【ナイル株式会社】カルチャー浸透は体験設計までトータルデザイン

2024.04.08
【ナイル株式会社】カルチャー浸透は体験設計までトータルデザイン

デジタルマーケティングのコンサルティングサービスや、月間750万人が利用する自社メディアサービス、車のサブスクリプションサービスなどを提供し、日本のDX課題を解決する産業DXカンパニーとして急成長を遂げているナイル株式会社。

「幸せを、後世に。」というミッションのもと、豊かで幸せな未来を次の世代に紡いでいくために新しい発見や感動を生み出す事業・サービスを展開しています。

2023年12月に東証グロース市場に上場し新しい企業成長フェーズを迎える中、2021年からカルチャー推進に携わる、執行役員でカルチャーデザイン室室長の宮野 衆さまにナイルのMVVやカルチャーについてお話を伺いました。前職からカルチャー専任として活躍されたご経験を活かし、変化を続ける組織をカルチャーデザインという側面から支えられています。

ナイル株式会社:https://nyle.co.jp/

大きく進展する組織へ
ポイントは「シンプルな言葉」で

 

――入社直後すぐのタイミングでバリューのリニューアルに関わったとお伺いしました。どういった背景でバリューのリニューアルに至ったのですか?

宮野:実はナイルに入社した時に「バリューをリニューアルをしてほしい」と言われていたわけではなかったのですが、入社後すぐその必要性を感じるようになりました。きっかけとしては、ブランディングの観点で、ナイルを外から見た時のイメージと、入社する前の役員陣との会話や、入社直後多くの社員と話した時の会社に対するイメージにギャップを感じたことが始まりです。
「会社としての想いが伝わり切っていなくて勿体無い…」という印象を受けました。中長期を見据えて、会社としてのメッセージをしっかりと届けるためにも、コーポレートロゴと合わせて、リブランディングをはかるべきと考えはじめました。

もう一つ。私が入社したのは2021年なのですが、2019年〜2021年は従業員数が倍になるなど、組織が一気に大きくなる過渡期であり、会社の規模が変わることで社員に伝えたいメッセージも変わっていくタイミングでもありました。また、数百人規模になり、直接一人ひとりとコミュニケーションをとることが難しくなる環境において、構造が複雑だった当時のバリューをもっとシンプルにする必要があると感じ、入社早々にバリューのリニューアルを提案させていただきました。

――バリューのリニューアルは社員のみなさんを巻き込んで進められたそうですね。プロセスとして社内の方を巻き込むというのは、最初から考えていたのでしょうか?

宮野:そうですね、やりたいと思っていました。プロセスに社員を巻き込むことの重要性は常々感じています。結局リニューアルしたものを社内に浸透させていく必要があるので、最初から“社員と一緒に作る”、“できるだけ巻き込む”、“かつ極力オープンにする”、というのは必須だと思っています。その方が、浸透も早いので。

前職でもバリューのリニューアルを経験しているのですが、その経験を活かし、今回はリニューアルまでのプロセスをよりオープンにする、ということを意識しました。

一例として、バリューを決める会議をオンラインで生配信しました。経営陣はどういう想いがあって、どういう価値観を大事にしたいと思っているのか。だからこそ、バリューとして、社員にどんな行動をとって欲しい、と考えているのか。そういった、経営陣が自ら語る言葉や思考に、社員が直接触れることができる機会を持ちました。録画してアーカイブも残したのですが、今の時代だからこそ可能な形ですね。

▼より詳しいバリュー刷新の背景と取組はこちら
https://note.com/shu_miyano/n/nd3841dab34ed

変化をポジティブに捉えるための体験設計
浸透の軸となる施策とは

――オープンなプロセスによりリニューアルしたバリューですが、社内に公開する際に意識したことはありましたか。

宮野:同時期にロゴのリニューアルも動いていたのですが、新しいロゴの社外公開と、リニューアルしたバリューの公開がどちらも7月と、タイミングが重なりました。7月はちょうど、コロナ禍の中で久しぶりにリアルの場で集まる全社総会の開催があったので、この機会を有効活用しました。

ロゴとバリューのリニューアルのメッセージを掛け合わせて、変化を感じられるような体験設計は重視していましたね。ロゴやバリューが変わるって、会社として大きなことだと思います。
「なんか変わっちゃったね」ではなく、「ここから何か起こりそう!楽しみ!」と変化をポジティブに捉えてワクワクできるような演出や、そこに関する仕掛けは手を抜かずにトータルデザインしていました。

――変化をポジティブに捉える演出を体感できると、社員のみなさんの受け取り方にも大きな影響がありそうですね。新しいバリューを浸透させるにあたって、もっとも軸となる施策だと感じるものはありましたか?

宮野:浸透のためには、日々コツコツと地味に動いていくしかないので何かひとつの施策を上げるのは難しいのですが。大前提として、入り口である採用基準と評価基準への反映はマストです。これは、即実行、徹底すべきです。

その上で、今回行った施策でいうと、毎月の事業部ごとの締め会でMVPを表彰する機会があるのですが、『バリュー賞』を加えてもらいました。これは、インパクトがあったと感じています。

人事評価への反映は半年に1回程度なので、バリュー浸透のタッチポイントとしては少ないんですよね。バリュー賞は毎月実施するので、毎月必ずバリューに触れることになるんです。

さらに、バリュー賞は推薦という構造にしたんです。そうすることで、バリューを体現してる人は誰かなと考えたり、自分は体現できているかを考えるきっかけになる。
バリューに言葉として触れるだけでなく、思考する、という機会を作ったことに意味があったなと実感しています。

――バリュー賞をはじめ色々な浸透施策に取り組んだ結果、実際に新しいバリューは社員のみなさんに浸透していると感じますか?

宮野:ナイルではクオーターごとに社内サーベイを実施していて、その中でバリューの浸透度を独自基準で評価しています。2022年の7月にバリューをリリースして、半年後の浸透度は30%程度だったので、2023年度の浸透度50%を目標にしたんです。それが、23年の夏には50%を達成して、年度末には60%を超え、約1年で浸透度が一気に倍になりました。色々な要素があるので一概には言えませんが、これだけの浸透のトリガーになったのは、バリュー賞だと感じています。

▼バリュー浸透の具体的な施策についてはこちら
https://note.com/shu_miyano/n/n8e94ed070740

現場のコミュニケーションまで一貫性をもつことの重要さ

――宮野さんの中での、ナイルのカルチャーの今後の展望について教えてください。

宮野:カルチャーというとよく語られるのが、MVVの変更や浸透施策、社内イベントの実施などです。
もちろんそれらの施策は重要ではありますが、あくまで手段でしかありません。
カルチャーというのは、経営を実行していく組織を作るための土台で、経営と密接に関わってくるものなので、それなりのパワーと覚悟を持って取り組まなければならないと思っています。

一貫性が重要ということは常々思っていますが、バリューのリニューアルに続き、昨年の夏にはビジョンもリニューアルされ、一貫性を持ったベースの指標作りができたので、これからは浸透と併せてカルチャーをより成熟させる、ということに取り組んで行きます。

一貫性をもつためには、最終的に現場に近いところで、どういったコミュニケーションが取られているのか、誤った押し付けや、バリューの体現を阻むような対応がないか、というところまで手をつけないと意味がない。マネージャー層が現場とどういうコミュニケーションをとっているか、というのがキーになります。そこに入り込んで、「このフィードバックの仕方いいね」とか、「こうやってバリューを絡めて伝えてるんだ」といった情報を共有しています。地道ですが、結局一番大事で、これをやらないと意味がないと思っているので、マネージャーからメンバーへのコミュニケーションのタッチポイントを丁寧にサポートしていくことは今後注力したいですね。

カルチャーは1日にして成らず
地道な努力の積み重ねの先にある喜び

――前職時代から10年以上もカルチャーに関わってきた宮野さんだからこそ感じる、文化醸成の面白さや難しさ、やりがいなど、聞かせていただけますか。

宮野:働く時間って、人生においてとても長いですよね。その時間が楽しいかどうかは、人生を通しての幸福度への影響が大きい。自分がカルチャーに関わることで、そこで働いている人たちの幸福度をあげたいと思っています。働きがいをしっかり作る、事業が成長している、仲間と信頼関係が作れている。そういったことを広義の意味でカルチャーと捉えてアプローチしていくことで、仕事というものが楽しい、やりがいがあると感じられる人が増えて欲しい。
ナイルで働く人はもちろんですし、ナイルに限らず働く人がそうなったら良いなと思っています。

ただ、会社としてどうやってミッション、ビジョンを実現させて、提供価値を広げていくかの手段としてカルチャーがあるので、手段を目的化してはいけない。良いカルチャーをつくることがゴールではないということは意識しています。

――最後に、カルチャーに関わる中で、宮野さんご自身の心が震える瞬間はありますか?

私は「カルチャーデザインは庭づくりに似ているな」と思っています。多少草が生えていても、これが庭ですと言われればそう思える。
だけど、その人が思い描く素敵な庭にするには、最初の設計と土台作りは大切になりますよね。それと同じように、会社だって何もしなくてもそれなりのカルチャーはできる。だけど、より良い会社にしたいと思うのであれば、会社ごとのビジネスモデルや中長期の成長戦略を踏まえて、戦略的に目指すべきカルチャーを捉え、そこまでのプロセスを設計する必要があるんですよね。

だからこそ、最初に思い描いたような、自分たちがこうなったらいいよね、と思い描いていたカルチャーの形に近いものになったと実感できた時は、本当にやりがいを感じます。

庭づくりって、日々、雑草を抜いたり、掃除したり、伸びた枝を切ったり、はたまた突然の台風に備えたりと長い時間をかけて、向き合い育てていくものだと思うんです。時間がかかるからこそ、やりがいや達成感が大きいというか。それと似た感覚だと思います。前職で感じたそのやりがいを、他の組織でも再現性があるかどうかを検証するためにナイルに入社したので、また「良い庭ができた!」と思える日のために、日々の業務と向き合っていますね。

――宮野さんのような信念と誇りを持ってカルチャーに取り組む人がいる組織は、幸せな組織だと感じました。共感の多い素敵なお話、ありがとうございました。

ナイル株式会社
執行役員 カルチャーデザイン室 / 宮野 衆(みやの しゅう)さん
2007年3月に明治大学法学部法律学科を卒業し、同年4月に前職である株式会社VOYAGE GROUP(現 株式会社CARTA HOLDINGS)に入社。
アドセールスマネージャーを経て、新卒4年目でコーポレートカルチャー室の室長に抜擢。会社の経営戦略としてカルチャー強化から事業推進を促すことをミッションに、カルチャー醸成に努める。その後、CCO(Chief Culture Officer)として人事・カルチャー領域を管轄。
2021年9月からナイル株式会社に入社。カルチャーデザイン室を立ち上げ、企業ブランディング、新卒採用などを管掌し、カルチャー醸成に向き合っている。

Cultive

Cultiveは幸せに働ける良質な企業文化を醸成することで、企業成長をサポートするために生まれたサービスです。経営者の想いを表した理念策定、理念を込めたグッズ制作、表彰イベントの設計などを行い、企業文化の醸成をサポートしています。

この記事を書いた人

小名木 直子
小名木 直子

Producer

オリジナルウェディングのプロデューサーとして多くのイベント企画に携わる。小人数〜200人規模のイベントを得意とする。職場の中でどれだけ心が動く瞬間があるかで人生の幸福度が変わることを実感し、多くの人にCultiveのサービスが届くようWEBサイトの監修も担う。

  • プロジェクトマネジメント
  • 企画

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