この記事の監修者
佐藤 佳織
株式会社スペサン CHO
株式会社スペサンにて、CHO(Chief Happiness Officer)として社員幸福度を高める施策を企画・運用しながら、社外に対しても幸せに働く人を増やすためのカルチャー醸成のサポートを行う。カルチャー醸成のためのワーク設計実績は100を超える。
CultiveマネージャーでありスペサンCHO(Chief happiness Officer)の佐藤佳織(かおりん)とCultiveディレクター荒井萌(もえ)が、“働く幸せ”に関するノウハウを対談形式で幅広く発信中!
今回は「従業員幸福度」と企業成長の関係性や個人の「幸福度」向上によって企業に起きるメリットについて話していきたいと思います。
働く上での社員の生産性を高めて、社員が幸せに働きながら企業成長させていくための施策やスタンスについても話していますので、従業員幸福度にお悩みの方はぜひ最後まで読んでみて下さいね。
目次
「幸福度」が上がると生産性31%アップ!?
佐藤:さてさて。私たちは日頃から個人の「幸福度」と企業成長について考えたり調べたりしているわけですが。
荒井:寝ても覚めてもって感じですよね(笑)。あらためて、この2つにはどんな関係性があるんでしょうか?
佐藤:『幸福経営に関する理論と調査結果に関する研究(上田 和勇)』によると、幸福度が高い人は、そうじゃない人に比べて創造性が3倍、生産性は31%も上がるって言われてるんだよね。売上や営業成績は37%高い傾向にあるという研究結果が出ていたり。
あと、幸福度とほぼイコールで使われている人生満足度というのがあるんだけど。人生満足度が高い社員は、顧客からの高い評価を得る可能性が高いとされているみたい。
人生満足度が高い従業員のいる小売店では、店舗面積利益が他店よりも21ドル高く、小売りチェーン全体では利益が3200万ドルも増えるという研究結果もあるらしいよ。
荒井:楽しそうに働いてる人は幸福度も高い印象がありますが、それが売上にもいい影響を出しているということですね。メンバーが幸せな会社が正しく結果を出せているというのは、他人事ながらに嬉しいですよね!
佐藤:そうそう!そうであってほしいと思う!企業の働きとして幸せな人を増やしてほしいと思うしね。
荒井:そうですね。でも「幸福度」って個人の感覚ですから、「そんなもの測れるの?どうやって定義するの?」って悩んでる人も多い気がします。
佐藤:そうだよね。じゃあまずは「幸福度」についての代表的な理論からご紹介しますね。
「従業員幸福度」を上げるための“フロー理論”
佐藤:ミハイ・チクセントミハイさんを第一人者として、広く知られているものに『フロー理論』というのがあります。
これはスポーツ選手などでいう、いわゆる「ゾーンに入っている」ような集中状態のことで、それによって最高のパフォーマンスが発揮されている状態を「フロー」と呼んでいるみたい。この「フロー」を業務に持ち込むことで良い影響がある、と唱えているのが「フロー理論」。
その「フロー」状態に入るために必要な条件は以下とされています。
① 組織の目標を明確にすること
② 社員に自由と責任を付与していること(信頼と自立性を軸としている)
③ 挑戦(目標)とスキルのバランス、これら 2 つがその人にとり比較的レベルの高いものであること
④ 客観的で公正な評価の存在つまり明確なフィードバック
⑤ 公共の利益や社会的価値の創造に寄与しているという誇りや満足感が存在していること
⑥ 金銭などの外発的報酬だけではなく、教育、訓練、キャリアプランニングなど内発的な報酬の獲得に結びつく用意があること
荒井:なるほど!組織全体の目的に共感できていること、その達成のために個々人の挑戦が促されて、やりがいを実感できていることが社員のエンゲージメントを高めてより生産性があがって・・というループが生まれるのですね。
こういった要素を充実させていくことが、「従業員幸福度」への第一歩ですね!
佐藤:最近ではこういった理論や独自の考えを反映させながら「幸福経営」を推進している企業も増えてきたよね。難しいことではあるけど、みんなが注目している領域なんだと思います。
日本企業の幸福経営の事例
佐藤:幸福経営を推進している日本企業はいろいろありますが、伊那食品工業さんは有名だよね。会社の理念に「すべての人のハピネス」を掲げていて、社会活動にも幅広く取り組まれています。
荒井:長野県にある会社ですね。一般の方も入れる広いお庭が有名な。
佐藤:幸福経営の実際の事例に興味がある方は、『本気で社員を幸せにする会社「新しい働き方」12の手本』という、やつつかえりさんが書かれた本もおすすめです!
私もスペサンのCHO(Chief Happiness Officer)になった時に読んだけど、すごく為になりました!職種、業種もいろいろな企業例が載っているので参考になると思います。
荒井:実際の事例を見れば、自社への変換イメージも湧きやすいですよね。これは要チェック!
幸福度を測定する診断ツールから導き出す幸せと“不幸せの7因子”
荒井:かおりんさんはスペサンのCHOとして、メンバーの幸福度を測ったり、向上させるための施策をいろいろ行っていますよね。
佐藤:ああでもない、こうでもないと悩みながらやってます(笑)。
荒井:似たような立場の方々の参考に、かおりんさんの想いやロジックを教えていただけますか?
佐藤:多分同じような立場の人たちとの共通な悩みとして、「幸福度は可視化しづらい」と(笑)。
幸福度の向上が企業成長につながるというロジックを客観的に見せなければいけないし、そのためにメンバーの幸福度が向上しているという過程を示さなければいけないんだけど、とにかくそれが難しい(笑)。
私の場合は「はたらく人の幸せ/不幸せ診断」をツールとして活用させていただいています。
荒井:それはどういうものですか?
佐藤:パーソル総合研究所と慶應義塾大学の前野教授が共同研究しているプロジェクトで、働く上で人が幸せに感じる要素と不幸せに感じる要素を調査、研究しているものなんだけど。
(出典:パーソル研究所)
佐藤:これらの「幸せ因子」と「不幸せ因子」を見ながら働く上での幸福度を測るっていうものですね。私はこれをスペサンに導入しながら経過を見てる感じかな。
荒井:なるほど。でもこういうのってお互いに関連し合ってて、なかなか断定できないという難しさもありますよね。
佐藤:そうそう。例えばどこかの因子が上下したとしても、そこに対する効果的な施策を「これ!」と決めるのも難しい・・・。なにせ、人の感情の部分だからね。
荒井:総合的に見ながら、常に試し続けるって感じですか?
佐藤:そうだね。ひとつの結果に囚われるというよりは全体を見ることが大事かも。
今、自分の会社がどういう傾向にあるのかを議論したり、仮説を立てることが重要かなと思う。そういう意味ではとても有効なものかなと思います。
荒井:今のメンバーの状態を客観的に認識するために数値化するのは大事ですよね。
佐藤:そうだね。その数値の推移を見ながら仮説を立ててみる。そしてその仮説を立証するためにさまざまなアプローチを試してみる。思った結果につながらなければまた考え直して、また試して・・・その繰り返しです。
「幸福」の感じ方は人それぞれだし、個人や会社のそのときの状況にも左右されるし、画一的な答えはないと思います。だから、とにかく仮説を立てて、さまざまなアプローチ方法を試すというのが私の取り組み方ですね。
荒井:うーん、深い(笑)。数値だけを追ってもダメなんですね。
佐藤:この「幸せ因子」は自分の幸福度も診断できるので、興味ある方はぜひ試してみてください。小さな部署とかで、メンバー同士で結果を話し合ってみても気づきがあるかも。
荒井:たしかに!自分で診断したものを持ち寄って、ワークができたら学びが深そう!
(参考文献:『幸福経営に関する理論と調査結果に関する研究(上田 和勇)』)
まとめ
今回の記事では「従業員幸福度」と企業成長の関連性、幸福度の測り方などについてご紹介しました。客観的な数値で状況を把握して、必要な施策をトライ&エラーしていくことが大事ですね。
Cultiveでは、従業員サーベイをはじめ、課題に対する施策のご提案も行っていますので、気になった方はぜひお問合せ下さい!
この記事を書いた人
髙野 美佳子
Producer
自身が大切にしたい「記憶が人の居場所になる」という想いと、スペサン(Cultive運営)のコンセプトである「人を幸せにする 心震える瞬間の創造」の重なりを見つけ、入社。現在はCultiveにてクライアント企業の課題に向き合いながら、何度でも思い出したくなる幸せな記憶を創造するべく邁進中。
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