで生まれた自分と会社の交差点を上司にプレゼンするのがビジョングリップの内容になっています。
――もう10年以上も続けている制度とのことですが、社員の反応や組織強化を実感することはありますか?
岡田:半年に1回のペースで行われるんですが、25個の質問はビジョンの前に個人の価値観にフォーカスした内容になっているため、その人が大事にしているものや思考の背景を知るきっかけづくりにもなります。
そうすることで社員への理解度も上がり日頃のマネジメントに活かせることも多分にあって、部下が迷わずに働けていると感じることが多くなりました。上司は部下の目標をしっかりと握り、その目標に近づけるように機会を与えて成長を促していけるというのも理念経営がもたらした好影響だと思います。
ビジョングリップに限らず、施策ひとつひとつに社員からアンケートを回収している点も施策をアップデートできている要因かと思います。施策を実施するだけでなく、社員への丁寧なヒアリングを通して最適解を導き出し続けていくことも重要かなと思います。
挑戦する過程を表彰する理念体現度を評価する表彰式
――今、組織開発に取り組む活動をされているんですよね?
岡田:私が責任者で、もう一人の部下の計2名で180人分の組織開発を担当しています。
以前は職能ごとのチームを組んでいたんですが、3年前からクライアントごとに多職種が混在するチーム制に変更しました。各チーム間のコミュニケーションを活性化するために半年に1回社員総会を企画して、常に社員の価値観や方向性を意識しています。イベント開催後には必ずアンケートを実施したり、私と社員しか確認できないツールで社員からの質問をすべて吸い上げています。社員が今課題だと感じていることや部署異動の悩みなど、声を上げてくれた社員に関しては、基本的に直接ヒアリングを行い、ひとつひとつ現場の声をかき集めて「点を線に紡いで組織をつくる」ことを大事にしています。
――理念体現度を評価する表彰式もあるとお聞きしましたが・・
岡田:社員の日頃の成果や挑戦する姿勢を評価する表彰式は年2回あって、上司が書いてくれた推薦文をもとに、全社員160名で投票して表彰者が決まります。
「この成果を出すために、どの理念を体現できたか」を全ての表彰で重要視しており、結果も当然ですがその過程も大事にするという会社の考え方に沿った表彰の形です。
自分のチャレンジを経営陣だけではなく一番身近な仲間である現場社員が評価してくれる、その安心感や喜びを社員は肌で感じられるようで、とても嬉しそうにしてくれます。
岡田さんにとって組織開発のやりがいとは
――最後に、岡田さんにとってのやりがいと今後の展望について教えて下さい。
岡田:一番のやりがいは経営の右腕になれている実感があることですかね。
経営陣のメッセージングを直に受けられる場所でもあったり、特に組織開発については経営陣も正解を持っているわけではなかったりもするので、経営層から「現場を見ている岡田はどう思う?」とフラットに意見を求められることも多く、会社の舵取りに貢献している感覚があります。
今後の展望については、たとえ社員数が1,000人を超えても、今と同じもしくはそれ以上の理念浸透ができる組織を作っていきたいなと思っています。
「組織が大きくなると難しいんじゃないの?」と思われがちですけど、難しいことにトライするのがベンチャーの面白さだと思ってますし、企業体のひとつのモデルケースになるといいなと感じています。
――本日はありがとうございました。
「顧客貢献するために自己成長があり、自己成長があるから更なる顧客貢献ができる」と爽やかに語る岡田さん。常に社員の声をひたむきに受け止め、行動につなげる彼の姿勢は、社員が迷わず仕事に没頭できる最高の環境を創り出すのです。
多彩な経歴で会社を知り尽くした岡田さんだからこそ成し得た組織開発ともいえるでしょう。
人事本部組織推進局 局長 / 岡田 直也(おかだ なおや)さん
新卒で株式会社ワンスターの親会社である株式会社ファインドスターに入社。
新規事業の立ち上げとして人材紹介の事業に取り組み、3年目に株式会社ワンスターへグループ会社内異動。
その後株式会社ワンスターにてweb広告代理事業の法人営業を担当し、チームマネジメントや大規模プロジェクトの統括経験後、2019年7月に人事に異動。
現在は中途採用の責任者を経て組織開発を担う部署の責任者として社内の制度設計やコミュニケーションデザインに取り組んでいる。
Cultive
Cultiveは幸せに働ける良質な企業文化を醸成することで、企業成長をサポートするために生まれたサービスです。経営者の想いを表した理念策定、理念を込めたグッズ制作、表彰イベントの設計などを行い、企業文化の醸成をサポートしています。
この記事を書いた人
小名木 直子
Producer
オリジナルウェディングのプロデューサーとして多くのイベント企画に携わる。小人数〜200人規模のイベントを得意とする。職場の中でどれだけ心が動く瞬間があるかで人生の幸福度が変わることを実感し、多くの人にCultiveのサービスが届くようWEBサイトの監修も担う。
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