アワードとは?ビジネスアワードが注目される理由を解説
アワードとは、個人やチームの優れた成果や取り組みを公に表彰する制度のことです。
社内表彰と外部表彰の両方を含み、近年のビジネス環境において重要な役割を果たしています。
特に人材不足が深刻化し、人材の定着率向上が企業の喫緊の課題となる中、アワード制度は従業員エンゲージメントを高める効果的な手段として位置づけられています。
ビジネスアワードが注目される理由は主に、以下の3つの観点があります。
- 社員のモチベーション向上を目指せるため
- 社員のエンゲージメントを向上させられるため
- 採用コスト・教育コストを抑えられるため
順番にひとつずつ見ていきましょう。
社員のモチベーション向上を目指せるため
アワードが「やる気を引き出す仕組み」として機能することは、後述するサイバーエージェントの事例からも明らかです。
同社では「褒めの文化」の一環として、毎月各部署で活躍したメンバーを讃える表彰を行っています。
表彰されることでメンバーは評価されている実感が湧き、仕事への意欲が大幅に向上することが期待できます。
特に成果が目に見えにくいバックオフィス業務や技術職においても、具体的な貢献を認められることで大きなやりがいを感じられるでしょう。
また、楽天グループでは、四半期ごとに開発部門で最も組織に貢献した人物を表彰するMIP(Most Impressive Person)制度を導入し、エンジニアのモチベーション向上に成果を上げています。金銭的な報酬だけでなく、称賛や承認文化の定着が継続的な成長意欲につながる重要性も軽視できません。
社員のエンゲージメントを向上させられるため
アワード制度は「組織とのつながり」や「帰属意識の向上」に大きく寄与します。
社員が会社に貢献しているという実感を得ることで、エンゲージメント向上に直結することが期待できます。
サイバーエージェントでは、表彰を通じて「会社への愛着やロイヤルティ(組織コミットメント)」を高める取り組みを積極的に行っています。
他部門との連携強化を図るチーム賞の導入や、部署を横断した評価制度により、組織全体の結束力が強化される可能性があります。
実際に、Gallup社の調査でも、従業員エンゲージメントの高い企業は、生産性や収益性において優位性を持つことが示されており、アワード制度はその実現手段として効果的です。定期的な表彰により、従業員の会社に対する誇りと責任感が醸成され、長期的な組織力向上につながることが期待されます。
また、理念を体現した取り組みや会社の想いを表した行動などを取り上げることで、その体現イメージがメンバーの中でも定着し、会社の理念に対する解像度が上がる効果もあります。こうした場を定期的に設けて理念を発信していくことで、経営者の想いや考えがインストールされ、会社が目指しているビジョン実現に向けたエンゲージメントが高まっていくことも期待できます。
採用コスト・教育コストを抑えられるため
アワード制度は間接的に採用活動や人材育成の効率化に大きく貢献する可能性があります。
離職率が下がることで、新規採用や教育にかかるコストを大幅に抑制できるでしょう。
ローソンでは「ローソン・チャレンジ大賞」として、現場の創意工夫や業務改善を表彰する制度により、従業員の定着率向上を実現しています。
また、アワードの受賞実績は採用広報においても強力なブランディング効果を発揮し、優秀な人材の獲得につながることが期待できます。
既存社員からのリファラル採用も促進され、企業文化にマッチした人材の確保が容易になるでしょう。
さらに、表彰される行動指針が明確になることで、社員の自律的な成長が促され、組織全体の教育効果も期待できます。
ビジネス向けの社内アワード導入事例
実際に有名企業がどのようなアワード制度を導入しているかを見ることで、自社での導入イメージを具体的に描けます。
各社の事例から、効果的な表彰制度の設計方法や運用のポイントを学ぶことができるでしょう。
- 楽天グループ株式会社
- 株式会社サイバーエージェント
- 株式会社ローソン
- コクー株式会社
ひとつずつご紹介します。
楽天グループ株式会社
アワード名・制度名: 楽天賞、MIP(Most Impressive Person)
概要: 楽天では年次での表彰制度として「楽天賞」があり、月にたった1人だけ選ばれる「楽天賞MVP」も運用されています。また、開発部門では四半期ごとにMIP(Most Impressive Person)制度を実施し、カンパニーの全社員の中から最も組織に貢献した人物を表彰しています。
営業部門・技術部門など部門別の受賞制度も併設され、多様な貢献を評価する仕組みが整っています。受賞者には具体的な成果として「年間で数十億円単位のレベニューが見込まれる」といった大きなビジネスインパクトが求められます。
目的・効果: モチベーション向上と成果の可視化を主目的とし、多くの社員が高い意欲で受賞を目指している状況が確認されています。
制度の透明性と公平性により、組織全体の競争力向上と個人の成長促進を両立しています。
株式会社サイバーエージェント
アワード名・制度名: CA BASE AWARD、CyberAgent AWARDS
概要: 「CA BASE AWARD」は”技術者による技術者のための表彰式”として、現場エンジニア・クリエイターからの推薦によってノミネート者が決定し、各管轄から選ばれた審査員による公平な審議を経て受賞者が決定されます。
また、半年ごとに開催される全社的なCyberAgent Awardsでは、個人、チーム、プロジェクトの優秀な成果を表彰しています。毎月各部署でも月間表彰を実施し、多層的な評価システムを構築しています。
目的・効果: 挑戦と成長を評価する文化醸成を目的とし、「感情報酬」を最大化する仕組みとして機能しています。
受賞後のキャリア形成にもよい影響を与え、社風との親和性を高める効果も確認されています。SNSでの自然な情報拡散により、企業ブランディング効果も期待できます。
株式会社ローソン
アワード名・制度名: ローソン・チャレンジ大賞(Lチャレ)、社長賞
概要: 「ローソン・チャレンジ大賞」は、現場で起きている仕事の創意工夫や業務改善、新たなアイデアを”実行”した1年間の取り組みを集め、発表・表彰する社内表彰制度です。
2023年度は全国から151件の応募があり、最終審査で社長・役員にプレゼンテーションを行います。現場店舗・本部スタッフ双方を対象とし、非デスクワーク職でもモチベーションアップできる包括的な仕組みです。社長賞やグッジョブ賞など、多段階の表彰制度も併用しています。
目的・効果: 店舗オペレーションやサービス品質の向上を目的とし、現場で生まれた”いい仕事”を全社員の前で称賛することで、一人ひとりが新しい気付きを得ることや、褒め合うことでのモチベーション向上を実現しています。
属人化していた優良ノウハウを組織の財産として蓄積し、”オールローソン”での一致団結意識を醸成しています。
コクー株式会社
アワード名・制度名: エンゲージメント向上施策
概要: コクー株式会社は、社内のエンゲージメント向上のためにエンゲージメント向上プラットフォーム「TUNAG」を活用し、『エンゲージメントアワード2022』において「ベストエンゲージメントカンパニー(規模別部門 300名以上999名以下)」を受賞しました。
社内エンジニア・DX人材などを部門別に表彰する仕組みや、サンクスメッセージ機能を活用した日常的な称賛文化を構築しています。客先常駐という物理的に離れた働き方でも、”体温のあるコミュニケーション”で社員が切磋琢磨し合える環境を実現しています。
目的・効果: 女性活躍推進・専門職の活性化を目的とし、新興企業でも実施可能なアワード例として、親近感を持たせる運用を心がけています。
TUNAGを通じた社内コミュニケーションの活性化により、エンゲージメント向上と組織力強化を両立しています。
社内向けのビジネスアワードを導入するコツ
制度として形骸化せず、社員の納得感や参加意欲を得られるアワード設計が成功の鍵となります。
形だけの表彰ではなく、運用設計にこそ価値があることを理解し、全社規模の導入であっても小規模部署からのトライアルが効果的です。
- 不公平感が生じない評価制度を意識する
- 社員の投票制など参加者が増える工夫を取り入れる
- 社員に喜ばれる景品や評価を用意する
- 表彰内容は固定せず柔軟に設ける
不公平感が生じない評価制度を意識する
アワード導入において最も起こりやすい“納得感の欠如“を回避するため、審査基準の明文化が不可欠です。
数値と行動の両面から評価し、定量的・定性的な指標をバランスよく設定しましょう。
審査者の透明性確保も重要で、複数部署横断の評価委員会設置などにより、特定の上司や部門に偏らない多角的評価を実現します。
360度評価の簡易版として、直属の上司だけでなく、同僚や部下からの評価も取り入れることで、より公正で納得性の高い選考が可能となるでしょう。
評価プロセスの可視化により、受賞者以外のメンバーも「次は自分も」という前向きな気持ちを持ちやすくなります。
社員の投票制など参加者が増える工夫を取り入れる
アワードに対して“自分ごと化“を促すため、参加型制度の導入が効果的です。
「MVPの社内投票」「チーム賞のノミネート制」など、社員が選ぶ仕組みによって制度への当事者意識が大幅に向上することが期待できます。
投票結果を上位者だけでなく「推しコメント」として社内ポータルで紹介することで、広報施策とも連動できます。
匿名投票システムの採用により、忖度のない本音の評価が集まりやすくなり、普段は見落とされがちなバックサポートの部署や数字に表れない優れた取り組みもピックアップできるようになります。
社員に喜ばれる景品や評価を用意する
表彰が単なる“名誉“にとどまらず、具体的なインセンティブとなるよう工夫が重要です。
景品例として、旅行券、ギフトカード、有給休暇付与、上司との食事券などの多様な選択肢を用意します。
評価方法として「キャリア評価」「昇進考慮」につながることを明示することも重要で、表彰が将来のキャリアに直結することを示します。
若手層向けには成長機会やスキルアップ支援、中堅層向けには家族で楽しめる特典など、ターゲットに合わせて柔軟に設計することで、より多くの社員にとって魅力的な制度になることが期待できます。
また、景品だけではなく表彰式全体や発表の瞬間を鮮明に演出することも欠かせません。
統一感のある作り込まれた空間によって受賞の意味は格段に上がります。「この空間の中で表彰されること」「みんなの前でこのメッセージを受け取ること」。表彰される体験そのものをデザインすることで、メンバーの意欲や理念の訴求力はより強い意味を持ちます。
表彰内容は固定せず柔軟に設ける
毎回同じ評価軸だと限られた人しか受賞できなくなるため、表彰の切り口に変化をつける工夫が重要です。
例えば、毎月テーマを変えることでさまざまな部署を公平に取り扱い、「挑戦部門」「影の功労賞」「チーム貢献賞」など多様な視点から評価することも可能になります。
また、定量評価だけでなく、定性的な“人間味のある頑張り“も評価対象にすることで、数字に表れにくい貢献も適切に評価できます。
評価観点に社内の行動指針やバリューを絡めることで、理念浸透の効果も期待でき、組織文化の定着につながるでしょう。
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ビジネスアワードは、社員のモチベーション向上、エンゲージメント強化、採用・教育コスト削減という3つの主要メリットを通じて、企業価値の向上に大きく貢献する可能性があります。
数字的成果だけではなく、さまざまな視点の賞を導入することで理念やバリューの解像度を上げ、体現行動に結びつけることも可能になります。
会社の理念、歴史、実現していく世界観、そしてメンバーの本音に向き合いながら、「うち“らしい”表彰式」の開催に向けて頑張ってください!
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