「自らと若者がウズウズ働ける世の中をつくる」そんなミッションを掲げ、人材紹介事業を手がける株式会社UZUZ。個々の在り方を尊重したオーダーメイド型の就業サポートをはじめ、キャリアアップへの直結とミスマッチの軽減を目的とした研修型サポートなど、「前向きに働きたい」と願う人々に向けた様々な取り組みを行なっています。
右から左へと人材をただ企業へと紹介するのではなく、「ウズウズした気持ちで働くことのできる人」としてそれぞれの意向に沿ったキャリア構築に伴走をすること。そんな会社のポリシーには代表取締役社長の岡本啓毅さん自身が見つめてきた就業の壁と、その障壁を少しでも取り除きたいという思いがありました。理念や文化を社会の変化へとつなげるためには、まずは自らが、そして社員がウズウズと働けることが必要。そう語る岡本さんに社内の理念や文化について詳しくお話を伺いました。
株式会社UZUZ:https://uzuz.jp/
目次
既卒・第二新卒の就業の壁を剥がしたい
「まずは自分たちから」という想いとともに
――「自らと若者がウズウズ働ける世の中をつくる」このミッションは創業当時からあったものなのでしょうか?
岡本:2012年の創業時に掲げた「若者がウズウズ働ける世の中を作る」という理念に、「自分たちと」という言葉を新たに加えたのは3、4年ほど前のことでした。「自分がウズウズ働けていないと当然この理念は推進できないよね」という話が社内で出て、改めて理念について考え直したんです。見た目としては小さな変化ではありますが、中身としてはUZUZの本質により近づいたような気がしています。社名の由来の一つは、「何かがしたい」という働く上での前向きな気持ち=ウズウズ。もう一つは、そんな渦の振動や波紋が周囲へも広がっていくこと、周りをもポジティブに巻き込んでいくような「波及」「伝播」といった意味合いがあります。
――理念に「自分たち」という言葉を足された理由にも、ダブルミーニングから成る社名の本質を強く感じます。社内の取り組みや文化の中で、UZUZ独自だと感じるのはどんなことでしょうか?
岡本:既卒・第二新卒の社員しか雇っていないことは独自の文化だと思います。理念に基づく事業ドメインとしてまず定めたのがそこだったんですよ。「ウズウズする」以前にそもそも働きたいのに働けていない人が多くいるという現実。そんな社会の就業状況を反映し、就職に不利な方々を支援することが先決だと感じています。起業した当時強く感じていたのが、「既卒って新卒で就職を決められなかった使えない人でしょ?」「第二新卒は仕事が長続きしなかった人だよね」という世間の感覚や風潮でした。人材会社の人に「使えない人を雇って、そのサービスでお金を取るなんて詐欺みたいだ」と言われたこともありましたし、そんな酷い実情を受けて、どうにかしたいと思ったんですよね。私自身も第二新卒ですし、実際にそんなことは全くないということをまず証明したいと思いました。
――当時は就職氷河期と呼ばれていた時代でもありますよね。新卒入社に辿り着けた人のみが優秀であるという風潮には今もなお疑問が残ります。
岡本:機会に恵まれなかっただけで、その中にも活躍できる人は多くいるということに確信を持っていましたし、実際に社内の採用の場でもそれは強く感じました。「既卒・第二新卒だからチャンスがもらえない」というレッテルを剥がしていくことが、世の中を変えるためにもまず必要。それを実現するためには、新卒・第二新卒のみで構成されているUZUZという組織が活躍し、成長し、その価値を世の中へ証明することが重要なミッションだと感じました。今はエンジニアをはじめ別事業もスタートしているので、今後は新卒採用を行う予定もあるのですが、その考えは変わらないと思います。
ウズウズ働くためには、それを阻む障壁を取り除くことが先決
――そういった方々で構成されている組織として、UZUZらしさを感じる瞬間はどんな時でしょうか?
岡本:UZUZは人材紹介事業で、採用が決定したら成功報酬をもらうというモデルなのですが、採用された方の中には、実際に紹介して入社した後に「イメージと違った」という意見の方もいて…。そういったミスマッチはどうしたら減らせるだろうか、と社内で話し合ったことがありました。就労経験のない方に口頭だけで企業を説明し、明確なイメージをもって就職してもらうことの難しさをどう解消できるか話し合いました。それで、だったらそれをイメージできる機会を事前に持ってくる仕組みを作ることが必要なのではないか、と。その結果生まれたのが「ウズウズカレッジ」という研修型サポートだったんです。これを社内の対話を通して立ち上げられたこと、続けられていることはUZUZらしさであり、一筋縄ではいかないこの試みに賛同してくれる社員の存在無くしては実現が難しかった事業だとも思っています。
――研修型サポートを始めるにあたっては、会社としてのデメリットもあったということでしょうか?
岡本:こういった事業展開やそれに至る意思決定って、ビジネスにおいてはリードタイムも長くなるしコスパも悪いんです。当時は研修費用も無料で行なっていたので余計に。でも、社内の雰囲気はむしろポジティブで「自分たちの仕事が大変になる」とか「給料に見合わない」という声は一切あがらなかった。「少しでも変えられるなら」とみんなが思っていてくれていたことは非常に大きく、一つのUZUZらしい意思決定だと感じています。そういった社員の前向きな姿勢はコロナ禍でも感じましたね。
――やはり、コロナ禍では人材紹介もその打撃を受けたのでしょうか。
岡本:既卒・第二新卒を採用する求人は8割くらい止まりました。そもそも紹介ができないという状況で、しかしそれに対して仕事を失っている人は日々増えるという深刻さがありました。その時も「無料で人材紹介をしよう」と決断して、結果的に60人ほどの採用をしてもらったんです。売り上げには直結しないけど、社員は「困っている人が就職できた喜び」を自身のエンジンにしてくれていて、そんなタフな原動力もUZUZらしい文化だと感じます。
――そういったミッションを叶えるための、社内文化の浸透に対する呼びかけなどはあったのでしょうか?
岡本:むしろ「ミッションに共感しよう」というようなことは言わないようにしています。結果的にそういう人が集まって共感度が高くなる分にはいいと思うのですが、押し付けてしまっては、結果的に共感が薄く、浅くなってしまうと思っています。これは社内に限らず人材紹介を受ける方にも言えることで、「あなたをウズウズ働くようにします」って言うのはおこがましいと思っているんですよね。UZUZがまず取り組むべき使命・ミッションは、「社内文化を醸成すること」ではなく、「ウズウズすることを阻む社会の障壁を取り除くこと」。そして、それを「仕組みにしていくこと」。その一部として文化があるのだと思っています。
社内でクラファン、求人&転職まで実現?!
他に類を見ない社内制度の狙いとは
――UZUZには、「社内求人制度」や「ワーケーション制度」、さらには「ウズウズポイント(通称ウズポ)の導入」などユニークな社内制度もたくさんありますよね。
岡本 社内ポイント制度の一例には「ありがとうを送るチャット」というものがあって、送った人と送られた人にウズポが付与され、換金して社員間のランチや飲み会に使えます。ウズポから発展して、買いたいものややりたいことを提案して、賛同者が集まれば実現するという「ウズポファンディング」というものもあって、実はYouTubeチャンネルはここから生まれたもので、機材もファンディングで集まったお金で買ったんですよ。ウズポは期限付きなので、みんな積極的に使ってますね(笑)。社員間で交流を図れるところも利点だと思っています。
――貯めたり、使ったり、募ったり…。すごく楽しく、素敵な制度だと感じます。ワーケーション制度や社内求人制度の狙いや利点はどんなところでしょうか?
岡本 ワーケーション制度は、東京・大阪・旭川の拠点間の往復費を年一回会社から出すので行きたい時に行って下さいという制度。「半日でもいいから3日間は働く」というルールに則っていれば、週末に合わせて観光に使ってもOKで、拠点間のコミュニケーションを積極的にやってもらえたらと思って導入しました。社内求人制度は、部署の垣根を越えて社内で必要なポジションを募集し、希望者が異動を申し出ることができるという制度です。転職する理由って、外に行かなきゃやりたいことができない、ポジションがないということが最も大きいと思うんですよね。それならば、社内で転職に近しいくらいの選択肢を作ろうと。そうした方が長期的な目で見た時にウズウズ働けるのではないかと感じました。
社内の風通しをよくすることから社会の変化は始まる
――岡本さんから見て、「UZUZ」というチーム、その強みはどんなものだと思いますか?
岡本:平たく言うと、性格がいい人が多いとは思いますね。ハラスメントや人間関係のトラブルも起きにくく、風通しのいい環境ではあります。ただ、私自身のスタンスとしては意識的にメンバーとの関わりを強く持たないようにはしています。というのも、私が介在・発言することでそれが絶対的になってしまう面、自分の存在が邪魔になる面が少なからずあるんですよね。また、組織化や分社化を進める上では私以外の人がトップになって組織を引っ張っていくことも必要です。そんな理由からコミュニケーションのボリュームを調整するようにしています。これは創業メンバーでの方向性の相違があった時に学んだことでもあります。役員が違う方向を見ていたり、悪い意味で気を遣い合っている状況は、組織の成長を止めることになると感じて…。会社はミッションを達成するために存在しているもので、社員はそのために集ってくれている。だからこそ、都度自分自身のアップデートも必要だと感じています。
――「ウズウズを阻む社会のマイナス面を打破すること」に尽力されているUZUZのミッションは、岡本さんご自身のスタンスにも繋がっているのですね。
岡本:社内でも「障壁を取り除くこと」は最も必要なことだと思っています。例えば、過剰な労働も健康が損なわれますし、ウズウズを阻むことの一つ。人材紹介自体が労働集約的なビジネスなので、「売り上げを上げるためにもっと働いて」となりがちなのですが、それは様々な施策で軽減することもできます。例えば、うちでは旭川のオフィスにアシスタントチームを作って、コア業務でないところでアウトソースできる仕組みを整えることで業務の負担を減らしています。また、新人が成果を出せるような型化に取り組んだことによって残業も減り、心身ともに健康的に働けるようになったと思います。組織としても、そういった障壁をなくそうという空気ができている気がしますし、今後も働く上でのマイナスを積極的に軽減していけたらと思っています。
――そうした積み重ねの先に、社会へのウズウズの波及が待っているんですね!今日はありがとうございました。
株式会社UZUZ
代表取締役社長 / 岡本 啓毅(おかもと ひろき)さん
1986年生まれ。株式会社UZUZ代表取締役社長。北海道出身で高校卒業後、米国アラバマ州立大学ハンツビル校にて宇宙物理学を専攻。ITベンチャーでの勤務を経て、若者がウズウズ働ける世の中を作るべく2012年にUZUZを設立。
若者の認知拡大に向けTwitterなどのSNS運用に注力し、就職の悩みを解決できるYouTube「ひろさんチャンネル」の登録者は5万人を超える。
採用・集客の悩みを相談できるクローズドコミュニティ「採用マーケ知恵袋」や無料キャリア相談サービス「キャリエモン」も運営中。
Cultive
Cultiveは幸せに働ける良質な企業文化を醸成することで、企業成長をサポートするために生まれたサービスです。経営者の想いを表した理念策定、理念を込めたグッズ制作、表彰イベントの設計などを行い、企業文化の醸成をサポートしています。
この記事を書いた人
小名木 直子
Producer
オリジナルウェディングのプロデューサーとして多くのイベント企画に携わる。小人数〜200人規模のイベントを得意とする。職場の中でどれだけ心が動く瞬間があるかで人生の幸福度が変わることを実感し、多くの人にCultiveのサービスが届くようWEBサイトの監修も担う。
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