中堅社員が辞めていく主な理由6選
中堅社員が退職を決意する背景には、いくつかの共通した理由があります。主な理由として、以下の6点が挙げられます。
- 成長実感・キャリアパスが不透明であるため
- 評価制度や待遇に対して不満があるため
- 管理職・経営層との価値観にギャップがあるため
- 仕事に対するやりがいが見つからないため
- 職場の人間関係・心理的安全性が欠如しているため
- 業務が増えるばかりで給与や評価には直結しないため
人事や管理職の方は、これらの理由が自社にも当てはまらないか確認してみましょう。それぞれの内容について、具体的に見ていきます。
成長実感・キャリアパスが不透明であるため
中堅社員がキャリアの将来像を描けないと、退職を考える大きな要因となります。入社して数年が経過し、業務にも慣れた段階で「この先どうなるのか」が見えなければ、不安や焦りが生まれるのは当然です。
昇進ルートが不明確な職場では、どれだけ頑張っても管理職になれるのか、いつ昇格できるのかがわかりません。新しい業務経験を積む機会が少なければ、スキルの幅を広げることもできず、市場価値の向上も望めません。
また、スキルアップの機会が提供されない環境も問題です。社内研修や外部セミナーへの参加機会がなく、現状のスキルのまま業務を続けることになれば、成長が停滞します。
例えば、入社5年目の営業担当者が、同じお客様を担当し続け、新規開拓や他部署での経験を積む機会がない状況を考えてみましょう。本人は「このままでよいのか」と悩み、キャリアチェンジを視野に入れ始めます。自社でも同様の状況が起きていないか、振り返ってみる必要があるでしょう。
評価制度や待遇に対して不満があるため
評価や給与への不満は、中堅社員の離職理由として非常に多く見られます。頑張っているのに正当に評価されない、成果を出しても給与に反映されないという状況が続けば、モチベーションは低下する一方です。
同僚との評価差が不透明なケースでは、なぜ自分の評価が低いのか、何を改善すればよいのかがわかりません。上司の好みや主観で評価が決まっているように感じれば、不公平感は増すばかりです。
また、昇給や賞与が実績と連動していない場合も深刻です。どれだけ売上を伸ばしても、新規プロジェクトを成功させても、給与が変わらなければ努力が報われません。
特に中堅社員は、同世代の他社社員と給与を比較する機会も増えます。転職サイトなどで市場価値を確認し、「自分は正当に評価されていない」と感じれば、転職を具体的に検討し始めることもあるでしょう。
納得感のある評価制度の整備は、中堅社員の定着において最も基本的かつ重要な要素といえます。透明性と公平性を確保することで、社員の信頼を得られるようになります。
管理職・経営層との価値観にギャップがあるため
経営方針や上司の考え方と、中堅社員の価値観に大きな違いがあると、退職につながることがあります。働き方や仕事の進め方に対する考え方の相違は、日々のストレスとして蓄積していくからです。
意思決定のスピード感に対する認識の違いは、よくある例です。「もっと素早く決断して動くべきだ」と考える中堅社員に対し、上層部が慎重すぎる姿勢を取り続ければ、若い世代は「この会社は変われない」と感じます。
仕事の進め方についても、価値観の違いが表れます。効率化やデジタル化を推進したい中堅社員と、従来のやり方を変えたくない管理職との間には、しばしば溝が生まれます。また、評価の優先順位が問題となることもあるでしょう。プロセスを重視する上司と、成果を重視する部下では、何が正しいのかという根本的な考え方が異なります。
こうしたギャップが日常的にストレスとなり、「この会社では自分の考えが受け入れられない」と感じた中堅社員は、価値観の合う企業への転職を考え始めます。世代間や立場による価値観の違いを理解し、歩み寄る努力が必要です。
仕事に対するやりがいが見つからないため
業務内容が単調でルーティン化していると、モチベーションの低下は避けられません。毎日同じ作業の繰り返しでは、成長実感も達成感も得られないからです。
中堅社員の段階になると、基本的な業務はすでに習得しています。新しい挑戦や学びがなければ、「この仕事に意味があるのか」という疑問も生まれます。また、自分の能力が活かされていないと感じる状況も、やりがいの喪失につながりかねません。高いスキルを持っているのに簡単な作業ばかり任され、本来の力を発揮できない環境では、才能の無駄遣いをしているように感じるでしょう。
さらに、裁量がないことも大きな問題です。すべての判断を上司に仰がなければならず、自分で決められることがほとんどない状況では、仕事への主体性は育ちません。
例えば、マーケティング部門で働く中堅社員が、アイデアを出しても「前例がない」という理由で却下され続け、データ入力や資料作成ばかりを任されているとします。本人は「自分の経験や発想を活かせる仕事がしたい」と思いながらも、現状では実現できません。こうした状況が続けば、やりがいのある仕事を求めて転職を考えるのは自然な流れです。
職場の人間関係・心理的安全性が欠如しているため
職場の人間関係や心理的安全性の欠如は、中堅社員の離職に直結する深刻な問題です。どれだけ仕事内容や待遇が良くても、職場の雰囲気が悪ければ長く働き続けることは困難でしょう。
相談できる相手がいない環境では、業務上の悩みやキャリアの不安を一人で抱え込むことになります。孤立感を感じながら働き続けることは、精神的に大きな負担です。
また、意見が通らない職場も問題です。改善提案をしても無視される、上司に意見を述べても聞き入れられないという状況が続けば、「自分の存在価値がない」と感じてしまいます。さらに、ハラスメントや派閥問題が存在する職場は、特に深刻です。パワハラやセクハラがある環境、特定の派閥に属さないと不利益を被る組織では、安心して働くことができません。
心理的安全性とは、自分の意見や失敗を率直に表明できる環境のことを指します。この安全性が欠如していると、社員は本音を言えず、ストレスを溜め込みます。中堅社員は若手と管理職の間に立つ立場として、特に人間関係の影響を受けやすい存在です。
業務が増えるばかりで給与や評価には直結しないため
責任や業務量は増える一方で、評価や報酬に反映されない状況は、中堅社員にとって最も不満の大きい問題の一つです。頑張れば頑張るほど損をしているように感じるからです。
残業や役職業務が増えても昇給がない場合、「なぜ自分だけこんなに働いているのか」という疑問が湧きます。若手の頃と同じ給与で、管理職レベルの責任を負わされれば、やる気は失われていくでしょう。
また、成果が認められない状況も深刻です。プロジェクトを成功させても、後輩の指導に力を入れても、それが評価面談で言及されなければ、努力が無駄だったと感じます。
例えば、IT企業で働く中堅エンジニアが、プロジェクトリーダーを任され、新人の教育も担当しながら、自分の開発業務もこなしているとします。業務時間は明らかに増え、責任も重くなっているのに、給与は入社時からほとんど変わっていません。同世代の友人が転職で年収を大幅に上げた話を聞けば、「自分も動くべきか」と考えるのは当然です。
公正な評価制度と、それに基づく適切な報酬設定が、中堅社員の定着には不可欠です。
中堅社員の離職がもたらす企業への影響
中堅社員の離職は、企業にさまざまな悪影響をもたらします。主な影響として、以下の4点が挙げられます。
- チームの生産性・士気低下につながる
- 若手育成や業務引継ぎに支障が出る
- 採用コストや教育コストが増大する
- 「離職ドミノ」が発生するリスクがある
人事や管理職は、放置すると損失が大きいことを認識する必要があります。それぞれの影響について、詳しく見ていきましょう。

チームの生産性・士気低下につながる
中堅社員が離職すると、残された社員の負担が急激に増加します。引き継ぎが十分にできないまま退職されれば、業務の空白が生まれ、チーム全体の生産性は大きく低下します。
特に、引き継ぎ不足で業務が停滞すれば、プロジェクトの遅延やお客様対応の質低下につながります。誰がその業務を担当していたのか、どのような手順で進めていたのかがわからなければ、試行錯誤しながら進めるしかありません。
また、モチベーションの低下も深刻な問題です。「あの人も辞めた」「次は自分かもしれない」という空気が広がれば、残った社員の士気は下がります。特に仲の良かった同僚や尊敬していた先輩が辞めた場合、精神的なショックは大きいでしょう。
さらに、業務の属人化が進んでいた場合、その影響はさらに深刻になります。特定の中堅社員しか知らない業務やノウハウがあれば、その人が辞めた瞬間に組織の機能が一部停止してしまいます。
加えて、チーム全体の雰囲気も悪化します。人手不足による残業の増加、業務の押し付け合い、ストレスの蓄積といった悪循環が始まれば、組織の健全性は急速に失われていきます。
若手育成や業務引継ぎに支障が出る
中堅社員の役割は、若手の指導とノウハウの伝達です。この層が抜けてしまうと、教育体制に大きな穴が開きます。
新入社員や若手社員は、中堅社員から実務的なスキルや仕事の進め方を学びます。管理職は忙しくて細かい指導ができないことも多く、中堅社員が実質的な教育担当となっているケースは少なくありません。
しかし、中堅社員の離職によって教育やノウハウの伝達が滞れば、若手の成長速度は鈍化します。誰に質問すればよいのかわからない、基本的な業務の進め方を教えてもらえないという状況では、若手は不安を抱えながら仕事をすることになります。
また、業務の引き継ぎも問題です。中堅社員が担当していた複雑な業務を、経験の浅い若手が引き受けることになれば、ミスやトラブルのリスクが高まります。
例えば、営業部門でお客様対応のノウハウを持つ中堅社員が辞めた場合、そのお客様との関係構築方法や過去の経緯を知る人がいなくなります。新たに担当する若手は、ゼロから関係を作り直さなければならず、お客様満足度の低下にもつながりかねません。
中堅社員は組織の知識とスキルを次世代につなぐ架け橋であり、この層の流出は企業の持続的成長を脅かします。
採用コストや教育コストが増大する
離職した中堅社員の穴を埋めるには、新たな採用が必要となります。これには多大なコストがかかることを理解しておかなければなりません。
採用活動には、求人広告費、人材紹介会社への手数料、選考にかかる人事の労力など、さまざまな費用が発生します。中堅レベルの人材を採用する場合、年収の30%程度が人材紹介会社への手数料として発生することも珍しくありません。
仮に年収500万円の中堅社員を採用するなら、手数料だけで150万円程度かかる計算です。さらに、選考プロセスにかかる人事や現場社員の時間的コストも考慮すれば、総額はさらに大きくなります。
さらに、教育コストも忘れてはいけません。新たに採用した人材が戦力になるまでには、数ヵ月から1年程度の期間が必要です。その間の教育にかかる時間や労力も、隠れたコストとして存在します。
ただし、中堅社員が辞める前に定着施策を講じれば、これらのコストは発生しません。辞める前に防ぐ方がコスト効率的であることは明らかです。人材の流出は、単に人が減るだけでなく、企業の財務にも大きな負担をかけるという認識を持つべきでしょう。
「離職ドミノ」が発生するリスクがある
一人の中堅社員の離職が、周囲に連鎖するケースは決して珍しくありません。いわゆる「離職ドミノ」と呼ばれる現象です。
優秀な社員や影響力のある社員が辞めると、「あの人が辞めるなら、この会社に問題があるのでは」と周囲が不安を感じ始めます。特に同じチームや部署の社員は、業務負担の増加や将来への不安から、自分も転職を考え始めます。
こうした状況は、企業全体の雰囲気も悪化します。「また誰かが辞めた」という話題が社内で繰り返されれば、会社への信頼は徐々に失われていくでしょう。
連鎖退職の可能性は、特に中堅層で高くなります。同世代の社員同士は横のつながりが強く、一人が転職に成功した話を聞けば、「自分も」と考える人が増えていきます。
例えば、ある部署で中堅社員が3ヵ月の間に2人辞めたとします。残った中堅社員や若手社員は、「次は自分の番かもしれない」「この部署は将来性がないのでは」と感じ、水面下で転職活動を始めます。気付いたときには、部署の半数が転職を考えているという状況にもなりかねません。
離職ドミノを防ぐには、初期段階での適切な対応が不可欠です。一人目の離職をシグナルととらえ、原因を分析し、速やかに改善策を講じることが重要です。
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中堅社員が定着しない職場の共通点
中堅社員が定着しない職場には、いくつかの共通した特徴があります。主な共通点として、以下の4点が挙げられます。
- 評価・昇進ルールが不明確で不平等感がある
- 教育が不要と判断されると上司や人事から放置される
- フィードバックや相談の文化が根付いていない
- 人材育成より即戦力に依存している
企業側の読者は、自社で起きやすい問題がないか確認してみましょう。それぞれの内容について、具体的に見ていきます。
評価・昇進ルールが不明確で不平等感がある
評価や昇進の基準が曖昧な職場では、中堅社員に不公平感が生じやすくなります。何をすれば評価されるのか、どうすれば昇進できるのかがわからなければ、努力の方向性も定まりません。
同じ成果を上げているのに昇給額に差がある場合、「なぜ自分の方が少ないのか」という疑問が生まれます。明確な説明がなければ、「上司の好みで決まっている」「不公平だ」と感じるのは当然です。
昇進スピードにも差が出ます。入社時期が同じなのに、ある人は早く昇進し、別の人はいつまでも同じポジションというケースがあります。その理由が明示されていなければ、取り残された側は強い不満を抱くでしょう。
また、評価基準が毎年変わる、上司によって評価のポイントが違う、といった一貫性のない運用も問題です。昨年は営業成績が重視されたのに今年は社内貢献度が重視されるとなれば、何を目標にすればよいのかわかりません。
まずは、自社の評価制度に当てはめて考えてみることが重要です。中堅社員が「この会社の評価は公平だ」と感じられる仕組みになっているか、基準は明確に示されているか、運用に一貫性があるかを確認しましょう。
教育が不要と判断されると上司や人事から放置される
「すでに中堅だから教育は不要」という扱いを受け、成長機会を失う中堅社員は少なくありません。新人や若手には手厚い研修があるのに、中堅層には何も提供されないという職場は多く存在します。
新しい業務や研修を与えられず、同じ仕事を繰り返すだけの日々では、スキルアップの機会が失われます。キャリア構築の機会も減り、「この会社にいても成長できない」という結論に至っても不思議ではありません。
また、中堅社員に対しては、上司も「もう一人前だから大丈夫」と考え、声をかけなくなります。そのため困っていても気付かれず、相談する機会もないまま、孤立してしまいます。
人事部門も、新卒採用や若手育成に注力するあまり、中堅層への投資を怠りがちです。研修予算も新人向けに優先配分され、中堅社員が学ぶ機会は限られてしまいます。
こうした放置が離職につながるという因果関係を、組織は明確に認識しなければなりません。中堅社員も成長を続けたいという欲求を持っており、その機会を提供することが定着の鍵となります。
フィードバックや相談の文化が根付いていない
上司や同僚と意見交換や相談ができない職場は、中堅社員にとって非常に働きにくい環境です。コミュニケーションの不足は、さまざまな問題を引き起こします。
問題提起しても無視される状況では、社員は発言する意欲を失います。業務改善のアイデアを出しても、「忙しいからあとで」と言われて結局何も変わらなければ、次第に何も言わなくなります。
改善が実行されないことも同様です。何度も同じ問題を指摘しているのに、一向に改善されない職場では、「言っても無駄だ」という諦めの空気が広がります。
意見が通らない環境も深刻です。上司や経営層が一方的に決定し、現場の意見を聞く姿勢がなければ、中堅社員は「自分たちの声は価値がない」と感じます。
このような心理的安全性の欠如が、中堅社員のモチベーション低下につながることを忘れてはいけません。自由に意見を述べられる、失敗しても責められない、相談すれば真摯に対応してもらえるという環境があってこそ、社員は安心して働けます。
フィードバックの文化を根付かせることは、組織の健全性を保つために不可欠な要素といえます。
人材育成より即戦力に依存している
中堅社員の育成よりも、短期的な戦力投入を優先する職場では、長期的な定着は期待できません。目の前の業務をこなすことだけに集中し、将来への投資を怠っているからです。
新人や若手への指導が十分でない環境では、中堅社員に過度な負担がかかります。教える時間も与えられず、自分の業務と後輩の面倒を同時に見なければならない状況では、疲弊していきます。
また、業務はこなすが将来の育成がされないという矛盾も生じます。「今は忙しいからあとで」と先延ばしにされ、結局キャリア開発の機会が訪れないまま時間だけが過ぎていくのです。
こうした状況では、中堅社員本人も、「自分は使い捨ての駒なのか」と感じ始めるでしょう。会社が自分に投資してくれない、将来のことを考えてくれていないと実感すれば、転職という選択肢が現実味を帯びてきます。
そのため、即戦力重視が定着率低下の一因になるという視点を持つことが重要です。短期的な成果を追い求めるあまり、中長期的な人材育成を軽視すれば、結局は優秀な人材を失い、組織力の低下を招くでしょう。
中堅社員の退職を防ぐための定着施策
中堅社員の離職を防ぐには、具体的な施策を講じる必要があります。主な定着施策として、以下の6点が挙げられます。
- キャリアパス・スキルアップを明確化する
- 公平で納得感のある評価制度を整える
- 定期的なミーティングや面談を設ける
- メンター制度・中堅層向け研修の導入
- 社員に定期的なアンケートを実施する
- 仕事の裁量や挑戦機会を適切に与える
読者に具体的な定着施策を提示し、離職防止の意識を高めることを目指します。それぞれの施策について、詳しく見ていきましょう。
キャリアパス・スキルアップを明確化する
中堅社員が将来のキャリアや成長をイメージできるよう、キャリアパスを具体化することが重要です。「この会社で働き続ければ、自分はどうなれるのか」が見えることで、定着率は大きく向上します。
まず、昇進ルートの提示は基本的な施策です。何年でどのポジションに到達できるのか、管理職になるにはどのような経験やスキルが必要なのかを明示します。複数のキャリアルートがあれば、それぞれの道筋を示すことも効果的です。
また、スキル獲得目標の明示も重要です。次のステップに進むために必要なスキルを具体的に示し、それを習得するための研修や経験を提供します。「3年後にはプロジェクトマネジメントスキルを身につけてリーダーを目指す」といった明確な目標があれば、日々の業務にも意味が生まれます。
社内異動やプロジェクト参加の機会を設けることも効果的です。同じ部署で同じ業務を続けるのではなく、新しい環境で新しいスキルを学ぶチャンスがあれば、成長実感を得られます。
「この会社で働くことで自分は成長している」と実感できる環境があれば、中堅社員は長く働き続けたいと思うでしょう。
公平で納得感のある評価制度を整える
評価の透明性と納得感が、中堅社員のモチベーション維持に重要であることは言うまでもありません。どのように評価されているのかが明確であれば、不満や不信感は大きく軽減されます。
成果と評価を連動させる仕組みが基本です。何を達成すればどの程度の評価が得られるのかを明示し、実際にそのとおりに運用することで、信頼性が生まれます。
定期的な評価基準の見直しも必要です。事業環境や会社の方針が変われば、評価基準も変わるべきです。ただし、変更する際には理由を説明し、社員の理解を得ることが重要です。
また、同僚との比較が不公平にならない運用も意識すべきです。同じ成果を上げた社員が異なる評価を受ける場合、その理由を明確に説明できなければ、制度への信頼は失われます。評価制度の見直しは時間がかかる作業ですが、中堅社員の定着という観点から見れば、最も効果的な投資の一つです。
定期的なミーティングや面談を設ける
上司との1on1やチームミーティングの重要性は、近年ますます認識されています。定期的なコミュニケーションの場を設けることで、問題の早期発見と対応が可能になります。
業務進捗や課題の確認を定期的におこなうことで、中堅社員が抱えている問題を把握できます。「最近業務量が多すぎる」「このプロジェクトで困っている」といった声を早めに拾い上げることで、不満が蓄積する前に対処できるでしょう。
また、キャリア相談の機会も重要です。中堅社員が将来について悩んでいる場合、その悩みを聞き、一緒に解決策を考える場があれば、「会社は自分のことを考えてくれている」と感じられます。
その他の悩みや要望の吸い上げも、定期面談の目的の一つです。評価への不満、職場の人間関係、業務の進め方など、普段は言いにくいことも、面談の場であれば話しやすくなります。
退職を考え始めた中堅社員は、何らかのサインを出しています。定期的な対話があれば、そのサインに気付き、本格的な退職準備が始まる前に対策を講じられます。
メンター制度・中堅層向け研修の導入
経験豊富な先輩や管理職が、中堅社員の相談役や育成役になるメリットは非常に大きいものです。メンター制度の導入により、中堅社員の孤立を防ぎ、成長を支援できます。
定期面談やスキル研修を通じて、メンターは中堅社員の悩みを聞き、アドバイスを提供します。業務上の課題だけでなく、キャリアの方向性や職場での立ち振る舞いなど、幅広いテーマで相談に乗ることができます。
また、ロールモデルの提示も重要な役割です。「こういうキャリアを歩んできた先輩がいる」という具体例を見せることで、中堅社員は自分の将来像を描きやすくなります。中堅層向けの研修も効果的です。リーダーシップ研修、マネジメント基礎、問題解決手法など、次のステップに必要なスキルを学ぶ機会を提供します。
こうした取り組みにより、孤立防止、スキル向上、モチベーション維持という三つの効果が同時に得られるでしょう。メンター制度は、中堅社員に「自分は大切にされている」という実感を与え、定着率の向上に大きく貢献します。
社員に定期的なアンケートを実施する
社員満足度や離職意向を把握するアンケートは、組織の健康状態を測る重要なツールです。定期的に実施することで、問題を早期に発見し、対策を講じられます。
匿名アンケートで率直な意見を収集することが基本です。記名式では本音を言いにくい社員も、匿名であれば正直な意見を述べやすくなります。「上司への不満がある」「評価に納得していない」といった率直な声を集められます。
課題を可視化し、改善に活かすことがアンケートの目的です。多くの社員が同じ問題を指摘していれば、それは組織全体の課題として優先的に取り組むべきテーマとなります。
アンケート項目としては、仕事の満足度、評価制度への納得度、上司とのコミュニケーション、キャリアへの不安、離職意向の有無などが考えられます。
重要なのは、アンケートを実施するだけでなく、結果を分析し、具体的な改善策を実行することです。アンケートだけ取って何も変わらなければ、「やっても無駄だ」という諦めの空気が広がります。
社員の声を反映することは、定着率向上にもつながります。組織は社員の意見に耳を傾け、改善に努力しているという姿勢を示すことで、信頼関係が構築されるでしょう。
仕事の裁量や挑戦機会を適切に与える
中堅社員に責任ある業務や挑戦的なタスクを任せることは、定着施策として非常に効果的です。やりがいと成長の機会を同時に提供できるからです。
新規プロジェクトへの参加は、大きな挑戦の機会となります。これまでと異なる業務に取り組むことで、新しいスキルを習得し、視野を広げられます。成功すれば大きな達成感を得られ、失敗しても貴重な学びとなるでしょう。
また、改善提案の実践も効果的です。中堅社員が業務改善のアイデアを出した際、それを実際に試す機会を与えることで、主体性と責任感が育ちます。自分の提案が形になる経験は、大きなモチベーションとなります。
さらに、意思決定に関わる裁量を与えることも重要です。すべて上司の判断を仰ぐのではなく、一定の範囲内で自分で決められる権限があれば、仕事への主体性が高まります。
自己成長感とやりがいが高まると、定着率も高まります。「この会社では自分の力を発揮できる」「挑戦する機会がある」と感じられる環境があれば、中堅社員は長く働き続けたいと思うでしょう。
社内イベントのことならCultiveまで!
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中堅社員が辞めない職場づくりが企業の競争力を左右する
中堅社員の定着は、企業の持続的な成長に欠かせない要素です。この層が安定して働き続けることで、組織の知識やスキルが蓄積され、若手の育成も円滑に進みます。
逆に、中堅社員が次々と辞めていく職場では、業務の停滞、士気の低下、採用コストの増大といった問題が連鎖的に発生します。離職ドミノが起これば、組織の基盤そのものが揺らぎかねません。
本記事で紹介した離職理由や職場の特徴、そして定着施策を参考に、自社の状況を見直してみることをおすすめします。キャリアパスの明確化、公平な評価制度、定期的なコミュニケーション、挑戦の機会提供など、できることから着実に実行していきましょう。
また、Cultiveでは社員エンゲージメント向上を目的としたさまざまな社内イベントや施策をサポートしております。
企業理念と文化を浸透させ、うち“らしさ”に慣れ親しんでもらうオンボーディング施策。称賛文化を育み、社員のモチベーションに大きく寄与する社内表彰イベント。日常に文化が根づき、行動に現れる文化醸成の伴走サポートなど、企業の課題に合わせて総合的にお手伝いいたします。
「会社や仲間をもっと誇りに思ってほしい」
「長く働いて自己実現を果たしてほしい」
そのような想いをお持ちの方はぜひお気軽にご相談ください。





































