周年イベントや社内イベントといった、多くの社員が集まり開催されるイベントは社員のエンゲージメント向上においても重要な意味を持つ施策です。その為、ホテルのホールなどを借り、豪華に開催されるケースもよく見られましたが、2020年以降は、新型コロナウイルスの影響により、ほとんどのイベントは従来通りの方法での開催が難しくなりました。そこで登場したのが、オンライン型のイベントです。
この記事では、オンラインで開催される周年イベントや社内イベントは成り立つのか、具体的にどのような目的を持って、どんな方法で開催されているのか、といった情報をまとめます。
社内イベントを企画する立場にいる多くの人は、オンラインイベントの運営ノウハウを持っていない場合がほとんどだと思いますので、今後そういった対応が必要な方々の参考になれば幸いです。
また、こちらの記事で周年イベントを開催する意義を詳しく解説しています。
興味のある方はぜひお読みください。
目次
コロナ禍で急速に発展したオンラインイベント
先述の通り、新型コロナウイルスの感染拡大以降、オンラインイベントという形式が急速に発展し、社内イベントに限らず、展示会やセミナーなどのイベントもオンラインでの開催に移行するケースが多く見られました。オンラインイベントと一口に言っても、ウェビナーと言われるセミナー形式のものから、メタバース(仮想空間)上で参加者がアバターになって集まるような技術的に高度なものまで様々で、中には株主総会をメタバース上で開催する企業があるなど、各社それぞれに趣向を凝らしたオンラインイベントは着実に増えていきました。
社内イベントのオンライン化においては、リモートワークへの対応から社内に導入されたZoomやTeamsといったビデオ会議ツールを活用した形式が多く、業務で日常的に使用するツールを使うことで参加率を高めつつ、いかにイベントらしい非日常の体験を創出するかがポイントとなりました。
ここから、改めて社内イベントの開催目的などに触れつつ、オンライン社内イベントを成功させるためのポイントについて解説していきます。
社内イベント開催の目的
そもそも、社内イベントはなぜ開催されるのでしょうか。
「社内イベント」という言葉の中には、新入社員を歓迎する入社式、企業の節目を祝う周年イベント、全社員が参加対象となる全社総会、四半期や半年など一定の期間ごとに事業戦略発表や表彰の場として開催されるキックオフ、その他にも運動会や忘年会など、様々なイベントが含まれます。
細かなコンテンツや開催頻度は企業によって様々ですが、こういった社内イベント開催の目的は主に3つです。
- ビジョンや経営戦略の発表等を行い、社員の意識を統一して戦略の実行力を高める
- 表彰などを通じて社員の頑張りを労い、成果を称賛してモチベーションを高める
- 社員同士の交流の機会を創出し、社内の関係性を深める
これらの目的を達成するため、全社総会などの大きな社内イベントについては、広い会場に社員が集まり、インパクトのある舞台演出や、有名人などのスペシャルゲストの登場などの趣向を凝らし、非日常的な空間でイベントのコンテンツに集中できるように開催されることが多いです。
コロナウイルスの出現以前は、会場を貸し切って全員を集めることで、自動的に非日常感を演出することができていましたが、オンラインイベントでは社員も自宅などから参加するため、日常から離れることができず、イベントの特別感を伝えることが難しくなってしまいました。そんな状況でも、オンラインで社内イベントの開催を続けていくメリットはあるのでしょうか。
オンラインで社内イベントを実施するメリット
結論から言えば、オンラインであっても社内イベントを開催するメリットはあります。主なポイントは以下の3つです。
- 参加の物理的ハードルが下がる
- 参加の心理的ハードルが下がる
- コストが削減できる
1つずつ解説していきましょう。
1. 参加の物理的ハードルが下がる
従来のオフライン開催の社内イベントでは、特定の場所に多くの社員が集まって開催されていました。例えば東京が本社の企業でも、全国各地に拠点がある場合などは、地方拠点の社員はわざわざイベントのために東京に来る必要があり、そのために日常の業務を止めなければならないなどのハードルがありました。また、育児や介護をしながら働いている社員、時短勤務の社員の場合などは、1日かけて開催される社内イベントに参加しづらいといった課題もありました。
オンライン開催となるとこういった距離的ハードルも低くなり、育児・介護等がある方も自宅で音声だけ聞くなどの形で参加することが可能になりました。社員同士の交流などはしづらい場面もありますが、経営戦略や社長からのメッセージなど、受け取ってほしいメッセージを確実に全員に届けるという意味でオンライン開催のメリットは大きいと言えます。
2. 参加の心理的ハードルが下がる
社内イベントは、社員であれば原則参加することになっている場合がほとんどです。しかし、社員の中にはそういったイベントが苦手な人も少なくないでしょう。大人数で集まるのが苦手、長時間拘束されるのが嫌、日常業務を止めたくないなど、理由は様々ですが、イベントを敬遠する声が上がることもあります。そういった方々にとって、オンライン開催は前向きにイベントに参加できる一つの要因となります。大人数で集まって盛り上がるような場は苦手だが、会社の方針や理念についての話はじっくりと聞きたいという方にとって、オンライン開催のイベントはまさにニーズに合致した方法ということになります。
また、地方拠点の参加者にとっても、オンラインイベントへの心理的ハードルは低くなります。本社オフィスでイベントをオフライン開催する際、テレビ会議などで地方拠点とライブ中継をするケースはよく見られます。しかし、こういった方法だと、どうしてもメイン会場と地方で視聴している人たちの温度差が生まれてしまいます。全員が等しくオンライン参加する形式であれば、この差は解消されやすくなります。
3. コストが削減できる
言わずもがなですが、全社員が同じ会場に集まる場合は、イベント企画費以外に、会場費・飲食費・交通費・宿泊費など、様々なコストがかかります。オンライン開催であれば、企画費以外のコストを削減することが可能です。オンライン配信のための機材やオペレーターの費用はかかりますが、全員を移動させることに比べれば圧倒的に低コストでイベント開催が可能です。その分、企画や映像といったコンテンツに予算をあてることで、満足度の高いイベントを作れる可能性もあります。参加者の満足度を高めつつ、コストを大幅に削減できるのであれば、社内イベントのオンライン開催は非常に有効な施策であると言えます。
オンライン開催の社内イベントで社員エンゲージメントを高める方法
ここまで、オンライン開催の社内イベントにも様々なメリットがあることをお伝えしてきましたが、逆にオンライン開催の最大のネックは、オフライン開催に比べて全員の一体感を生み出すことが難しかったり、演出によって感動させることが難しかったりすることだと思います。そこで、オンライン開催であっても社内のエンゲージメントを高めるにはどうすれば良いか、いくつかのポイントをご紹介します。
- コンセプトを決める
- 参加感を高めるコンテンツ / 演出を考える
- オフラインの演出を考えてみる
1. コンセプトを決める
コンセプトはオンライン・オフラインに関わらず、常に重要な項目です。イベントづくりは、そのイベントのターゲットとメッセージを明確にするところから始まります。
「このイベントの後で、社内の誰が、どんな感情になっていたら成功か」
これを明確にしておくことで、その後の細かなコンテンツ企画も含めてイベントに一貫性を持たせることができます。
そして、そのターゲットとメッセージが決まったら、それを表現しやすいモチーフやイメージを考えてみましょう。この、「ターゲット&メッセージ」に「アウトプットを考えやすくするイメージ(モチーフ)」を掛け合わせると、コンセプトが導き出しやすくなります。
特にオンラインイベントの場合は、コンセプトをしっかりと立て、視聴者の興味が持続するような一貫性のあるイベントづくりが重要になります。オフラインであれば、会場にいる参加者たちの行動は制限しやすく、興味を集中させる先もコントロールしやすくなりますが、自宅で参加するオンラインイベントではそういったことが難しくなります。画面をオフにして席を立ってしまえるようなオンラインイベントでは、参加者に「自分にとって価値 / 興味のあるイベントだ」と思わせるための一貫性が不可欠となります。
2. 参加感を高めるコンテンツ / 演出を考える
オンラインイベントのコンテンツを考える上での重要なポイントは、参加感をいかに高めるかです。既にお伝えした通り、オンラインイベントの場合は参加者の行動を制限できず、注意散漫になりがちです。参加意欲を失わせないように、適度に参加者を巻き込むコンテンツを用意しておきましょう。
例えば、使用するツールがZoomの場合、ブレイクアウトルームを使うのは最もわかりやすい方法です。強制的にグループ分けをしてコミュニケーションを生むことで、部署を超えたつながりを作ることができます。また、投票機能も活用できます。参加者にアンケートを取り、その場で即時にフィードバックすることが可能なので、アンケートの結果をもとにスピーカーが話すこともできます。今はオンライン会議用のツールも増えているので、そういったものを掛け合わせて、ゲーム感覚で参加することができるイベント作りを意識すると、ただ話を聞いているのではなく、能動的にアクションを起こしている状態を作ることができます。
全く新しいものを考えつかなくても、普段行っているコンテンツに双方向性を持たせようとしたら何ができるか?という視点で少しアイディアを練ってみることをオススメします。
3. インターネットを超えたリアル演出を考えてみる
最後は、参加者が同じ体験を共にするリアルな演出についてです。どれだけ会中のコンテンツを作っても、オンラインイベントはどうしても参加者との距離が開きやすい面があります。視聴している側も、ともすれば興味を失ってしまいがちです。こうした課題を解決するために有効なのが、全員が実際に体験できるような演出です。
「オンラインイベントキット」などはその良い例でしょう。ノベルティグッズや、自宅でイベントを視聴しながら楽しめるお菓子やドリンクを入れたオリジナルBOXを、参加者の自宅にあらかじめ送付するという演出です。共通の乾杯ドリンクを送っておき、場所が離れても同じドリンクで乾杯できるという工夫をした例もあります。オンラインイベントを、ただの視聴から体験へと昇華させた好例と言えるでしょう。また、こうした趣向を凝らすことで参加者のイベントに対する期待感も高めることができます。事前に届いたキットが社内SNSなどで話題になっていれば、自然と当日に向けた盛り上がりを作ることもでき、社員の参加度が高まります。
イベントがオンラインに切り替わることで、寂しい気持ちになる方もいると思いますが、そこをこのオフラインでの演出によって補うことができれば、従来のイベントに劣らないオンラインイベントを作り上げることができるはずです。
社内オンラインイベントを成功させるポイント
最後に、社内オンラインイベント成功のポイントをいくつかご紹介します。
- 目的にあったツールを選ぶ
- 映像にこだわる
1. 目的にあったツールを選ぶ
オンラインイベントにおいてはツールの選定が非常に重要です(オフラインイベントで会場選びが重要なことと同じです)。オンラインでイベントをやるにあたって使用できるツールは、以下の通り色々あります。
- Zoom
- Teams
- Youtube Live
- Vimeo
- Remo
- spatial chat 等
他にも、より専門性の高いツールやライブコマースなどでよく使われるツールなど様々ありますが、各ツールの詳細はそれぞれのページや解説記事に譲り、ここでは選定のポイントを説明します。
まず、ツールは大きく二種類に分けられます。一方向型と双方向型です。イベントの特性に合わせて、どちらの特徴を活かしたいかから考えるのがオススメです。
例えば、経営方針の発表や社長からのプレゼンなど、コンテンツの合間で他の登壇者や参加者の発言を求める必要が無い場合は、ZoomウェビナーやYoutube Liveのような、一方向型のツールの方が適しています。さらに、表彰式などの特定の人物に焦点を当てて特別感を演出したい場合も一方向型ツールがオススメです。双方向型のツールでは、全参加者がフラットに扱われるものが多いため、受賞者が感じる栄誉感が薄まってしまうという懸念点があるからです。
一方、コンテンツの中で参加者同士の交流を促したい場合や、偶発的な出会いやコミュニケーションのきっかけを生み出したい場合は、Zoomミーティングやspatial chatなど、双方向型のツールが適しています。社内イベントで実現したいポイントとしてよく挙げられる「一体感の醸成」や「部署を超えた交流」などは、双方向型ツールを用いた方が達成しやすいとも考えられます。
1日の中で、表彰式と懇親会を両方行うケースなどの場合は、2つのツールを合わせて使うというのも手だと思いますが、その場合は、事前のアナウンスや動線設計をきちんとして、参加者が迷子にならないようにケアすることが大切です。とはいえ、一方向型のツールでもチャットを使えば登壇者と視聴者でコミュニケーションは取れますし、双方向型のツールでも話者以外をミュートにすることで一方向型ツールのように扱うこともできるので、イベントのコンセプトと、参加者にとっての使いやすさなどとでバランスを取りましょう。コンセプト実現のために最適なツールを選ぶことが重要です。
2. 映像にこだわる
オンラインイベントでは映像演出が非常に重要です。言わずもがな、オンラインでのイベントは参加者が画面に向かって集中しているので、その画面をフルに使える映像の演出にこだわることで、強いインパクトを与えることができます。
照明や音響といった、五感に訴えかける演出を多用できるリアルなイベントと違い、オンラインで使える演出の選択肢は限られています。いつもはスライドを表示するだけで済ませていたオープニングも、オープニングムービーを製作するなどして、演出の方法を見直してみましょう。他にも、表彰式での受賞者発表映像、社長のスピーチ内容に合わせたムービーなど、映像の使いどころは色々ありますので、映像が効果的に使えそうなシーンを洗い出し、ハイクオリティな映像で満足度を上げましょう。
いかがでしたか?
リモートワークが推進され、オンラインイベントも当たり前な世の中になってきましたが、まだまだ社内にノウハウが溜まっていないという企業も多いと思います。この記事が、オンライン社内イベントを企画される方のお役に立てれば幸いです。
Cultive(カルティブ)では、オンライン社内イベントのプロデュース実績も多数ございます。数十人規模から千人を超える規模まで、様々なツールを使ってイベントを作ってきた経験がありますので、企画・運営にお困りの方はぜひ一度ご相談ください。お問合せ、お待ちしております!
この記事を書いた人
小名木 直子
Producer
オリジナルウェディングのプロデューサーとして多くのイベント企画に携わる。小人数〜200人規模のイベントを得意とする。職場の中でどれだけ心が動く瞬間があるかで人生の幸福度が変わることを実感し、多くの人にCultiveのサービスが届くようWEBサイトの監修も担う。
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